2016年 03月 23日

憲法便り#1611:〔講演資料7〕民間研究団体憲法研究会『憲法草案要綱』(1945年12月26日)抜粋

2016年3月23日(水)(憲法千話

憲法便り#1611:〔講演資料7〕民間研究団体憲法研究会『憲法草案要綱』(1945年12月26日)抜粋

〇8章58条。前文なし。軍に関する条項なし。
〇起草者は7人の連名:高野岩三郎(統計学者:1946年4月NHK会長)、馬場恒吾(1945年12月読売新聞社長)、杉森孝次郎、森戸辰男(高野の弟子:後に文部大臣等)、岩渕辰雄、室伏高信、鈴木安蔵(執筆者)。論議及び内容の確認は、全員一致制をとった。
〇他に、鈴木義男(後に憲法改正案委員及び小委員会委員)、木村禧八郎、今中次麿、有竹修二、原彪らが論議に参加。大内兵衛(高野の弟子・経済学者)も手紙で参加。
〇同会は、1945年11月5日に第1回会合、1946年9月23日まで活動。同会の活動は常にオープンで、会員制はとっていない。金子勝氏が「会員7名」としているのは誤り。〇○同案は12月26日に内閣とGHQに届けられ、新聞発表も行われた。政府は無視。
◎GHQは、連合国翻訳・通訳部が直ちに翻訳し、これを参考に「GHQ草案」を作成。これとは別に、米政府の政治顧問部も直ちに翻訳したが、前者の訳文の方が優れている。

[第1章] 根本原則(統治権)(第1条~第5条)
[第1条]日本国ノ統治権ハ日本国民ヨリ発ス(*「人民主権」または「主権在民」)
[第2条]天皇ハ国政ヲ親ラ(みずから)セス、国政ノ一切ノ責任者ハ内閣トス
[第3条]天皇ハ国民ノ委任ニヨリ専ラ国家的儀礼ヲ司ル(注:象徴天皇制)
[第2章] 国民権利義務(第6条~第18条)
[第6条]国民ハ法律ノ前ニ平等ニシテ出生又ハ身分ニ基ク一切ノ差別ハ之ヲ廃止ス
[第8条] 国民ノ言論学術宗教ノ自由ヲ妨ケル如何ナル法令ヲモ発布スルヲ得ス
[第13条]国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス(ワ憲151条)
[第14条]国民ハ休息ノ権利ヲ有ス、国家ハ最高8時間労働ノ実施、勤労者ニ対スル有給休暇制療養所、社交教養機関ノ完備ヲナスヘシ
[第15条]国民ハ老年疾病其ノ他ノ事情ニヨリ労働不能ニ陥リタル場合、生活ヲ保証サル権利ヲ有ス
[第16条]男女ハ公的並私的ニ完全ニ平等ノ権利ヲ享有ス(ワ憲109条、119条)
[第18条]国民ハ民主主義並平和思想ニ基ク人格完成、社会道徳確立、諸民族トノ協同ニ務ムルノ義務ヲ有ス
[第3章] 議会(第19条~第29条)…(注:二院制)
[第21条]第一院ハ全国一区ノ大選挙区制ニヨリ満二十歳以上ノ男女平等直接秘密選挙(比例代表ノ主義)ニヨリテ満二十歳以上ノ者ヨリ公選セラレタル議員ヲ以テ組織サレ其ノ権限ハ第二院ニ優先ス
[第22条]第二院ハ各種職業並其ノ中ノ階層ヨリ公選セラレタル満二十歳以上ノ議員ヲモッテ組織サル
[第6章] 会計及財政(第43条~第50条)…大内兵衛の案をほぼそのまま採り入れた
[第49条]租税ノ賦課ハ公正ナルヘシ 苟(いやし)クモ消費税ヲ偏重シテ国民ニ過重ノ負担ヲ負ハシムルヲ禁ス(☆優れた思想は70年も時代を先取り)
[第7章] 経済(第51条~第54条)
[第51条]経済生活ハ国民各自ヲシテ人間ニ値スヘキ健全ナル生活ヲ為サシムルヲ目的トシ正義進歩平等ノ原則ニ適合スルヲ要ス(以下、略)(ワ憲151条)
[第54条]労働者其ノ他一切ノ勤労者ノ労働条件改善ノ為ニ結社並ニ運動ノ自由ハ之ヲ保障セラルヘシ/之ヲ制限又ハ妨害スル法令契約及処置ハ総テ禁止ス

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〇 憲法便り#1606:〔資料〕1945年9月-1946年3月に作成された主な憲法改正草案・提言の一覧は、ここをクリックして下さい。
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by kenpou-dayori | 2016-03-23 16:41 | 講演資料


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