岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2015年 04月 28日

憲法便り#905:『日本国憲法公布、その日、あなたの故郷ではNo.5: 宮城篇』(5月15日増補・改訂)

2015年4月29日(水)(憲法千話)
2015年5月5日(火)増補・改訂版)
2015年5月15日(金)増補・改訂版)
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憲法便り#905:『日本国憲法公布、その日、あなたの故郷ではNo.5: 宮城篇』

岩田行雄編著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』第四部より

【 宮城篇 】

【河北新報】公布記念(十一月三日付二面より)

「けふ新生の鐘ぞ鳴る わき上がる祝賀の声 繰り展ぐ市民の大行進」民主日本再建の基礎となる新憲法は、今三日の明治節を卜(ぼく)して公布され、この記念すべき日を寿ぐため、全県を挙げて記念行事が繰展げられる。まず午前十時を期して県下全市町村をはじめ、官庁公署、学校などあらゆる公共団体が祝賀式を挙行。これに続いて各市町村では祝賀芸能大会、体育祭、仮装行列、郷土民謡、相撲、野球など思い思いの祝賀行事を展開する。一方県では、憲法が実際に施行される五月まで新憲法精神普及徹底運動を展開、期間中、研究講座、映画、幻燈などあらゆる機関を動員して、民主日本再建の基礎を固めることになった。なお、今三日の主なる行事は左の通り。

△仙台市民祝賀大会=午前十時市役所前広場
△街頭行進=仙台市を南北両地区に分け、南地区は五橋国民校に、北地区では尚□女学校に、午前十一時半までに両地区内の男女中等学校代表一万人が集合、正午を期して街頭行進に移り、全市内に新憲法公布の喜びを溢れさせ、午後一時県庁前広場に集合、県民祝賀大会に参列する。
△県民祝賀大会=午後一時県庁前広場で開催、本社会長一力次郎氏の開会の辞にはじまり、千葉知事、岡崎仙台市長の式辞があって、東北帝大清宮教授の記念講演と仙台吹奏楽団の祝賀演奏を行う。
△音楽行進=仙台吹奏楽団は、県民大会終了後、県庁から仙台駅前まで音楽行進を行う。

[憲法公布記念映画会](主催河北新報社・夕刊東北新聞社・移動映写連盟東北事務局)〔期日〕両方とも三日午後六時からで、入場無料。〔会場①〕仙台市五橋(東六番丁)国民学校〔プログラム〕明日を創る人々(東宝)、歌のアルバム第一集、子供ニュース、新世界ニュース、〔会場②〕荒町国民学校〔プラグラム〕大曾根家の朝(松竹)、歌のアルバム第二集、子供ニュース、新世界ニュース。

[新憲法普及講演会]〔日程〕五日岩沼、十一日鹽竃、十五日小牛田、十八日築館、二十二日石巻、〔講師〕柳瀬、清宮両教授と祖川講師。
[石巻市で詩や図案の懸賞募集]石巻市では新憲法公布祝賀行事として、懸賞募集を行う。〔締切〕△第一部(ポスター、図案、写真、絵画)十一月二十日、△第二部(詩歌、俳句、標語、紙芝居脚本四百字詰め原稿用紙二十枚以内)十一月七日。〔届け出先〕市役所教育課。
[お米の特配]民主憲法の公布を記念するため、宮城県では老若男女の別なく消費者に限り一人三合のお米を特配する。このお米は全部三日までに配給する予定であったが、輸送の関係で遅れたもので、早いところでは二日から配給しており、遅くとも四日までには全部行き渡る。

