2015年 09月 03日 ( 3 )


2015年 09月 03日

憲法便り#1278:昭和20年9月3日付『福島民報』に掲載された戦後初めての「平和国家」論」社説

2015年9月3日(木)(憲法千話)

憲法便り#1278:昭和20年9月3日付『福島民報』に掲載された戦後初めての「平和国家」論」社説


『朝日新聞』編集委員上丸氏による研究盗用に関わる社説ですが、今日は疲労度が高いので、とりあえず、社説のみを掲載し、解説は改めて、加筆します。

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以下は、【再録】です。

2015年3月28日

この社説は、すでに2014年09月03日の『憲法便り#643』で紹介したものですが、憲法千話の中の『70年前の「平和国家」論の社説』のシリーズの最初の社説として、若干の加筆の上、再録します。

ここに紹介する昭和20年9月3日付『福島民報』の社説は、他紙に先駆けて、敗戦後、最も早く「平和国家」について論じた画期的な文章です。
社説の論題は、「平和建設への強力な拍車」ですが、これは単なる平和論ではなく、文中で二度繰り返されている「理想国家」という言葉をを見てわかるように、これは「平和国家」論です。
九月二日付「詔書」および「降伏文書」では、国民を「臣民」と呼んでいますが、『福島民報』の社説では、「国民」と表現しています。
文章全体も、自由民権運動が最も盛んに展開された土地柄の福島県民らしい、「肚」のすわった文章です。
旧字体の漢字は、新字体に改め、旧仮名遣いも改めました。

昭和20年9月3日付『福島民報』一面掲載の「社説」。

「平和建設への強力な拍車」
「さきに時局収拾に関する大詔が渙発されてから約半月、停戦協定は極めて平和裡に成立した。同協定はいう迄もなくポツダム宣言を内容とする峻厳な降伏文書である。帝国が連合国に対し、完全に敗北し、完全に降伏した事実を、帝国政府の名に於て確認し、帝国に課せられた降伏条件を忠実に履行すべきことを確約した帝国の降伏文書である。われら国民の感情としては之を正視するに忍びないものであるが敗戦と降伏の惨憺たる境地からわれらの祖国を再建するためには、われらは断乎この感情を抑制し冷静に大胆に敗戦と降伏の事実を直視し之に対処するために最善の努力を払わねばならない。首相が告諭で御指示あらせられたように「潔ク降伏ノ事実ヲ直視シ、勅ヲ畏ミ飽クマテモ冷静秩序ヲ持シ政府及大本営ヨリ命セラルル所ニ□由シテ大道ヲ誤ラサル行動ニ終始」しなければならない。然うすることが祖国を救い祖国を再建するただ一つの途なのである。敵側で帝国が全面降伏を決定してから今日まで、われら国民は未だ嘗て経験したことのない歴史的な狂瀾の裡に立ったのであるが、爾来今日まで政府も国民もこの難局に対する大乗的措置に過らず、よく大国民としての態度を保持してきたのは、国民とともにわれらの窃かに悦びとするところである。しかし過去半ヵ月の苦難は、今日以後更に何カ月、何十ケ月となく続くであろう苦難に比するならば恐らく物の数ではなかったのであろう。日本及日本国民の行く手には、物心両面に於て真に忍び難いような苦難が待ち構えているものと覚悟せねばならない。今ではそれが日本国民に課せられた不可避の運命である。だが、われらは文字通り石に嚙付いてでもこの苦難を克服せねばならない。日本及日本国民の名誉に賭けて□に連合国に対する降伏条件を完全に履行するばかりでなく敗戦日本を世界最高の理想国として再建するために、国民の全力を余すところなく傾注しなければならない。國體を護持し正義と平和とを基盤として、新日本の平和建設に邁進せねばならない。
 全連合国進駐軍の兵数は漸増し、進駐地区は更に増大され、連合国の飛行機の爆音は不断にわれらの耳朶を打つであろう。連合国は固より世界を挙げてわれら国民の国家再建の努力を凝視するに相違ないのである。この間に処して、われらは如何にその政治態勢を改善し、如何に精神文化の向上を図り如何に科学水準を上昇せしめるか、これはまさに世紀的大事業である。一方に於て降伏条件の完全履行という重荷を背負いながら、しかも一方に於ては世界を驚倒せしめる程の理想国の再建という文化的な一大展望の実現を期するのである。敗戦と降伏とは永久に拭い去ることの出来ぬ国民的屈辱であるが、この屈辱から日本及日本国民は新しい希望を目指す契機を掴むことが出来たともいえる。さきに渙発せられた時局収拾の大詔に於て「□□ヲ□クシ志操を鞏クシ國體ノ精華ヲ発揚シ世界ノ邁進ニ後レサランコトヲ期スヘシ」と仰せられたのは屈辱の彼岸に日本国民の生々発展すべき新天地の存することを御□示あらせられたものと拝察する。
 このように日本及日本国民の進むべき途は昭々乎として一点の難を容れる余地がない。降伏条文の調印完了という事実は
却って日本及日本国民の平和建設への努力に拍車をかけるであろう。ただこの平和建設への努力は、政府並に一般指導層の猛省と勇断を必要とし、国民の努力は飽くまで組織的且つ能率的なものに仕組まれねばならない。国民の肚は出来ている。平和建設に対する政府当局の最善の努力を重ねて希求してやまない。

