岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2015年 06月 26日

憲法便り#899痛快!『世界から見た戦争法案の異常と危険』 外国特派員協会 志位委員長の講演

2015年6月26日(金)(憲法千話)

憲法便り#899痛快!『世界から見た戦争法案の異常と危険』 外国特派員協会 志位委員長の講演

去る6月23日に、外国特派員協会の招きをうけて、日本共産党の志位委員長が、
『世界から見た戦争法案の異常と危険』と題して講演を行った。

翌6月24日の記事で、概略が伝えられたが、詳細が分からないので、インターネットで検索すると、
幸い、Uチューブで見ることができた。

今国会での質疑を含め、外国人にも分かりやすまとめられているので、日本人には、もっと分かり易い。

そして何よりも、痛快である。

共産党が好きか、嫌いかは別にして、戦争法案についての問題点とその本質が凝縮されているので、一人でも多くの方に見て欲しいと思う。

女性の通訳がこれまた、素晴らしい!
英語をもう一度、学び直したくなったほどだ。

時折、参加者の笑いが聞こえ、臨場感たっぷりである。
だから、読むことが苦手の人たちには、勉強会にもってこいの映像である。

楽しみながら、闘いのエネルギーを補給できること請け合い!

昨日から、赤旗編集局に、いつ、この講演記録が掲載されるのかを、問い合わせようと思っていたところ、
今日の『しんぶん赤旗』の四面と五面を使って、掲載されていたので、
前半の、講演部分を『憲法便り#899』で、
後半の「一問一答」の部分を『憲法便り#900』で、同紙に基づき、紹介することとした。

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『世界から見た戦争法案の異常と危険』 外国特派員協会 志位委員長の講演

 日本共産党の志位和夫委員長が23日、日本外国特派員協会で行った講演と記者との一問一答を紹介します。発表にあたって、修正・加筆を行っています。

 今日は、ご招待いただきまして、まことにありがとうございます。日本共産党の志位和夫でございます。

 この間、安倍政権は、「平和安全法制」の名で11本の法案を国会に提出し、激しい論戦が行われてきました。私たちは、憲法9条を全面的に破壊する戦争法案が正体だと、追及してきました。

 今日は、「世界から見た戦争法案の異常と危険」と題して、冒頭、若干の時間をいただいて、お話をさせていただきたいと思います。

国会論戦を通じて戦争法案の違憲性は明らかとなった

写真
(写真)講演する志位和夫委員長=23日、外国特派員協会
 戦後、日本の自衛隊は、半世紀余にわたって、一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出してきませんでした。ここには憲法9条の偉大な力が働いています。そして、この憲法のもとで、政府が、戦後一貫して、「海外での武力行使は許されない」という憲法解釈をとってきたことも重要な要因として働いています。

 戦争法案は、この国のあり方を根底から覆すものです。それは「海外で戦争する国」づくり、「殺し、殺される国」づくりを進めようというものにほかなりません。私たちは、安倍首相との国会での論戦で、憲法に反する三つの大問題を明らかにしてきました。

 第一は、米国が、世界のどこであれ、アフガニスタン戦争、イラク戦争のような戦争にのりだしたさいに、自衛隊がこれまで「戦闘地域」とされてきた地域までいって、弾薬の補給、武器の輸送などのいわゆる「後方支援」=兵站(へいたん)を行うことになるということです。「戦闘地域」での兵站は、相手方から攻撃目標とされ、武力行使に道を開くことになります。

 第二に、PKO(国連平和維持活動)法の改定が、たいへんな曲者(くせもの)であります。PKOとは関係のない活動に参加し、形式上「停戦合意」がされているが、なお戦乱が続いているようなところに、自衛隊を派兵し、治安活動をさせる仕掛けを新たにつくろうとしています。安倍首相は、私の質問にたいして、アフガニスタンに展開し、約3500人もの戦死者を出したISAF(国際治安支援部隊)のような活動への参加を否定しませんでした。戦乱が続いている地域での治安活動は容易に武力行使に転化します。

 第三は、日本がどこからも攻撃されていなくても、集団的自衛権を発動し、米国の戦争に自衛隊が参戦し、海外での武力行使にのりだすことになるということです。私たちは、これは、一内閣の専断で、従来の憲法解釈を百八十度転換する立憲主義の破壊であり、憲法9条の破壊であるときびしく批判してきました。

 以上のべた点から、私たちは、この法案の違憲性は明らかだと確信しています。

 そのうえで、今日は、世界から見て、安倍政権が進めている戦争法案が、どんなに異常で危険なのかという角度から、さらにお話をしたいと思います。

「非国際性」――地球の裏側まで派兵を、世界に通用しない理屈で合理化

 世界から見ますと、戦争法案とその推進勢力には、三つの異常と危険があります。

 第一は、「非国際性」です。すなわち、地球の裏側までの自衛隊の派兵をもくろみながら、世界に通用しない理屈でそれを合理化しようとしていることです。

 たとえば、「戦闘地域」での兵站について、安倍政権はどう説明しているか。戦闘部隊に対する補給・輸送などの兵站が、武力行使と一体不可分であり、戦争行為の不可欠の一部であることは、世界の常識であり、軍事の常識です。

