岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2015年 05月 11日

憲法便り#983 『検証・憲法第九条の誕生』(第六版):【序章】第九条と国際貢献、軍備について

2015年5月11日(月)(憲法千話)

憲法便り#983 『検証・憲法第九条の誕生』(第六版):【序章】第九条と国際貢献、軍備について

【序章】第九条と国際貢献、軍備について一九四六年当時の日本政府の見解

昭和二十一年六月 法制局作成 憲法改正草案に関する想定問答〔増補第一輯(しゅう)〕より
 (国立国会図書館ホームページより引用)
問 第九条により軍備を保持しないことになると将来国際連合に加入する場合に支障があるのではないか。
答 国際連合憲章は、戦争防止のための措置として、即ち経済関係及び交通通信の断絶等を含む非兵力的措置(第四十一条)を以っては不十分な場合には、陸海空軍による行動をとることが出来ると定め(第四十二条)、このために必要な兵力の組織に関しては「連合全加盟国は国際平和並びに安全の維持に貢献するために安全理事会の要求に基づき、特殊の一又はそれ以上の協定に従い、安全理事会に対し国際平和並びに安全の維持に必要なる兵力……を提供する」(第四十三条第一項)と定め、又、「連合国をして緊急軍事措置をとることを得しむるために、加盟国は総合的国際強制措置に直ちに使用し得るよう自国空軍分遣隊を保有して置かねばならない」(第四十五条)と定めております。従って将来我国が国際連合に加入せんとする場合にはある程度の陸海空軍を備えて居らねばならぬのではないかと言う問題が生ずるのであります。
 しかし、この問題は、将来の問題であって、現在種々論ずることは適当ではないのであります。もし仮に国際連合加入の問題を生じたときには、その際の事情を考え、最も適当と考える措置を講ずる所存であります。なお強いて論ずるならば、その際は本条を改正する必要があるとするのも一つの考え方でありますが、我国は、本条第一項の示す様に、永久に戦争を放棄することを国是とし、本条はこの国是を闡明(せんめい)したものでありますから、前に述べました様な基本的な立場を堅持し、寧ろ国際連合憲章自身に対しても批判的な態度を採り、連合加盟各国といえども将来は我国に追随し軍備なき平和国家となるべきものであり、国際連合の究極の目的もこの理想の達成にあることを思い、この見地に立って国際連合を指導するの態度をとるべきものと考えることもできるのであります。但し、実際政治の関係上仮に我国の右の如き基本的立場が未だ達成せられない中に、国際連合に加盟することとなりました場合には、国際連合憲章を改正するか、或いは解釈により、我国に対し例外的な取扱いをなし、兵力提供の義務を免ぜしめることも亦(また)可能であろうと思います。
 [(注)国際連合への加盟申請書及び証言は、一六二頁以下に収録]
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by kenpou-dayori | 2015-05-11 07:59 | 自著連載


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