岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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カテゴリ:司法改革( 3 )


2014年 04月 01日

憲法便り#577 ご存知ですか?給費制訴訟を応援する「法律家のひよこ応援くらぶ」のこと

2014年4月1日

私も去る1月29日に東京地裁103号法廷で裁判を傍聴し、その直後の報告集会で、入会の意思を表明した「法律家のひよこ応援くらぶ」を紹介します。
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by kenpou-dayori | 2014-04-01 11:31 | 司法改革
2014年 03月 31日

憲法便り#572 ご存知ですか?「司法修習生の給費制廃止違憲訴訟」のこと

2014年3月31日

いま、司法修習生が大変困難な状況に置かれている。
給費制が廃止された問題への理解を深め、支援の輪を広げ、違憲訴訟に勝利するため、様々な資料を紹介したい。
これは司法改革の具体的な闘いであり、内藤功弁護士が言うところの「憲法で闘う」実例である。

まずはじめに、給費制廃止違憲訴訟弁護団の「司法修習生の給費制廃止違憲訴訟訴状要旨」をそのまま紹介する。

司法修習生の給費制廃止違憲訴訟訴状要旨
平成25年8月2日

給費制廃止違憲訴訟弁護団
共同代表 宇都宮 健児 渡 部 容子
地域代表

第1 本訴訟の意義
本訴訟は,司法修習生への給与等の支給(以下「給費制」という。)が,国民のための司法を担う法曹養成が国の憲法上の義務であることを確認し,新第65期司法修習生であった原告らの被害回復にとどまらず,法曹の多様性確保のため志ある人材が経済的事情で法曹を断念することのないようにし,国民の人権擁護を担う司法制度の維持発展を目的とするものである。

第2 司法修習生の給費を受ける権利
1 現在の司法修習の歴史的経緯及び法曹の憲法上の位置づけ
戦前は,裁判官,検察官,弁護士が分離して修習を行い,司法が行政の下におかれ,国による人権弾圧を防ぐことができなかった。その歴史的経緯を踏まえ,日本国憲法においては,国民の権利擁護及び裁判を受ける権利(憲法第3章,32条)を実現するための司法の担い手である裁判官,検察官,弁護士が明記された(憲法第6章,76条,77条等)。現在の統一修習は,国の人権擁護義務及び憲法擁護義務(憲法11条,13条前段,97条,99条)に基づく憲法上の要請として,実施されているものである。
2 司法修習生の地位及び権利制約と給費制の関係
司法修習生は,公務員に準ずる地位にあり(憲法15条1項,2項),司法修習の目的達成上不可欠のものとして修習専念義務を負う。このため,司法修習中,政治活動の自由(憲法21条1項)の制限はもとより,経済活動・居住移転の自由(憲法22条1項),勤労の権利(憲法27条1項)が制約され,一切の収入を得ることができない。
給費制は,司法修習生が経済的生活的事情により司法修習に専念できなくなる弊害を防止すべく,司法修習生の生活保障(憲法25条1項)として実施されてきたものである。
すなわち,給費制は,権利制約に対する代償,及び司法修習生が修習専念義務の下で修習に専念できる経済的生活環境保障としての憲法上の要請として具体化されていたものである。
3 給費制と法曹になる選択との関係
法曹になるためには,司法修習は必須である。したがって,司法修習に取り組む権利は,法曹になるための権利である(憲法13条)。また,法曹は,国民の権利を擁護し社会正義を実現する公益的価値を担う者であり,法曹になるために司法修習に取り組む権利は,司法修習生の個人的価値のみならず公益的価値を有するものである。
かかる権利の実現のためには,十分に修習に専念できる生活的経済的環境が必要となり,司法修習に取り組む権利として給費を受ける権利が保障される。
4 小括
以上より,司法修習生の給費を受ける権利は,①給費制が国民の権利擁護のための統一司法修習及び修習専念義務と不可分一体な国の憲法上の義務であること(憲法第3章及び第6章),②司法修習生の修習専念義務による権利制約及び修習専念のための経済的生活保障であること,③法曹になるという人格的選択をした司法修習生が生活を維持しながら司法修習に取り組む権利として,憲法13条後段,21条1項,22条1項,25条1項,27条1項により保障される。