 しかし、それを正面から認めてしまうと、その途端にこの法案が憲法違反であることを自ら告白することになってしまいます。そこで政府は、それをごまかすために、世界のどこでも通用しない概念、議論を用いてきました。

「後方支援」「武器の使用」「武力行使との一体化」――すべて世界に通用しない概念

 端的にお話ししましょう。日本政府が使っている言葉で、英語に翻訳できない、概念すらない三つの言葉があります。英語に翻訳できないと私が言って、(同時通訳者の)高松(珠子)さんに訳してもらうのは、たいへんに申し訳ないのですが(笑い)、高松さんは上手にやってくれると思います。(笑い)

 一つは、「後方支援」という言葉です。これは日本政府だけの造語なのです。ご承知のように英語では、「logistics(ロジスティクス)」=「兵站」となります。しかし政府は、決して、「兵站」という言葉を使おうとしません。「兵站」には、「前方」、「後方」という概念は含まれていません。「後方支援」という言葉は、日本の自衛隊が行うのは、あくまでも「後方」で行う「支援」であって、「前方」には行かないというゴマカシの言葉なのです。

 二つ目は、「武器の使用」という概念です。政府は、「(自衛隊は)武器の使用はするが武力の行使にあたらない」(笑い)ということを繰り返します。安倍首相は、「戦闘地域」で自衛隊が兵站を行うさいに、相手方から攻撃されたら「武器の使用」をするということを認めました。しかし、「武力の行使」ではないと(笑い)、かたくなに繰り返すのです。

 そこで私は、外務省に、「『武器の使用』という国際法上の概念があるのですか」とただしました。外務省から返ってきた答えは、「国際法上は、『武器の使用』という概念そのものがございません」というものでした。「武器の使用は武力の行使にあたらない」というのは、世界のどこでも通用しない議論なのです。

 三つ目は、「武力行使との一体化」という概念です。政府は、「他国の武力行使と一体でない後方支援は武力の行使にあたらない」と言っています。そこで私は、先日の党首討論(6月17日)で安倍首相に聞きました。「武力行使と一体でない後方支援という概念が、国際法上あるのですか」。首相は、「国際法上、そういう概念はありません」と答えました。この概念が世界で通用しないことを認めたのです。

 ちなみに、昨年7月に行われた集団的自衛権行使容認の「閣議決定」の日本政府による英訳(仮訳)で、「武力行使との一体化」をどう訳しているのかを見てみましたら、「Ittaika with the Use of Force」と、「一体化」については何とローマ字を当てていました(笑い)。「一体化」という概念を訳すことは誰にもできないのです。(笑い)

集団的自衛権容認の根拠――「安全保障環境の根本的変容」の実例を示せず

 世界で通用しないという点では、集団的自衛権の行使についての政府見解も同様であります。

 政府は、集団的自衛権発動の要件として、「日本と密接な関係にある他国に対する武力行使が発生し、日本が『存立危機事態』に陥る」ことをあげています。そして、政府は、こうした憲法解釈の変更を行った唯一最大の理由として、「安全保障環境が根本的に変容した」ことをあげています。

 そこで、わが党議員団が国会でただしました。「『安全保障環境が根本的に変容した』というが、他国に対する武力攻撃によって、政府の安保法案が言うような『存立危機事態』なるものに陥った国が、世界に一つでもありますか」。外務大臣が答弁しましたが、「実例をあげるのは困難です」(笑い)というものでした。

 一つも実例があげられない。すなわち憲法解釈を変更した理由――戦争法案の「立法事実」が根底から崩れたというのが、この間の論戦の到達点であります。

 憲法9条のもとでは、もともと自衛隊の海外派兵というのは不可能なのです。それを取り繕おうとするから、政府は、世界のどこにもない架空の概念をつくりだすという矛盾に陥っています。自衛隊の世界的規模での派兵を企てながら、世界のどこにも通用しない詭弁(きべん)でそれを合理化することは、許されるものではありません。

 私は心配になります。地球の裏側で、米軍と自衛隊が共同で軍事行動している。そのときに自衛隊が、「このような後方支援は武力行使と一体化するのでできない」と米軍に言ったとします。しかし米軍のほうは「一体化」という英訳そのものがないのですから(笑い)、理解ができないでしょう。日本政府が弄(ろう)している詭弁は、自衛隊をたいへん困った立場においやることにもなるでしょう。

