岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2015年 05月 11日

憲法便り#992「世界の国々の憲法に先鞭を付ける意気込みで」(鈴木義夫議員(日本社会党)の質問)

2015年5月11日(月)(憲法千話)
同日、ツイッター向けに改題:「世界の国々の憲法に先鞭を付ける意気込みで」

憲法便り#992 「鈴木義夫議員(日本社会党)の質問」」:『検証・・』(第六版)第四章(6)

『検証・憲法第九条の誕生』(増補・改訂 第六版)より
第四章 第九十回帝国議会 衆議院本会議での憲法改正案論議(6)

【昭和二十一年六月二十六日(水)の質疑】
午後一時四二分開議、午後五時散会

鈴木義男議員(日本社会党)の質問
「世界の国々の憲法に先鞭を付ける意気込みで」


鈴木議員 次にお尋ねを致したいのは戦争放棄の宣言についてでありますが、我が国が苦い経験に鑑み、平和主義に徹しまして、我が国の安全と生存とを挙げて平和を愛する世界諸国民の公正と信義に委ねまして、政策としての戦争はこれを放棄し、一切の軍備を撤廃するということを国是としましたことは、結構なことであります。もしや外国評論界の一部に、それは子供らしい信念だと笑う者がありましても、誤って改むるにはばかることなかれでありまして、我が国が先鞭を付けることに依りまして、世界の国々の憲法に、この種の規定を採用せしむるだけの意気込みを以って臨むべきであると信じます(拍手)。
現に不成立に終りましたが、フランスの過般の憲法草案には、征服的戦争は決してしないということを宣言しておるのであります。段々これにならうものが多くなろうと信じます。
我が党は、単に消極的戦争放棄を宣言するだけでなく、進んで平和を愛好し、国際信義を尊重することを以って国是とするということを、憲法の中に明らかにしたいと考えて居るものでありますが、そのことはしばらく措きまして、戦争の放棄は、国際法上に認められて居ります所の、自衛権までも抹殺するものでないことは勿論であります。このことは、心配をしてご質問になった方が二、三あるようでありますが、ご心配はご無用であります。
しかし、軍備なくして自衛権の行使は問題となる余地はないのでありまするから、将来、幸いに国際連合等に加入を認められまする場合に、国際連合に安全保障を求め得られるであろうということを期待致すのでありまするが、我々の心配致しますのは、我が国が第三国間の戦場となるようなことであります。これは憲法の問題ではありませぬが、こういう宣言を致しまする以上、政府は将来外交手段その他にうったえて、一日も早く国際連合に加入を許され、安全保障条約等に依って、我が国が惨禍を被ることを避けられるように善処せられる用意があられるかということを、念のためにお尋ね致すのであります(拍手)。これは、国民全体が深く心配を致して居る所でありまするから、この際、政府のご所見を明らかにされたいと存ずるのであります。
昨日、北君は、局外中立を交渉する用意があるかと質問されたのでありまするが、局外中立、ことに永世中立というものは、前世紀の存在でありまして、今日の国際社会にこれを持ち出すのは、「アナクロニズ
注=時代錯誤)」であります。今日は、世界各国団結の力に依って安全保障の道を得るほかないことは、世界の常識であります(拍手)。加盟国は軍事基地提供の義務があります代わりに、ひとたび不当にその安全が脅かされます場合には、他の六十数カ国の全部の加盟国が一致してこれを防ぐ義務があるのである。換言すれば、その安全を保障せよと求むる権利がありますのであるから、我々は、消極的孤立、中立的政策等を考えるべきでなくして、あくまでも積極的平和機構への参加政策を執るべきであると信ずるのであります(拍手)。この点に付いて、政府のご所見は、如何でありますか。

金森国務大臣 次に第二章の戦争放棄に関係におきまして、この自衛権は勿論存するというご前提から、更に、外交的なる手段を以って、世界に呼びかけるという気持は持って居るか、努力するこの腹案に付いてお尋ねになりましたが、これは総理大臣が他の機会においてご説明になりました通り、さような考えを心の中には描いて居るけれども、現実の問題としては、これを明らかにするには時期が適当でない、こういう意味にお考え願いたいと思います。
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by kenpou-dayori | 2015-05-11 15:03 | 自著連載


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