2016年2月4日(木)(憲法千話)
憲法便り#1575:名著、末弘厳太郎著『嘘の効用』の効用(その①読書量、集中力の回復)
昔、「嘘も、休み休み言え!」という言い方があった。
だが、いま、日本では、政治の世界、食品流通の世界、建築の世界で、大きな嘘が、相次いで暴露されている。
バレなければ、何をやっても構わないという、ひどい世の中だ。末期的症状である。
前置きは、ここまでにして、『嘘の効用』に関する話に進もう。(下に画像)
この著作は、法社会学の草分け、末弘厳太郎(すえひろ・いずたろう)が、専門的な話ではなく、
一般の読者を対象に書いたエッセー『嘘の効用』を標題にした、エッセー集である。
その中で、最も私の興味を惹いたのは、「役人の頭」というエッセーの冒頭の部分、赤字で示した部分である。
「一、子供の時からのくせで新聞を読むことが変に好きです。外国にいたときなど、無論語学のまづい為でもあるが、どうかすると半日ぐらい新聞読みに時を費やしたことがあります。嘗て高等学校にいたときドイツ語の教科書としてヒルティーという人の『幸福論』なる本を読まされていたことがあります。
その中に
新聞を読んではいけない、殊に朝一番頭のいい時に新聞のような雑駁(ざっぱく)な且つ平易なものを読むと一日中の仕事欲を害する、ということが書いてありました。
非常に感心して同室者一同――私の部屋には変に頑強な男がそろっていたのですが――と申し合わせて、何でも半年位新聞の購読を中止したことがありました。
それでも新聞を読むことの好きな私にはどうも我慢ができないのでそっと図書館で読んでいるところを同室者に見つかってヒドクおこられたことなどがありました。そんなことを思い出して見ると、私の新聞好きも随分古いものです」
最近、あまりにも下らない、腹立たしいニュースが多いので、
赤字で示した部分と、私の心境とは、全く一緒なのである。
私は、朝、新聞を読むのを止めた。
その結果、どうなったか?
朝から、読書に取りかかる。
そのため、読書量が格段に増えたのである。
前日読み始めた本を、翌日、または二日後には読み終える勢い、集中力を、私は取り戻している。