岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2015年 12月 18日

憲法便り#1477:『9・11直後のアメリカ論(3)』:「根の浅さ」と「根の深さ」

2015年12月18日(金)(憲法千話)

憲法便り#1477:『9・11直後のアメリカ論(3)』:「根の浅さ」と「根の深さ」

「アメリカ民主主義の「根の浅さ」、そして問題の「根の深さ」は戦後のアメリカ社会史を見ても明瞭です。
 一九四九年秋から五年間にわたって政府活動特別委員会を舞台にして共和党上院議員マッカーシーのイニシアチブにより吹き荒れた、いわゆる、「マッカーシー旋風」は、赤狩りと思想弾圧でアメリカの真の民主主義を思想の自由を根底から覆しました。
 一九五五年からキング牧師を指導者として始められた人種差別バス・ボイコット運動を契機に南部各地に広がった黒人の運動は、一九六五年に新公民権法を制定させました。しかし、実際に差別撤廃を克ち取るまでには、キング牧師暗殺を含む多くの犠牲を伴い、長い苦難な道のりを経なければなりませんでした。キュー・クラックス・クランと名乗る人種差別主義者の秘密結社による暴力のみならず、白人の差別意識が厳然たる壁として立ちはだかっていました。今も人種差別は存在しています。
 アメリカはもうひとつ根深い問題を抱えています。「銃規制」を今も解決出来ないでいることは、アメリカ民主主義の限界であり、銃の力でアメリカ原住民から奪い取って作り上げられたアメリカ社会が内包している根本的な問題です。これは暴力によって他を支配するという発想の温床になっており、「力の論理」「強者の論理」「殺す側の論理」に連なっています。
 テキサス州の石油産業と軍事産業をバックに登場したブッシュ大統領は、アメリカ社会の行き詰まりを打開するためにテロ事件を最大限に利用し、軍事行動をつづけています。その有効性が疑問視されているミサイル防衛網構想にも、テロ事件直後に大幅な予算が承認されました。テキサス州一州だけでフランス一国と同量の炭酸ガスを排出しているアメリカは、ブッシュ大統領の登場後にいち早く「京都議定書」批准を拒否しました。アフガニスタン空爆による市民の死者の数は、すでにテロ事件の犠牲者の数を上回っています。本当の「ならず者国家」は、やりたい放題を続けているアメリカだと断言できます。
 国際世論はこの状態をながくは容認しないでしょう。声をあげ続けることが必す力になると思います。
 私は理性の勝利を信じて、これからもペンによる闘いを続けます。」
 

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by kenpou-dayori | 2015-12-18 12:52 | エッセー


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