2015年 04月 05日

日本国憲法施行日の社説No.24:『山梨日日新聞』5月3日社説「新憲法の実施」【拡散希望】

2015年4月5日(憲法千話)

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2016年1月6日(水)【安倍内閣による改憲を阻止するため拡散を希望します】

昭和22年5月3日付『山梨日日新聞』一面
下段に、出版社がまとまって出した祝賀・宣伝広告がある。
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この日の社説は、長谷川如是閑が書いたもので、さすが一味違っている。
文章も判り易い。

5月3日付社説「新憲法と文化 長谷川如是閑(著)」

 真の意味の文化はけっして「統制」からは生れない。心の文化でもものの文化でも人間そのものの縦に歴史によって培われ、横に時代の生活によって蓄積された性能から生まれるもので「統制」はその性能を自由に自分の力で働かせるような組織を与えることはできるが―またそれをしなければならないが―しかしその性能をどう働かせるかがそれがどんな結果を生むか、それは個人の自主自由の働きである。
 過去の封建的統御も文化の自主的発展を助けるような組織をもった限り、なかなか優秀な文化が生れた。時代は自由主義でも、しいて自由主義文化というような性格を文化そのものに与える省察をとれば、それは誤った「統制」となる。命令でできた文化は□学でも、宗教でも、芸術でも美術工芸でも、そのワクの中でしか発展しない。国家とか社会とか組織はいかなる文化をつくるべきであるかを命令すべきではない。正しい文化の生れる「よく土」でなければならない。封建時代はキルド(ギルド)的対立の時代だったからキルド(ギルド)は国家に対してさえ自主的な力をもつ組織であった。
 近代国家は国民的に統一されて、あらゆるキルド(ギルド)的対立が清算された。そこに日本の官僚軍部のようなギルド形態が成立っていると近代国家は必然に封建国家に還元する。しかしこの封建国家においては一般のギルド形態は解消されているので、過去の封建時代のような自主自由をギルド的に用いる□能はない(。)そこで官僚軍部のギルド的統制によって社会一般が支配され、文化の暗黒時代を拓いた。
 文化の面からいうと、右のような□□国家の発生を絶対に防止しなければならない。明治の憲法はその点において十分でなかったが(、)新憲法は原則的に日本国家の精神と形態とを規定しているので、もしこの憲法が健全に守られるならば(、)日本は新しい文化の発生する「よく土」となるに違いない。
 しかし憲法というものは、国の大法(?)を定めたもので、国家的の精神、行動、態度を規定するにとどまっていて、その国民の生活内容を規定するものではない。新憲法は文化に関してどういう点で国家の性格を定めているかというと、何よりもそれは良心および思想の自由に関する条項および学問の自由および信仰の自由に関する条項である。
 その点について文化の面においていうならば、現代の人間の性能は世界のいたるところに、あらゆる形で現代文化として現われている(。)それをおのれの国の文化のかてとするいわゆる文化交流の道を十分切りひらかねばならない、少しでもそこに「あい路」があれば己れの国の文化が□(停?)とんする。
 昭和時代の文化的閉鎖主義に養われたいまの青年はややもすれば与えられた文化の型を守り、異国の文化に対し排他的となるおそれがある。消極的にそうなったり、趣味的にそうなったりするが、そこに危険がある。道徳も趣味もはじめに型があって、そこにはまり込んでいかなければならないものではなく、おのれ自らの生活が時代の空気を吸って刻々に創造してゆくべきものである。文化一般は、そうした日々の生活の創造である。憲法においてつくられた文化のよく土に種をまき、芽をはやし、花を咲かせ、実を結ばせるものは個々の日本人の外にはない。

(典拠は、山梨県立図書館所蔵マイクロ資料より)

【研究メモ】:私が山梨日日新聞を調査したのは、山梨県立図書館。同館2階に設置されたマイクロリーダーを、緊張しながらマイクロフィルムを読んだ。その理由は、3・11大震災からまだ二ヶ月も経たないうちで、毎日ように余震が続いていた時期だったからである。
当時、山梨県立図書館は、築40年を経過しているため、甲府駅に隣接する新館建築が進行していたが、使われていた旧図書館は、3・11の地震により、壁に大きな亀裂が走っていた。
正面入口には、「地震があったら、荷物を置いて、すぐ館の外に逃げて下さい」と書かれていた。当時は、研究も文字通り命懸けであった。
その後、新しい、立派な山梨県立図書館が完成し、高校生たちが列車待つ間に過ごすスペースとしても、人気があると聞いた。
私が調査した時点では、国立国会図書館は、昭和20年から22年までの山梨日日新聞および山梨時事新聞も所蔵していなかったので、甲府まで出かけた次第である。その後、今後の研究者のため、国立国会図書館に補充の要望を伝えておいたところ、山梨日日新聞が補充された。

※平和憲法を守る闘いに寄与するため、上記の研究を含めて、昨年5月に下記の新著を緊急出版しました。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―
(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)

闘いは、まだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。

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by kenpou-dayori | 2015-04-05 06:35 | 日本国憲法施行日の社説


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