2015年5月3日(金)(憲法千話)
同日午後7時45分加筆:
①『大阪新聞』は、当時発行されていた地方紙ですが、現在は発行されていません。
②『産業経済新聞』は、『産経新聞』の前紙ですが、当時は大阪の地方紙でした。
岩田行雄編著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』第四部より
憲法便り#931:『日本国憲法公布、その日、あなたの故郷ではNo.31: 大阪篇』『大阪新聞』憲法公布(十一月四日付一面より)[大阪市]「公布を記念して 公会堂で大阪市民大会」菊花かおる今日の佳き日、新しい日本の門出を祝い、大阪市主催の新憲法公布記念、大阪市復興市民大会が中之島公会堂で開かれ、大阪軍政部司令官、トラクセス司令官、田中知事(代理)、阿部商工会議所副会頭など来賓をはじめ、全市町会代表約千名が来会。
(同二面より)「全市に轟く太鼓の音 赤いおべべで絢爛の地車を曳く」秋日いよいよ和やかに赤い晴着の麗人をはじめ、美しい服に手を通し、母親に寄り添う子供たちの嬉々とした姿に、日曜と祭日と復興を行楽する姿が描かれ、中之島中央公会堂では市民大会が開かれて、復興祭を今日三日に祝い尽そうとする喜びが、こぞって全市民の胸に烈しく燃える一日であった。
▲ワッショイワッショイワッショイ、チンチンドンチンチンドンと叩く太鼓と鉦の音に、老いも若きも、男も女も赤いおべべに白粉つけて、鹿の子の帯を細めにしめ、あれ、やれうれしと大阪復興の祭りを踊る。生野区町会連合会では同区振興会主催のもとに地車十一台を押し出し、一台につき約八百人が付き添い、総勢二万の市民が取巻き、今日三日午前九時に同区勝山通りの生野女学校講堂に参集して繰り出し、燦々と照りそそぐ陽光をあびて、声の限り、力の限り、歌い舞う絢爛の地車行列を行い、生野国民学校前から産業道路を経、今(?)里新地で解散した。
[守口市]「前市沸き返る 市政実施の守口」
新憲法公布と市政施行の二重の祝賀に賑わう守口市では、三日早朝から全市各町内会はそれぞれ思い思いの趣向をこらした花車や仮装行列も、三味や太鼓で練り出されているほか、三郷宮東第一町内会、守口岩井町内会、北日吉町内会などは、それぞれ地元で演芸や運動会を開き、福引券などを贈呈して大当たりの景気ぶりを展開していた。
『産業経済新聞』憲法公布(十一月四日付三面より)「大阪府庁の祝賀」新憲法公布、明治節、大阪復興祭の重なる喜びの日を迎え、大阪府では三日午前十時五十分から府正庁において田中府知事以下全庁員が参集、記念祝賀式を挙行したが、同式場において田中府知事は次のごとき祝辞をのべた。新憲法は平和日本再建の基礎をなす大憲章である。その構想が日本民主と平和愛好の遠大なる世界観にたっており、民主国家として立ち上がらんとする国民の理想、信条を如実に顕示するということは今更申すまでもない。この期においてわれら国民は、一面敗戦の厳粛なる事実を深く反省するとともに、自由民主の国民たる自覚に徹し、あくまで新憲法の精神発揮につとめ諧和協調、渾身の力をふるってあらゆる苦難を克服し、一路精進することを誓い合い必ずこれを実行したいと念願する。
[大阪港の祝賀]憲法公布の三日、大阪港では港内に停泊する数十の船舶は半船飾を施し、佳き日を祝ったが、七日母港大阪を出港、南氷洋捕鯨への壮途にのぼる母船橋立丸も船尾に日章旗をへんぽんとひるがえし、再建日本の逞しい意気をしめし、迫る鹿島立ちを前に、佳き日を寿ぎつつ必需品の積込みに大わらわである。」
昭和21年11月3日付『大阪新聞』一面
(画像の典拠は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料:請求記号YB-13)
昭和21年11月3日付『産業経済新聞』一面
(画像の典拠は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料:請求記号YBー12)
【 再録資料 】
2014年9月4日付憲法便り#644 資料発掘:昭和21年11月大阪市主催の新憲法発布祝賀「大阪市復興芸能祭」徳島県の吉田書店から入手した史料です。
昭和21年11月1日・2日・3日に開催された大阪市主催の「大阪市復興芸能祭」のプログラム。
表紙には
「新憲法発布祝賀 食糧感謝 大阪市復興芸能祭」と謳われ、敗戦から起ちあがる当時の市民の率直な気持ちが表されています。
戦災と食糧難を経験した私には、この気持ちがよく判ります。
今、憲法改悪や集団的自衛権行使を認める発言をしている政治家たち、また、その発言に影響されている人たちにも、よく考えて欲しいと思い、このプログラムの全文を紹介します。
これは、『心踊る平和憲法誕生の時代』および、同書の改題・補定第二版『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』の、167頁下段の記述への補足情報です。
【大阪新聞】憲法公布(十一月四日付一面より)
[大阪市]「公布を記念して 公会堂で大阪市民大会」菊花かおる今日の佳き日、新しい日本の門出を祝い、大阪市主催の新憲法公布記念、大阪市復興市民大会が中之島公会堂で開かれ、大阪軍政部司令官、トラクセス司令官、田中知事(代理)、阿部商工会議所副会頭など来賓をはじめ、全市町会代表約千名が来会。
『大阪新聞』では、このように大まかに報道されていましたが、その詳細は、以下の通りです。
*次回は、 兵庫篇。
※平和憲法を守る闘いに寄与するため、2014年5月に下記の新著を緊急出版しました。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)
闘いは、まだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。
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美和書店 電 話03-3402-4146 FAX 03-3402-4147