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―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―
(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)

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by kenpou-dayori | 2015-09-03 21:26 | 敗戦直後の「平和国家」論の社説
2015年 09月 03日

憲法便り#1277:昭和20年9月2日に調印、「無条件降伏」と明記された降伏文書全文

2015年9月3日(木)(憲法千話)

憲法便り#1277:「昭和20年9月2日に調印、無条件降伏」と明記された降伏文書全文

「無条件降伏」と明記された降伏文書全文

降伏文書の調印は、1945年9月2日、東京湾の米戦艦ミズーリ号艦上で行われた。
日本側は、重光葵、梅津美治郎の両全権が調印。

下記の文書は、外務省編纂『終戦史録』「第五十九篇 その後における連合国側との折衝経緯」の798~800頁からの引用です。
旧字体の漢字を新字体に改めました。

「降伏文書」(訳文)

下名は茲に合衆国、中華民国(岩田注1)及び「グレート・ブリテン」国の政府の首班が千九百四十五年七月二十六日「ポツダム」於て発し後に「ソヴィエト」社会主義共和国連邦が参加したる宣言の条項を日本国天皇、日本国政府及び日本帝国大本営の命により且之に代り受諾す右四国は以下之を連合国と称す

下名は茲に日本帝国大本営並に何れの位置に在るを問わず一切の日本国軍隊及日本国の支配下に在る一切の軍隊の連合国に対する無条件降伏を布告す

下名は茲に何れの位置に在るを問わず一切の日本国軍隊及日本臣民(岩田注2)に対し敵対行為を直に終止すること、一切の船舶、航空機並に軍用及非軍用財産を保存し之が毀損を防止すること及連合国最高司令官又は其の指示に基き日本国政府の諸機関の課すべき一切の要求に応ずることを命ず

下名は茲に日本帝国大本営が何れの位置に在るを問わず一切の日本国軍隊及日本国の支配下に在る一切の軍隊の指揮官に対し自身及其の支配下に在る一切の軍隊が無条件に降伏すべき旨の命令を直に発することを命ず

下名は茲に一切の官庁、陸軍及海軍の職員に対し連合国最高司令官が本降伏実施の為適当なりと認めて自ら発し又は其の委任に基き発せしむる一切の布告、命令及指示を遵守し且之を施行することを命じ並に右職員が連合国最高司令官に依り又は其の委任に基き特に任務を解かれざる限り各自の地位に留り且引続き各自の非戦闘的任務を行うことを命ず

下名は茲に「ポツダム」宣言の条項を誠実に履行すること並に右宣言を実施するため連合国最高司令官又は其の他特定の連合国代表者が要求することあるべき一切の命令を発し且斯る一切の措置を執ることを天皇、日本国政府及其の後継者の為に約す

下名は茲に日本帝国政府及日本帝国大本営に対し現に日本国の支配下に在る一切の連合国俘虜及被抑留者を直に解放すること並に保護、手当、給養及指示せられたる場所への即時輸送の為の措置を執ることを命ず

天皇及日本国政府の国家統治の権限は本降伏条項を実施する為適当と認むる措置を執る連合国最高司令官の制限の下に置かるるものとす(岩田注3)