「対米従属性」――米国の無法な戦争に参戦する危険

 第二は、「対米従属性」――すなわちこの法案を推進している勢力が、異常なアメリカ追随を特徴としているという問題です。

 政府は、集団的自衛権の発動の要件として、「わが国と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生」したことをあげています。私は、この場合、ここでいう「他国への武力攻撃」がいかにして発生したか、ここから問題にしなければならないと考えています。

 すなわち、「他国」が先制攻撃を行い、その結果として戦争状態が生まれたのか――この場合には「他国」は侵略国となります。それとも、「他国」に対する武力攻撃から戦争が開始されたのか――その場合には「他国」は犠牲国となります。私たちは、ここに追及すべき大問題があると考えて、国会で質疑を行ってきました。

 私は、安倍首相に聞きました。「米国が先制攻撃の戦争を行った場合でも、武力行使の『新3要件』を満たしていると政府が判断すれば、集団的自衛権を発動するのですか」。それに対して首相は、「違法な武力行使をした国を日本が自衛権を発動して支援することはない」と答弁しました。

 しかしここで問題となってくるのは、日本政府が、米国の違法な武力行使を「違法」と批判できるかどうかということです。

 戦後、米国は、ベトナム侵略戦争、イラク侵略戦争をはじめ、数多くの先制攻撃の戦争を実行してきました。1980年代に米国が行ったグレナダ侵略(83年)、リビア爆撃(86年)、パナマ侵略(89年)に対しては、国連総会が圧倒的多数で米国の武力行使を国連憲章と国際法に違反するものとして非難する決議を採択しています。

 それでは、日本政府が、戦後、米国の武力行使に対して、「国際法違反」として一度でも反対したことがあるか。私が、国会でただしますと、首相は、しぶしぶ「一度もありません」と答弁しました。一度も「ノー」と言ったことはないのです。3度にわたる国連総会での対米非難決議にさいしても、日本政府は、「反対」「棄権」の態度を取り、一度も賛成をしませんでした。

 このような異常なアメリカ追随の国というのは、私は、主要国の中で他に例を見ないと思います。このような政府が、そしてそういう行動に対して今にいたるも反省のない政府が、「違法な武力行使をした国を支援することはない」といって誰が信用できるでしょうか。これまでは米国の要求があっても、「憲法上、集団的自衛権は行使できない」として断ることもできたでしょう。しかしこの法案が成立すれば、そうはいきません。先制攻撃を一貫して国家の基本戦略としている米国に求められるまま、集団的自衛権を発動することになる危険があります。

 世界にも類のない異常なアメリカ言いなりの政府が、集団的自衛権行使を可能とすることの危険は、きわめて深刻だといわざるをえません。

「歴史逆行性」――過去の日本の戦争を反省しない勢力が戦争法案を推進する危険

 第三は、「歴史逆行性」――すなわち過去の日本の戦争を「間違った戦争」と言えない安倍政権が戦争法案を推進する危険であります。

 今年は、戦後70年です。この節目の年に、日本が過去の戦争にどういう基本姿勢をとるかはきわめて重大な問題です。

 私は、5月20日の党首討論で、安倍首相に対して、1945年8月に日本が受諾した「ポツダム宣言」を引用して、「過去の日本の戦争は『間違った戦争』との認識はあるか」とただしました。安倍首相はかたくなに「間違った戦争」と認めることを拒み続けました。くわえてこの党首討論のなかで、安倍首相が「(ポツダム宣言を)まだつまびらかに読んでいない」(笑い)と答弁したことが、内外に衝撃を与えました。

 党首討論の後、安倍政権はこの問題についての答弁書を「閣議決定」しました。そこにはこう書かれています。「首相は当然、ポツダム宣言を読んでいる」(笑い)。「読んでいる」ということを「閣議決定」するというのもおかしな話ですが、「読んでいる」というのだったら、あのときの答弁は何だったのかということになります。

 第2次世界大戦後の国際秩序は、日本とドイツとイタリアが行った戦争は、侵略戦争だったという判定の上に成り立っています。ところが安倍首相は、「侵略戦争」はおろか、「間違った戦争」と認めることすらしないのです。

 日本の過去の戦争への反省のない勢力が、憲法9条を壊して「海外で戦争する国」への道を暴走する。これほどアジアと世界にとって危険なことはないといわなければなりません。

戦争法案阻止へ、国会論戦と国民運動で圧倒的多数派をつくるために力つくす

 昨日(6月22日)、政府・与党は、国会の会期を95日間、9月27日まで、史上最長の延長を強行しました。

 この法案の帰すうがどうなるか。その最大のカギを握っているのは国民の世論です。国民の文字通りの圧倒的多数がこれに反対の意思表示をした場合には、いかに与党が国会で多数を持っていたとしても、容易には強行することはできません。

 私たちは、国会論戦と国民運動の両面で、そうした圧倒的な国民的多数派をつくるために力をつくしたいと決意しています。

 ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
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by kenpou-dayori | 2015-06-26 15:38 | 今日「一押し」の記事!


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