2015年 04月 06日

日本国憲法施行日の社説No.25:『信濃毎日新聞』5月3日社説「民主日本の誕生」【拡散希望】

2015年4月6日(憲法千話)

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2016年1月6日(水)【安倍内閣による改憲を阻止するため拡散を希望します】

日本国憲法施行日の社説No.25:
昭和22年5月3日付『信濃毎日新聞』一面c0295254_16493067.jpgc0295254_16471444.jpg

昭和22年5月3日付社説「民主日本の誕生」

薫風早月の若葉そよぎ、陽光地上にさんさんたる五月三日、われわれはここに主権在民の新憲法施行の日を迎えた。悪夢のごとき敗戦の日から二十カ月、封建国家(、)軍事国家、専制国家の残さいを一切ぬぐい去り、隷従と圧迫なき平和日本、民主日本の建設が厳に宣言され、新しい日本の歴史の一ページは今日をもって開かれる。今日こそは日本民族が国家を形成して二千余年、いくつかの政治革命のどれにも劣らぬ画期的な、永久に記録さるべき無血革命の記念日であり、これに際会するわれわれの感激と希望とは抑えきれないものがある。
正当に選挙されたる国会は、国権の最高機関、唯一の立法機関となり、行政機関たる内閣は国会を通じてのみ成立し、最高裁判所は□□独立した権威をもつ憲法の番人となる。国会法、内閣法、裁判所法、財政法あるいは地方自治法などすでに制定をみた一連の付属法規も同時に施行される。個人の自由と平等を求める民主々義は、われわれの日常生活においても法的に確認され、令状なくして逮捕されることなく、理由なくして拘禁されることなく、妻は夫と同じ能力をもち、成年者は自由に結婚ができ、相続は均分となる。いまこそわれわれは国家として、国民として人類普遍の原理と理想を抱いてたちあがるのである。
この新憲法は敗戦を通じて成立したものではあるが、しかし与えられたものではない。太平洋戦争は国と国との戦争ではなくして、国家の生存についての原理と方式の争いであった。暗黒国家日本は世紀の潮流に洗われて始めてそれを知ったのであり、少数独裁の全体主義に非ずして多数の幸福を至上とする民主々義こそわれわれが永年探し求めていたものであったことを高価な戦争の犠牲を払うことによって覚ったのである。
ただわれわれのこの新憲法を迎えての歓喜の情は、敗戦の苦痛のためにいちじるしく制約されざるをえず、多くの国民がその意義を理解する余裕さえないことは、悲しく惨しき現実といわねばならない。家なく、食なく、職なき人々にとっては、何の新憲法、何の民主々義ぞやというのが偽らざる感情であろう。しかしながら、かかる敗戦の現実に当面すればこそ、いよいよ以て新憲法は、その更生と復興のために活用されねばならないのである。乏しきをわかち、乏しきを活かす政治に徹することなくして敗戦日本の脱がれ道はありえないのである。それがまた国際的な信用と救援をうる唯一の方途たること云うまでもない。
しかしこの新憲法の施行にあたってわれわれのもっとも銘記せねばならぬのは、それは理想の掲示であって、これを施行することはその理想に向って、一歩一歩近づく決意をせん明にすることにすぎないことである。憲法前文は「日本国民は、国家の名誉にかけ全力をあげて、この崇高な理想と目的を達成することを誓う」と結んである。この憲法を死文とせずヒトラーを生んだドイツのワイマール共和憲法のてつをふまぬためには、われわれの不断の、なみなみならぬ努力を必要とする。日本人にとっては、これを約言すれば自主の精神であろう。自主を欠く自由は放じゅうであり、利我であり、あるいは不自由である。新憲法は新日本の政治原理であると同時に社会的な規範であり、個人的な道義でもある。不磨の大典といわれた明治欽定憲法は発布以来五十九年にして今日を以て潰え去る。それは単に天下りの欽定というにとどまらず、藩閥、軍閥、官僚によって、さらに傷だらけにされた。新憲法はその条規に反する一切の法律、命令、詔勅および国務は無効であるところの「最高法規」たることが明記されている、しかし、われわれ自らがこれを擁護し、保持する努力を欠くならば、これまた単なる紙上の確認にとどまる。新憲法の施行にあたっての今日の感激と決意こそ日本再建の原動力たらねばならぬ。
(典拠は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料:請求記号Z81-46)

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『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―
(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)

闘いは、まだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。

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by kenpou-dayori | 2015-04-06 07:16 | 日本国憲法施行日の社説


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