岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2015年 03月 28日

憲法千話・憲法施行に際しての社説No.16:昭和22年5月3日『下野新聞』社説「新憲法の実施」

2015年3月28日(憲法千話)

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*No.16までは、カテゴリの表示が「憲法千話・憲法施行に関する社説」だが、連続番号がうまく表示されないため、
No.17からは、「日本国憲法施行日の社説」とする。


憲法千話・憲法施行に際しての社説No.16:昭和22年5月3日『下野新聞』社説「新憲法の実施」
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5月3日社説「新憲法の実施」
新憲法はいよいよ今日から行われる。新憲法の中味を一口にいうと、国民による国民のための国民の政治だということと、お互いに人格を尊重し合うこと、そして絶対に戦争はしないという三つの点が骨組となって成立っているということができる。これを言いかえるならば民主政治の徹底、人としての尊さ、平和の提唱という三つの言葉となる。このような新憲法を実行するためには、われわれはいままでの古い考えをさらりと捨てて、民主政治と国際(平和)をうちたてるために全力をつくさねばならない。いままでの古い考えとは一例をあげていうならば、旧憲法には「文民の自由」が保証されていなかったので、過去における日本人は利益も保護も得られない政府にたいして労力のみならず尊い生命までもささげるように強いられていたではないか。それを新憲法は保証している!だから、総司令部民政局代表は新憲法公布にさきだって、新憲法によって示された「文民の自由」の意義を次のように解説している。
 「文民の自由」とは個人の行動の自由であり、法によらずして他から干渉をうけることのな□□□有の自由である。また自己の良心にもとずいて考えてものをいう個人の権利である。このように個人は重要かつ尊厳なものであるという観念は、民主主義の根本観念である。何人もまたいかなる団体も、他人の行動の自由を左右したり、命令したり、制限したりする権利はもっていないといっている。
 これはしかし「自分勝手なわがままをしろ」ということでは断じてないのであって、自己の良心にもとずかなければならないのであるから、自己の良心というものを失ってしまった人にはできないことであって、そのような者が法によって正しい方向にみちびかれることになるわけである。この点はまちがえないように注意しなければならない。例えば、言論の自由とい立場から、昨秋、芳賀の農民が「自主供出」を叫んだ。言葉の上ではどうあろうと、政府が食糧政策の上からこれだけ出してもらいたいといったその割当にたいして、無いのならともかく、持っていて出さなかった悪農があった。それが法のさばきをうけることになったことは、「自主供出」をさけんだ農民が自己の良心にもとずかなかったからである。そもそも、「自主供出」などとといものは、誰もが自己の良心にもとずいてはじめて実行されるものであって、口では自己の良心にもとずいてやるようにいいながら、腹の中では□□□□□出す気はなかったという結果となったのである。
 民政局代表はさらにこういっている。今日の日本における政府の地位と責任は非常に重大である。民主的な日本再建に向って政府が平和的に漸進的に進んでいこうとして努力していることはよくわかるが、とくに官僚はかれらの身内にしみこんでいる伝統的なやり口、すなわち国民の意見には一切耳をかさないで、ただ自分が国民のためになると思っただけで物事をきめていくというやり方にかえろうとする傾向があるから、国民は、これを厳重に監視してその根を絶つことが必要である。官僚はいかにも(一行判読不能)に自分を重要なかしこい人物と思いこんでいようとも、国民が正規の期間を通じて表明した希望、要求、決定に反対し、またはこれを無視する権利は、法律的にも道徳的にも全く持っていない。官僚は国民が自由に自分の思っていることを語り、その信念をのべ、周囲のものを説得しようとするのを十分に保証する責任をもっている。官僚、軍閥、貴族、財閥のいずれを問わす、少数の特権階級が国民の生活を上から支配し、国民を思うままに動かす社会を何とかして温存し、または維持しよとすることは、国民の生存を無視あるいは□□するものである。
 新憲法の施行によって日本は平和な民主国家をつくり上げるキソ工事を終った国民はいまこそ戦争の恐怖と圧政の悲劇から解放される機会を与えられた。国民は男女の別なく自由に生活し、自分の手で役人をえらび、彼等に国民の決定と判断にしたがうことを要求する権利をもつに至った。「国家に対する臣民の義務」ということは昔ばなしとなり、国民がすなわち国家となったのである。だからわれわれは今こそ古い考えをすてて、新憲法はこのような明るい生活を象徴(?)するのだということを考えるべきである。

(典拠は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料YB―327より)
今日のひと言:新憲法の施行によって日本は平和な民主国家をつくり上げるキソ工事を終った国民はいまこそ戦争の恐怖と圧政の悲劇から解放される機会を与えられた。
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by kenpou-dayori | 2015-03-28 06:47 | 憲法千話・憲法施行に関する社説


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