(十一月四日付一面より
「新生日本へ大行進 全県下を慶祝一色に彩る」新生日本にとって最大の礎たる「日本国憲法」は、全国民斉しく喜ぶ中に秋空高き十一月三日、明治の佳節を卜(ぼく)して公布された。自由、民主、平和の三大原理を骨子とする新憲法は、武器を捨てた国民の“世界永遠の平和”へのひたむきな願いを反映して、民主日本への第一歩を力強く踏み出した。この日、宮城県でも県民こぞっての祝賀行事が街に山に海に繰りひろげられ、新憲法を謳歌する声は菊薫る秋空に玲瓏と轟いた。午後一時県庁前広場には、この日を寿ぐ二万の県民が参集、仙台市内女子中等学校の生徒約五千名が、髪に、胸に、手にそれぞれの趣向をこらした造花をつけて会場に異彩を放った。仙台放送管弦楽団の前奏曲で新憲法公布記念県民祝賀大会の幕は切って落とされ、一力河北新報社会長の開会の辞、千葉宮城県知事、岡崎仙台市長の祝辞に続いて、「新憲法の精神」と題する特別講演に立った東北帝大清宮教授は、「新憲法の精神こそ、新しき民主日本に贈られた平和と自由の国民的大精神である」と強調して、一万の聴衆に多大の感銘を与えた。終って参加楽団の記念演奏あり、崎山仙台中央放送局長の閉会の辞あって、祝賀大会は盛大裡に幕を閉じた。

(写真は県庁前広場の「新憲法発布」のアーチと「祝」の文字の旗行列)

[仙台]
新憲法公布の日、仙台市では県下記念行事のトップを切って、午前十時から市役所前広場に祝賀大会を催した。定刻十時半、市内中等諸学校生徒、各種団体員、市職員、来賓に一般市民を加えて二千有余の会衆が続々と広場につめかけると、仙台吹奏楽団は佐藤楽長の指揮棒も軽やかに、明るい音楽を奏でて満場を祝賀気分に誘う。十時五十五分宇津志市学務部長立って開会を宣し、ついで吹奏楽団の伴奏で全員君が代を斉唱、久しぶりに国民的感激を新たにする。ついで、東京国会議事堂からの中継放送は、玉音朗々たる天皇陛下の勅語御朗読を場内に伝えれば、全員謹んで拝聴、感激に咽ぶ。吉田内閣総理大臣の勅語奉答あって中継放送を終り、岡崎市長壇上に立って新憲法の前文を朗読、つづいて渡邊県内政部長が(宮城県の)千葉知事の祝辞を代読、最後に佐藤市会議長の発声で万歳を三唱、文化日本の前途に贈る祝福の声を空高くほうり上げた。
[石巻市]
石巻市では、午前十時市会議事堂で官民合同の祝賀式を挙行、席上市政功労者表彰式を行った。この日、市街は国旗の波に彩られ、折柄の日曜日とかち合って、人の波も平常の二倍を数えた。祝賀行事は国民学校児童の旗行列でトップを切り、つづいて堺市長を先頭に市内男女中等学校生徒がブラスバンドの演奏に足並みを揃え、“祝新憲法公布”“自由と平和”などのプラカードを掲げて祝賀行進を行った。また、一方石巻国民学校では祝賀舞踊大会、石巻市役所職員の演芸コンクールなど盛り沢山な各種行事が繰りひろげられ、街頭には祝賀酒に平和日本のほほ笑みをたたえた一群も散見され、全市挙げて新憲法公布、民主国家建設への喜びにひたった。
[鹽竃]
新憲法公布を祝う鹽竃市では、午前九時の号砲を合図に各官署をはじめ団体、一般市民、学童など約五千名が郊外の上ノ原グランドに開催の祝賀市民大運動会場に集合、盛大な記念式を行った後、各町内会、各団体の対抗体育絵巻を繰りひろげた。この日魚市場では新鮮なタラを全市に特配、港に出入りする船舶は満艦飾を施して陸の喜びに呼応、また金華山漁場から帰港したあぐり(揚繰り)船はイワシ六万貫を水揚げ、市内の祝賀に応えた。

[河北新報社による新憲法記念論文募集]〔テーマ〕
①新憲法とわれらの歩み、
②二十年後の夢を描く。
〔応募締切〕十二月三十一日〔審査発表〕昭和二十二年(一九四七年)二月十一日付河北新報紙上〔原稿枚数〕百五十枚以内。

