岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2017年 01月 03日

憲法便り#1894:年頭20話(その6)新宿のスーパー区議・三雲崇正さん(民進党)から、拙著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』への推薦文をいただきましたので紹介します

2017年1月3日(火)(憲法千話)

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憲法便り#1894:年頭20話(その6)新宿のスーパー区議・三雲崇正さん(民進党)から、

拙著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』への推薦文をいただきましたので紹介します

私が三雲崇正さんをスーパー区議と呼ぶのは、現在、大きな問題となっているTPPの問題に関して、すでに、国政レベルでの活動をしていることによります。(TPPの活動に関しては、ここをクリック)

その活動の反映として、昨年11月26日に開催された区政報告会には、海江田万里元衆院議員、小川敏夫参院議員、 山田正彦元農林水産大臣の三氏が出席、さらに、TPP問題で三雲さんから多大な協力を得た、社民党副党首の福島みずほ、自由党の山本太郎の両氏からもメッセージが届いていました。

三雲崇正さんの経歴は、ホームページにリンクしますので、そちらをご覧下さい。(ここをクリック)


三雲さんとの出会いは、一昨年の区議会議員選挙の時です。

高田馬場駅近くのある銀行前で、聴衆が一人もいないにも拘わらず、熱心に政策を訴えていたことに好感を持ち、話が一段落したところで、言葉をかけました。

「私は共産党支持者であるけれども、あなたの話はなかなかいいですね。ところで、改憲問題について、あなたはどのような見解をお持ちですか?」

彼は、ちょっと緊張した面持ちで、次のように答えました。

「私は弁護士ですから、今の憲法は守ろなければならないと思っています。ですから、いまの安倍政権の改憲論議には反対です。」

彼は、初めての立候補で見事に当選しました。

その後、高田馬場駅前広場で街頭演説をしている三雲さんを見かけ、拙著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』を勧めたところ、こころよく注文の返事を下さった。

その年の12月に新宿の柏木公園で開催された集会に参加した折に、三雲さんから講演依頼を受けました。

これが、私の著作への評価の始まりでした。

そして、2016年4月22日(金)に講演会が実現し、50名ほどの方々のご参加を得て、成功裡に終わりました。

講演会の最後に、三雲さんは参加者の皆さんに、「私は、東大の学生時代の講義で聞いたのは、憲法についての解釈で、今日のような憲法の成立史については聴いたことがありませんでした。入口においてある岩田さんの著作『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』をぜひおすすめします。」と訴えかけました。

三雲さんとのお付き合いは、この時から始まったと言えます。かれの良いところは、決して「知ったかぶり」をしない誠実なことです。

今回の推薦文は、何も「注文をつけずに」、いただいた文章を、批判も含めてそのまま公表するという約束で、私からお願いしたものです。ご多忙な時に、詳細な文章を書いてくださったことに心からの感謝と敬意を表して、紹介いたします。

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岩田行雄氏の『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』について

(新宿区議会議員・弁護士 三雲崇正)

 昨今、「憲法」がクローズアップされている。

 2012年に当時野党であった自民党が憲法改正草案を発表し、明確に憲法改正を掲げて政権に再挑戦して以来、4度の国政選挙を経て、憲法改正を是とする政党、いわゆる改憲勢力が衆参両議院の3分の2を占めるまでに至った。その間、いわゆる戦争法案とも呼ばれる集団的自衛権の行使を認める新たな安全保障関連法制が成立し、それに基づく自衛隊の海外派遣も行われ、立憲主義の動揺が指摘されている。両議院の憲法審査会も少しずつではあるが、憲法改正の論議を視野に入れた討議が始まっている。

 そもそもなぜ憲法を改正するのか。改正箇所についての様々な論点に関する議論が展開されている。新しい人権に対応するため、新たな国際環境に対応するため、二院制を含む統治機構を見直すため、緊急事態に対応するため、付随的でない違憲立法審査権を裁判所に認めるため、等々。筆者も、弁護士、地方議員の立場から、違憲立法審査権の充実は憲法の理念の徹底のために必要であり、「地方自治の本旨」だけでは中央集権国家からの脱却は心許ないと思うことがある。

 他方で、我が国の最高法規、根本法規である憲法を変えるという以上、より本質的な憲法理解、日本国憲法がどのように成立し、何のために存在し、従前そのように運用されてきたのかについての理解が深まらなければ、政治的立場を超えて改正を検討すべき論点に焦点を当てることは不可能である。本質的な憲法理解を欠いた改正は、憲法をグロテスクな修辞で飾り立てた空虚な法典に変え、最高法規、根本規範としての実質的な力を弱めるだけのものに終わる恐れがある。今国民が必要としているのは、個別具体的な改憲案を前提とした先走った論点整理ではなく、そのような意味での憲法理解であり、それを土台として初めて、次代に恥じない有意義な憲法改正論議が可能になる。

