岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

kenpouq.exblog.jp
ブログトップ
2015年 06月 07日

憲法便り#839これが真の有識者だ!衆議院・憲法審査会で憲法学者3氏が発言した要旨(6月8日補訂)

2015年6月7日(日)(憲法千話)
2015年6月8日補訂、若干の改題:憲法審査会委員名簿

憲法便り#839これが真の有識者だ!憲法審査会で憲法学者3氏が発言した要旨(6月8日補訂)

近頃、政府が「有識者」として、招き入れる人々は、御用学者、御用評論家が多く、信用ならない人物がほとんどと言ってよい。

だが、今回、憲法審査会に参考人質疑のために招致された3氏は、違っていた。

その発言の要旨を、複数の新聞に依拠して、掲載する。

2015年6月4日付『東京新聞』 夕刊一面トップ

安保法案 参考人全員「違憲」 衆院憲法審 与党推薦含む3氏

写真(3氏がひとつの写真に収まっている。左から、長谷部恭男氏、小林節氏、笹田栄司氏の順)
 衆院憲法審査会は四日午前、憲法を専門とする有識者三人を招いて参考人質疑を行った。いずれの参考人も、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案について「憲法違反」との認識を表明した。自民、公明両党の与党が推薦した参考人を含む全員が違憲との考えを示したことで、衆院で審議中の法案は憲法の枠内だとの政府の主張に対する疑義が鮮明になった。
 参考人として出席したのは、自民、公明、次世代の各党が推薦した長谷部恭男(はせべやすお)早稲田大教授、民主推薦の小林節(こばやしせつ)慶応大名誉教授、維新推薦の笹田栄司(ささだえいじ)早稲田大教授の三人。
 長谷部氏は、安保法案のうち集団的自衛権の行使を容認した部分について「憲法違反だ。従来の政府見解の論理の枠内では説明できず、法的安定性を揺るがす」と指摘。小林氏は「私も違憲だと考える。(日本に)交戦権はないので、軍事活動をする道具と法的資格を与えられていない」と説明した。笹田氏も「従来の内閣法制局と自民党政権がつくった安保法制までが限界だ。今の定義では(憲法を)踏み越えた」と述べた。
 いずれも民主党の中川正春委員の質問に答えた。法案提出前の与党協議を主導した公明党の北側一雄委員は「憲法の枠内でどこまで自衛の措置が許されるかを(政府・与党で)議論した」と反論した。
 国際貢献を目的に他国軍支援を随時可能にする国際平和支援法案が、戦闘行為が行われていない現場以外なら他国軍に弾薬提供などの後方支援をできるようにした点について、長谷部氏は「武力行使と一体化する恐れが極めて強い。今までは『非戦闘地域』というバッファー(緩衝物)を持っていた」と主張した。
 小林氏は「後方支援は特殊な概念だ。前から参戦しないだけで戦場に参戦するということだ。言葉の遊びをしないでほしい。恥ずかしい」と述べた。
 審査会は、参考人が立憲主義や改憲の限界、違憲立法審査をテーマに意見を述べた後、各党の委員が質問する形で進められた。
 安保法案をめぐっては、憲法研究者のグループ百七十一人が三日、違憲だとして廃案を求める声明を発表したばかり。安倍政権の憲法解釈に対し、専門家から異議が強まっている

2015年6月5日付『しんぶん赤旗』
(注:私が自宅で購読している赤旗の一面よりも、インターネット上で掲載されている要旨のほうが詳しいので、後者を引用する)

戦争法案についての3氏の発言

 4日に行われた衆院憲法審査会の参考人質疑のうち、早稲田大の長谷部恭男(やすお)、笹田栄司(えいじ)両教授、慶応大の小林節(せつ)名誉教授の戦争法案についての発言(要旨)を紹介します。

長谷部恭男・早稲田大教授
写真
「外国の武力行使と一体」

 集団的自衛権の行使が許されるという点について、私は憲法違反だと考えている。従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかないし、法的な安定性を大きく揺るがすものだ。