(十一月四日付三面より)
[仙台市内の風景点描]
新憲法公布、久しぶりの日の丸が目にしみる。仙台市電も日の丸をつけて走っている。奉祝々々で仙台の中心部に押し寄せた夥しい人々が自ら酔ったように押しつ押されつ流れていく街の人ごみ中から……
「平和の女神も出る 花束で彩る大行進」「老若男女 奉祝気分に酔う」東一番丁の公設市場は軒ごとにお揃いの新しい日の丸を掲げ、奉祝気分の人々が雑踏している。新婚らしい絵羽織の若奥様、しばらく迷って一匹四十五円の目抜けを半前買った。次の店ではリンゴと干し椎茸、旦那様風呂敷を持ってやりながら、「今日は凄いね、お酒は配給になったし、断然奉祝新憲法だね」「大声出さないでよ、みっともないわ」、旦那様何を言われてもニコニコ笑っている。この二人、奥様の御発議か、次に一折二十円のお菓子を買った。まさに豪華版のごちそうが羨ましい。小間物屋さんの一個四円と六円五十銭の美しい布製の花飾りが売れる売れる。▲「おや、お嫁さんだ、お嫁さんだ」とワーッと人が集まる。金襴緞子の花嫁さんが、自動車の中で小さくなっているが、やはり何となく嬉しそう。このおめでたい日におめでたい式を挙げた祝典のダブルプレー。片平の丁大神宮だけで三組、近来のレコードとある。
▲これまた街の真ン中で「新憲法反対野外演説会」の大看板。「草案第一条およびその他いわゆる主権在民の思想は……」と熱弁をふるっている。聴衆約二、三百、看板を見ながら中学生二人、「聞くべ、聞くべ、凄いぞ、こいつ……」「やんだ、面白くねえから、映画さ行くべや」。
▲市内某映画館はずらりと並んだ行列々々、中は廊下の方に人が多いような人ごみ、中から鼻の頭に汗をかいて出て来る。「ふつうのことしてたら見られん。喧嘩するつもりで見んのじゃ」。
▲映画館の隣の食堂では丁度お昼時で、皆お弁当出してパクついている。重箱、お握りと色々あるが、皆赤飯の奉祝一色。
▲「さあ、奉祝の御馳走に買った買った、新憲法のサンマ、六本十円」景気のいい魚屋さんの帽子に、お祝いのつもりか野菊一輪。△女学生の奉祝行進が自転車部隊を先頭にやって来る。頭や胸にきれいな造花をつけ、花山車をかついだり、生(いき)人形になったお嬢さんを乗せた車を引きながら、「平和日本建設の門出」「平和の女神」などと書いたプラカードや幟(のぼり)を持って、さすがに明日への希望に輝く若々しさ、黒山のように集まる人々の上から、進駐軍の兵隊さんがカメラをパチパチ。
「ビールも自由販売 新市域では祝いの餅」△「新憲法公布を記念して、ジョッキ一杯付き出しつきで十円。但し、御一人様一杯限り五百人様迄」。その看板の下から、まだ売り出し二十分程前なのに、すでに延々長蛇の列。娘さんもちらりほらりと二、三人、自分が飲むのか、彼氏に自分の分を飲ませるのか、ちょっと気のもめる男女同権風景。△農事は例年よりもはかどり、早場米の供出も予定の三倍を出した仙台の新市域では、世紀の記念日の三日早朝、戸毎に臼の音を響かせて祝い餅をつき、野良仕事は休んで、赤い着物の娘たちと復員服の青年たちは、どっと市の中心部へ押し出し、闇市の中を流れて評定河原の青年運動会へと急いだ。また、各公会では三合づつの特配酒を持ち寄って、農地解放やら夫婦同権やらの話に花を咲かせ、秋日和の午後を和やかな空気の中におくった。

