岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2015年 04月 25日

日本国憲法施行日の社説No.47:『長崎日日』5月3日論説「新日本の門出 吾等自らも魂の革新」

2015年 04月 25日(憲法千話)

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日本国憲法施行日の社説No.47:
『長崎日日』5月3日論説「新日本の門出 吾等自らも魂の革新」

昭和22年5月3日付『長崎日日』一面
5月3日付論説「新日本の門出 吾等自らも魂の革新」
(目に負担が大きいので、当面、文字起こしを中断していますが、この論説は、広めていただきたい素晴らしい文章なので、尊敬の念を込めて、文字起こしをしました。)

『長崎日日』5月3日付論説「新日本の門出 吾等自らも魂の革新」
「きょうから新憲法が実施される。昭和二十二年五月三日は、まさに日本更生の日である。『そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表がこれを行使し、その権利は国民がこれを享受する』という人類普遍の原理にもとずき、『ここに主権が国民に存することを宣言し』た新憲法の実施は、これを旧日本から見れば、まさに革命的な大変革といわねばならぬ。『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。(第九条)と規定し、戦争の放棄とあわせて武力の放棄と交戦権を放棄した『日本国憲法』は、これを世界政治史のうえから見ても、いまだ嘗(かつ)て前例を持たないのである。
マッカーサー元帥は『この憲法は、世界における最も自由にして且つ進歩的な国家の憲章に伍するものである。これは人類の偉大な精神的革新の一つを反映するものである。その実施は極東に一つの新時代を画するものであって、文明の将来に極めて重要であることを立証するであろう』(四月二十七日声明)と述べているが、わが新憲法と、その実施とは、まことに世界史的意義を持つものである。
この崇高にして厳粛なる大憲章は、本日をもって実施されたのである。きょう東京においては、午前十時半より宮城前広場で憲法普及会主催の盛大な記念式典があげられ、天皇陛下御出席のもとに、国会議員、内閣、裁判所その他諸官庁代表者、民間各代表者ら国民多数が参列し、民主日本の門出を慶祝するを初めとし、時しも新緑に風かおる全国の津々浦々まで人権伸暢に感激の式典や、明朗日本を希求する数々の催し物がくりひろげられる。
自由と平和は人類の求めてやまぬ理想である。民主日本は敗戦によって与えられたものであり、われわれの努力によって戦いとったものではないが、自由と平和を理想とする民主社会への指向は、人文発展の当然の帰結であり、民主国家の出現は勝敗の如何に関せず、われわれ国民大衆の久しく待望してやまぬところであったのだ。大乗的に見れば、不幸にして戦野にたおれた幾百万の犠牲が、今日の民主化をもたらしてくれたとも諦観されるのである。われらはこの新憲法の実施により、民主日本の第一歩をふみ出したに過ぎない。われわれ日本国民は国家の名誉にかけ、この憲法の成文を身につけ、全力をあげてこの崇高なる理想と目的とを達成せねばならない。
尾崎翁は『新憲法よりも、はるかに劣った旧憲法すら、わが国民は十分に実行し得ない結果が、千古未曾有の国辱となって今日あらわれている。旧憲法でも正当に行われていたならば、決して今日の如き大屈辱には遭遇せぬはずである。憲法がすぐれたものであればあるほど、知識や道義のなお低いわが国人民に於いては実行困難であることを覚悟せねばならぬ』といわれたがまさに翁の申される通り、憲法の成文が立派になったからといって、国民が立派になり国が立派になったとは言えないのである。『憲法で国が救われるものなら、世界に滅亡する国はありませぬ』。翁のことばは辛辣(しんらつ)ではあるが、わが国家国民に対する深き愛情からの苦言である。新憲法が、われわれにとって『ネコに小判』のたとえ通りであっては、世界のお笑い草となるばかりか、日本も再び浮かぶ瀬のない奈落の深淵におちこむほかはないであろう。
今や『主権在民』の憲章のもと、国会は国権最高の機関、国の唯一の立法機関と規定され、内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決によって指名さるることとなり、国会は行政機関たる内閣、司法機関たる最高裁判所にたいし幾多の優位なる地位が与えられ、明治憲法以来、立法府が恰(あたか)も行政機関たる内閣の補助機関たるかの如き実情に低迷していた旧態を、かなぐりすてて、『人民による人民のための人民の政治』が実現するに至ったのであり、従来国民の権利の如きも大部分は、立法事項の範囲を定めたにとどまり、その内容は法律にゆだねられたが、新憲法においては公共の福祉に反せざる限り国民の自由と権利とが憲法の成文によって擁護されるなど、われらの基本的人権は著しく強化されたことを銘記し、ここに新なる感激と情熱とを以て、民主日本の国民たる責務を果たさねばならぬ。きょう日本の新紀元にあたり、われらはわれら自らの魂の革新を遂げねばならないのである。」

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5月3日付二面
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(典拠は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料*請求記号YB-1928)

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by kenpou-dayori | 2015-04-25 21:00 | 日本国憲法施行日の社説


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