 私は、外国の軍隊の武力行使との一体化に自衛隊の活動がなる恐れが極めて強いと考えている。

 憲法9条を見ただけでは、自衛の限界というのははっきりとわからない。ただ、文言を見た限りでは、たとえ自衛が認められるとしても、極めて極めて限られているに違いないことは大体わかる。その上で、内閣法制局を中心として紡ぎ上げてきた解釈がある。文言、条文を見ただけではわからない場合に、解釈を通じて意味を確定していくということになる。

 従来の政府の見解は、我が国に対する直接の武力攻撃があった場合に、かつ、他にそれに代替する手段がない、必要性があるという場合に、必要な最小限度において武力を行使する―それが自衛のための実力の行使だと言っていた。まことに意味は明確だ。

 昨年7月1日の閣議決定で、限定的ながら集団的自衛権行使ができる場合があるとの変更がなされているが、その結果、一体どこまでの武力の行使が新たに許容されることになったのかの意味内容が、少なくとも議論をうかがっている限りはっきりしていない。解釈を変えたために意味はかえって不明確化したのではないか。

 従来の政府の見解の基本的な論理の枠内におさまっているかといえば、おさまっていないと思う。他国への攻撃に対して武力を行使するというのは、これは自衛というよりはむしろ他衛であって、そこまでのことを憲法が認めているのかという議論を支えることは、なかなか難しいのではないかと考えている。

笹田栄司・早稲田大教授
写真
「国民の理解得られない」

 日本の内閣法制局は、自民党政権とともに安保法制をずっとつくってきた。そのやり方は、非常に、ガラス細工と言えなくもないが、本当にぎりぎりのところで保ってきているんだなと考えていた。

 一方、例えばヨーロッパのコンセイユ・デタ(国務院)のような、日本の法制局の原型となるが、あそこは憲法違反だと言っても、時の大統領府なんかが押し切って、では、やるんだということで、極めてクールな対応をとってきて、そこが大きな違いだったと思う。

 ところが、今回、私なんかは、従来の法制局と自民党政権のつくったものがここまでだよなと本当に強く思っていたので、(長谷部、小林両氏の)お二方の先生がいったように、定義では踏み越えてしまった。やはり違憲の考え方に立っているところだ。

 (集団的自衛権行使容認の)昨年の閣議決定が出たときに、その文章をやはり学生諸君とかが見て読んでいくと、これは一読してわからないどころじゃなくて、読めば読むほど、どうなるんだろうと。それを今回落とし込んでいく作業をされているわけで、そうすると、概念がやはり本当にわからない。だから、今、国民の理解が(得られない)という話が出てくるのはやむを得ないところだ。

 やはり、最初の閣議決定のところの文章から理解することがすっきりこなかったということから始まっているとは思う。もちろんそれが努力の成果であることは私もわかっているが、われわれの結論は、やむを得ないと考えている。

 「後方支援」と兵たんのところで、やはり一番大きな疑問を感じている。今、小林先生のクリアな説明で私も十分、そうだろうと思っている。

小林節・慶応大名誉教授
写真
「露骨な戦争参加法案だ」


 (戦争法案を審議している)最近の特別委員会の議論は、有権解釈の問題よりも、常識と非常識の問題だ。政治家がプライドがあったらこういう議論はしないだろう。

 戦後70年間、少なくとも憲法9条の縛りで海外に軍隊は出せないできたものが、これからは、集団的自衛権と後方支援という説明がつくなら出せることになる。これは、今までしたことのない国際法上の戦争に参加することになる以上、戦争法だ。

 それが必要だと言っているならそれで行けばいいのに、「平和だ」「安全だ」「レッテル貼りだ」「失礼じゃないですか」と言っている方が、私ははっきり言って失礼だと思う。野党は論争をしかけ、その異常さを国民大衆に知らせてほしい。

 (法案は)私も違憲と考える。憲法9条に違反する。9条の1項は、パリ不戦条約以来の国際法の読み方としては侵略戦争の放棄。だから、自衛のための何らかの武力行使ができると、ここに留保されている。ただし、2項で、軍隊と交戦権が与えられていないから、海の外で軍事活動する道具と法的資格が与えられていない。この9条をそのままにして、海外派兵――集団的自衛権というのは、憲法9条、とりわけ2項違反(になる)。