*以上の他に、左記の祝賀行事が紹介されている。
[六県家内工業展示会]
仙台市・市商工会議所主催 河北新聞社後援で記念即売(十一月一日から行っていた展示会の三日目)。
[新憲法公布記念 河北旗争奪 第一回県下学童野球大会]
主催河北新報社・大日本学徒体育振興会宮城支部 後援仙台中央放送局
〔日時〕十一月五日午前九時(雨天順延)
〔会場〕認定河原帝大球場。
[新憲法奉祝大芸能祭 松竹名人会]
(主催協助会宮城県支部・開催地各市町村 後援河北新報社・夕刊東北新聞社)十一月五日―十三日

昭和21年11月4日付『河北新報』一面(11月3日付となっていたのは入力ミスなので、訂正)
【写真】は、慶祝の旗をかざして行進する県民。(県庁前)
社説は「新憲法を生かすために」。
下段に、「祝 民主憲法発布」と題した、出版社の共同広告。
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(画像の典拠は、宮城県図書館所蔵マイクロ資料より)

*次回は、秋田篇。

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以下の書評を増補しました。

2013年 06月 22日
【速報】毎日新聞(宮城)に記事が掲載されました


毎日新聞(6月21日付・地方版)に記事が掲載されました。
掲載紙が届きましたら、改めてお伝えいたします。

自費出版:戦後の新聞に見る憲法 研究者の岩田行雄さん、国民の熱気伝える /宮城
毎日新聞 2013年06月21日 地方版

 憲法研究者の岩田行雄さん(70)が「心踊る平和憲法誕生の時代−戦後の新聞61紙に見る『憲法民主化』の過程」を自費出版した。日本国憲法が生まれた時期の毎日新聞、河北新報、熊本日日新聞など全国の新聞の紙面が収められているが、大半の新聞が新憲法の公布(1946年11月3日)を「国民が待ち望んだ憲法」との認識で報じており、当時の熱気がうかがえる。【小原博人】

 岩田さんは、新憲法成立史を研究するため、全国の図書館などで公布に関する当時の新聞記事を収集した。

 河北新報の46年11月4日付1面は「新生日本へ大行進」の見出しで、「(前略)自由、民主、平和の三大原理を骨子とする新憲法は、武器を捨てた国民の“世界永遠の平和”へのひたむきな願いを反映し(後略)」と報じた。2万人が集まった県庁前広場での公布祝賀行事や、県民の新憲法に寄せる思いを多面的に伝えている。

 多くの新聞が新憲法を歓迎する中、評価色が薄かったのは、共和制を掲げる共産党機関紙「赤旗」など2紙だったという。

 同書は、GHQ(連合国軍総司令部)と幣原喜重郎内閣の「憲法問題調査委員会」の折衝など、新憲法誕生に至る経過を概説。民間の「憲法調査会」の憲法草案がGHQ案に反映されたことや、45年末までに民主憲法を求める世論が形成されていたことなどを伝え、「改憲派の“押しつけ憲法”批判は当たらない」としている。公布時の吉田茂首相の「押しつけ憲法批判」への反論も紹介している。

 岩田さんは東京都在住。戦時中、福島県への疎開体験がある。「戦争協力を反省した新聞が民主憲法の誕生に果たした役割を明らかにできた」と話す。
 1050円。2000部発行。問い合わせは美和書店(03・3402・4146)。」
ここまでが、増補部分です。

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2014年2月27日
憲法便り#552 昨年6月21日付『毎日新聞(宮城県版)』に掲載の拙著『心踊る・・』の紹介記事


新聞労連加盟109組合宛に出した手紙に同封した、2013年6月21日付『毎日新聞(宮城県版)』の紹介記事のコピーです。

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昨年、【速報】としてお伝えしました
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※平和憲法を守る闘いに寄与するため、昨年5月に下記の新著を緊急出版しました。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―

(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)
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闘いは、まだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。
ご注文は、下記の書店へ
美和書店 電 話03-3402-4146  FAX 03-3402-4147

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by kenpou-dayori | 2015-04-28 22:35 | 憲法千話・公布記念行事


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