千九百四十五年九月二日午前九時四分日本国東京湾上にて署名す

大日本帝国天皇陛下及日本国政府の命に依り且其の名に於て
                      重 光  葵
日本帝国大本営の命に依り且其の名に於て
                      梅津 美治郎

千九百四十五年九月二日午前九時八分日本国東京湾上に於て合衆国、中華民国、連合王国及「ソヴィエト」社会主義共和国連邦の為に並に日本国と戦争状態に在る他の連合諸国家の利益の為に受諾す

連合国最高司令官               ダグラス・マッカーサー
合衆国代表                    シー・ダブリュー・ミニッツ
中華民国代表者                 徐  永 昌
連合王国代表                   ブルーフ・フレーザ
「ソヴィエト」社会主義共和国連邦代表者 クズマ・エヌ・ヂレヴィヤンコ
「オーストラリア」連邦代表者         ティー・ユー・ブレーミー
「カナダ」代表者                  エル・コスグレーヴ
「フランス」国代表者               ジァック・ル・クレルク
「オランダ」国代表者               シェルフ・ヘルフリッヒ
「ニュージーランド」代表者           エス・エム・イシット


(岩田注1)「ポツダム」宣言の訳文では、「米、英、支三国」とし、中華民国に対しては差別的表現をしているが、降伏文書で初めて「中華民国」と正式名称を記している。

(岩田注2)国民ではなく、「臣民」としている。この「臣民」という呼び方は、昭和20年10月25日に発足した政府の松本国務大臣を責任者とする「憲法問題調査委員会」(通称「松本委員会」)の憲法改正論議の文書の中でも、引き続き用いられている。

(岩田注3)8月12日付「憲法便り#191」ですでに紹介した通り、昭和20年8月12日にラジオで聴取した連合国からの回答文を、外務省がsubject to(連合国最高司令官に「従属する」)を敢えて「制限の下にあり」と誤訳し、それをそのまま使っている。この表現は、原文を読まないであろう軍部を騙すために考えられた「意訳」であったが、国民や憲法学者も騙されている。
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by kenpou-dayori | 2015-09-03 14:01 | 太平洋戦争日歴
2015年 09月 03日

憲法便り#1276:『憲法便り』への、9月2日のアクセス・ベストテン

2015年9月3日(木)

憲法便り#1276:『憲法便り』への、9月2日のアクセス・ベストテン

1.憲法便り#1272:なんと、国会前の学生ハンストは、続行中!再び、激励してきました
*この記事が、アクセス・ベストテンのトップになったことが、とても嬉しいです。

2.憲法便り#1097:朝日新聞社編集委員上丸洋一氏による研究無断使用、即ち盗用についての抗議文
*新たな抗議文を贈る予定です。

3.憲法便り#1184:朝日新聞編集委員上丸氏への協力中止の真相(15)研究の盗用に到る経過②(第二版)
*まもなく「第三版」を掲載します。乞う、ご期待

4.憲法便り#1164 「天皇陛下「深い反省」初言及。終戦70年 追悼式でお言葉」

5.憲法便り#1109:朝日新聞社内で、私の抗議文の情報がどこまで共有化されているのか、連絡を督促
*この督促に対する返事が、如何にいい加減なものであったかを、実物のコピーを掲載する予定です。そして、交渉の経過も明らかにします。今までは、朝日新聞への攻撃に対する配慮をしてきましたが、その気遣いは、全く無用であることが判りましたので、これからは、なんの遠慮もなく書きます。

6.憲法便り#1030 朝日新聞編集委員上丸氏への協力中止の真相(12)態度豹変(画像あり)

7.憲法便り#855:ドキュメント・朝日新聞上丸洋一編集委員への憲法研究協力とその中止について(第六回)

8.憲法便り#1274:「早稲田から止める!戦争法案 安保関連法案に反対する早稲田大学全学集会」9・6
*戦争法案阻止の闘いは、早稲田でも続けられています。

9.憲法便り#730:ドキュメント・朝日新聞上丸洋一編集委員への憲法研究協力とその中止について(第一回)

10.憲法便り#1100 朝日新聞編集委員上丸氏への協力中止の真相(14)研究の盗用に到る経過①(画像付)
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by kenpou-dayori | 2015-09-03 10:19 | アクセス・ベストテン