 (法案にある)「後方支援」というのは日本の特殊概念だ。戦場に後ろから参戦する、前からは参戦しないよというだけの話であって、そんなふざけたことで言葉の遊びをやらないでほしい。これも露骨に、憲法(に違反している)。

 (「後方支援」は武力行使の)一体化そのものだ。兵たんなしに戦闘というのはできない。そういう意味では、これは露骨な戦争参加法案であり、もうその一事だけでも、私はついていけない。

*********************************************
2015年6月8日(月)加筆

憲法審査会 委員名簿(平成27年 4月15日現在)
(衆議院ホームページに基づき作成)

役職氏名     ふりがな    会派
会長保岡 興治君(やすおか おきはる)自民
幹事後藤田正純君(ごとうだ まさずみ) 自民
幹事河野 太郎君(こうの たろう)    自民
幹事根本 匠君  (ねもと たくみ)    自民
幹事平沢 勝栄君(ひらさわ かつえい)自民
幹事船田 元君 (ふなだ はじめ)   自民
幹事古屋 圭司君(ふるや けいじ)   自民
幹事武正 公一君(たけまさ こういち) 民主
幹事井上 英孝君(いのうえ ひでたか)維新
幹事北側 一雄君(きたがわ かずお) 公明
委員赤枝 恒雄君(あかえだ つねお) 自民
委員安藤 裕君  (あんどう ひろし)  自民
委員池田 佳隆君(いけだ よしたか) 自民
委員江崎 鐵磨君(えさき てつま)   自民
委員衛藤 征士郎君(えとう せいしろう)自民
委員木原 稔君 (きはら みのる)   自民
委員小島 敏文君(こじま としふみ)  自民
委員佐藤 ゆかり君(さとう ゆかり)  自民
委員高木 宏壽君(たかぎ ひろひさ)  自民
委員棚橋 泰文君(たなはし やすふみ)自民
委員土屋 正忠君(つちや まさただ) 自民
委員寺田 稔君 (てらだ みのる)   自民
委員野田 毅君 (のだ たけし)     自民
委員牧原 秀樹君(まきはら ひでき) 自民
委員松本 文明君(まつもと ふみあき)自民
委員宮崎 謙介君(みやざき けんすけ)自民
委員宮崎 政久君(みやざき まさひさ) 自民
委員武藤 貴也君(むとう たかや)  自民
委員務台 俊介君(むたい しゅんすけ)自民
委員村井 英樹君(むらい ひでき)  自民
委員山下 貴司君(やました たかし) 自民
委員山田 賢司君(やまだ けんじ)  自民
委員山本 有二君(やまもと ゆうじ)  自民
委員若宮 健嗣君(わかみや けんじ) 自民
委員大島 敦君 (おおしま あつし)  民主
委員鈴木 克昌君(すずき かつまさ) 民主
委員辻元 清美君(つじもと きよみ) 民主
委員中川 正春君(なかがわ まさはる)民主
委員長妻 昭君(ながつま あきら)  民主
委員古本 伸一郎君(ふるもと しんいちろう)民主
委員鷲尾 英一郎君(わしお えいいちろう)民主
委員小沢 鋭仁君(おざわ さきひと) 維新
委員馬場 伸幸君(ばば のぶゆき)  維新
委員吉村 洋文君(よしむら ひろふみ)維新
委員國重 徹君(くにしげ とおる)   公明
委員斉藤 鉄夫君(さいとう てつお) 公明
委員浜地 雅一君(はまち まさかず) 公明
委員赤嶺 政賢君(あかみね せいけん)共産
委員大平 喜信君(おおひら よしのぶ) 共産
委員園田 博之君(そのだ ひろゆき)  次世代
[PR]

by kenpou-dayori | 2015-06-07 11:18 | 見逃せない真実


<< 憲法便り#840:『6・4 国...      憲法便り#837 出演するウク... >>