本書は、上述した憲法理解のうち、日本国憲法がどのように成立したのかに関する視座を提供する、実証的な研究成果である。

憲法改正を主張する論拠の一つとして、しばしば「押し付け憲法論」が語られる。曰く、日本国憲法は占領下においてGHQ主導で、強制されたという。安部晋三首相も、憲法改正草案を掲げて政権復帰を目指していた201212月、「みっともない憲法ですよ、はっきり言って。それは日本人が作ったんじゃないですからね。」と発言しており、自民党憲法改正草案のバックボーンにこのような見方が存在することは明らかである。

現在、有力な憲法学者の中に、「押し付け憲法論」に与する論者はほとんど存在しない。それでも「押し付け憲法論」が根強く主張され続ける理由は、それが判りやすいこともさることながら、従前の日本国憲法制定過程に関する研究が、十分な反論を提供してこなかったことにもあると思われる。一般的な議論の対象は、当時の日本国政府とGHQとの交渉内容、日本国政府、GHQそれぞれにおける検討経過、有力な学者の議論、帝国議会での審議内容にとどまっており、当時の国民一般が何を考え、何を求めていたのかについてまで視野を広げた実証的な検証が存在してこなかったことが、「押し付け憲法論」に力を与えてきたのではないか。

本書の第1部において、岩田氏は、19458月の敗戦直後からの新聞報道と社説に着目する。ここでは、朝日、読売といった全国紙だけでなく、大小の地方紙をくまなく調査し、敗戦に直面した国民が、「新体制」の必要を認め、それが「新憲法」を求める世論を形成するまでの流れが克明に描かれている。

そして、第2部以降では、GHQに促され、また世論に押される形で憲法改正案を検討し始めた当時の日本政府が、新聞報道やそれに刺激された世論の高まりを受け、現在の日本国憲法の姿に近い民主的な憲法案に向かっていった状況、さらには政府案が帝国議会で審議される過程で国民の間に起こった議論の内容について、残された様々な公文書、新聞報道にも言及し、政府、議会、GHQそして世論が相互に作用しつつ日本国憲法が制定されたことを明らかにする。

また、第4部以降、新憲法と呼ばれた日本国憲法が国民に歓迎され、国民自身がその普及に尽力した様子に、新聞記事、社説のみならず、企業や様々な商業組合が出稿した新憲法祝賀の新聞広告などにも言及して描き出し、ここに至って、日本国憲法がGHQにより押し付けられたとの議論が無意味であることが明らかになる。

日本国憲法が当時の政府との間では押し付けられたものであったとしても、国民・世論の意思に反して押し付けられたものではないとの従来型の議論に対しては、しばしば、それは護憲派の希望的な解釈ではないのか?といった反論が投げかけられる。しかし、全国の図書館を巡って当時の地方紙を収集し、その内容を忠実に引用する本書における岩田氏の実証的なスタイルを前に、このような反論は意味をなさない。

収集された記事によって、敗戦後の国民世論が、「新体制」、「新憲法」を求め、さらに「新憲法」の姿を積極的に論議し、それが日本国憲法の内容に影響したこと、また議会で可決された「新憲法」の誕生を祝賀したことは、揺るがし難い事実として明らかになっている。日本国憲法がどのように成立したのかに関する私たちの理解は、憲法改正に関する立場を抜きにして、ここから出発せざるを得ない。本書のサブタイトルは、「押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論」であるが、まさに「看板に偽りなし」といえよう。

前述のとおり、次代に恥じない憲法改正論議のためには、国民の側に、本質的な憲法理解、すなわちしっかりした「土台」が不可欠である。憲法改正論議に関心のある全ての人、とりわけ「押し付け憲法論」を信じる人、あるいは「押し付け憲法論」に動揺した経験のある人にとって、本書は、一度は触れるべき必読の書である。

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以上が三雲崇正さんの推薦文です。私の著作に関して、これほど詳細で、的確な感想または紹介文は、初めてのことです。


『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―
(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)、
闘いはまだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。
ご注文は、下記の書店へ。
美和書店 電 話03-3402-4146
FAX 03-3402-4147

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by kenpou-dayori | 2017-01-03 21:48 | 押し付け憲法論への反論


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