第3 給費制廃止等が違憲無効であること
1 給費制廃止による原告らの給費を受ける権利侵害
原告らは,司法修習生となるまでに法科大学院等の奨学金で平均約340万円以上,多い者は1000万円以上の借金を有している。しかし,司法修習中は修習専念義務の下,一切の収入がなく給費制廃止と同時に導入された貸与制により最大300万円の借金を事実上強制され,8割以上が貸与を受けざるを得なくなった。原告らの中には,貸与金から借金を返済する多重債務者もいる。
また,貸与を受けるには,連帯保証人を必要とするが,原告らの中にはそれが困難な者もおり,その場合,貸与を受けるために機関保証を受ける必要がある。しかし,法曹の収入激減及び就職困難等将来への不安,返済不可となった場合の保証機関による代位弁済・求償請求に伴う破産による法曹資格喪失のリスクから貸与申請を断念し,貯蓄を切り崩し修習せざるを得なかった者もいる。そして,原告らは,司法修習専念義務の下,司法修習中,裁判所,検察庁,弁護士会で事件処理に携わり,平日だけでなく休日も含め法曹となるべく修習に専念し,実務修習における全国配属及び司法研修所での集合修習により住居移転を余儀なくされていた。しかし,生活費,住居手当,経費等の支給がなく,弁護士の就職難に伴い就職活動費用も増加したことにより司法修習中,食費,
通勤費,書籍代等を節約せざるを得ず,心身共に追い詰められ健康を害した者もいる。
かかる状況において,原告らの給費を受ける権利の侵害は明白かつ重大である。
2 給費制廃止が原告らと現行第65期・新第64期との間における差別であること
また,給費を受ける権利,地位の重要性にかんがみ,同一立場,状況に置かれた者との間で一方を給費制,他方を貸与制とすることは平等権(憲法14条1項)を侵害するものである原告らと同時期に司法修習中に給費制であった現行第65期,及び給費制廃止1年前の新第64期司法修習生は,原告らの受けた司法修習の目的及び修習専念義務の態様や修習実態は全く同様であった。このため,給費制廃止は不合理な差別であり平等権侵害であることは明らかである。
3 給費制廃止が極めて不合理であること
国は,給費制を廃止し貸与制としたが,理由は主に①財源不足,②法曹は高収入であり貸与金は容易に返せる,③給費制は国民の理解が得られない,というものである。
しかし,①財源問題は法曹養成目的とは無関係であり法曹養成責任の放棄に他ならず,②弁護士の就職難や収入は激減している状況である。③給費制廃止前に国民の声を直接聞く手続はなく,他方,平成25年4月12日から5月13日のパブリックコメントの大多数が給費制復活を望んでいることからすると,むしろ給費制廃止が国民の理解を得られないものである。
そして,法曹職務開始時の借金を前提とする貸与制は,国民の財産管理等をも職務とする法曹に対する信頼を損なうおそれを内包しているものである。また,公益に資するという社会的重要性及び権利制約の強さに鑑みると,防衛大学校生への給与支給や,給費制をモデルに公費支給されるようになった研修医と比較しても,給費制廃止,貸与制移行が不合理なのは明らかである。
加えて,現在,給費制廃止により司法修習を断念する者が激増しており,法曹の多様な人材確保という視点からも一切合理性はなく,国民のための司法という司法制度改革の理念にも反する。

第4 結語
よって,給費制廃止は違憲であり,原告らは平成16年改正前裁判所法第67条第2項により,少なくとも金237万4080円の給費支払請求権を有する。
また,国の給費制廃止,及び原告らの司法修習にあたり給費制廃止の弊害が実際に生じているのに給費制を復活させなかった不作為は違憲違法であり,国家賠償法第1条第1項に基づき給費請求相当額の逸失利益及び慰謝料金100万円の合計金337万4080円の請求権を有する。
しかしながら,本訴訟の意義で述べたとおり,原告らは自身の救済のみならず法曹の公共的・公益的使命を自覚し本訴訟に参加しており,本訴訟は請求額以上の価値を有するため,一部請求として各金1万円の支払いを求める次第である。
以 上
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by kenpou-dayori | 2014-03-31 15:50 | 司法改革
2014年 03月 31日

憲法便り#571 司法改革は喫緊(きっきん)の課題―静岡地裁による袴田巌さんの再審決定に思う

2014年3月31日

「これ以上、拘置を続けるのは、耐え難いほど正義に反する状況にある」。
これは、捜査機関の証拠捏造を認定して、再審の決定を読み上げた静岡地裁裁判長が最後に述べた言葉である。
戦前からの「化石」のような静岡地検は、再審決定を不服として、東京高裁に即時抗告をすると伝えられているが、彼等に正義はない。
再審を直ちに開始し、袴田さんの無罪を決定すべきである。

日本国憲法の制定過程では、昭和20年10月の段階から、司法の民主化と司法改革について、様々な提案が行われている。
私は、以前からこの問題に注目し、執筆途上にある論文でも詳しく取上げている。
その中から、『心踊る平和憲法誕生の時代』でも、103頁から104頁にかけて、要点を簡潔に示してあるので、ここで、紹介しておこう。
これを見ると、先人が問題点を網羅して改革案を述べていること、それに反して日本の司法が如何に旧い体質のままで存在し続けているか、その原因はどこにあるのかが良く判る。

岩田行雄編著『心踊る平和憲法誕生の時代』より
【司法の民主化及び司法改革】
戦時下の法体系から、戦後の社会改革、経済復興に合わせた法律の改廃が進められたが、それに止まらず、「司法の民主化」の問題提起が数多く行われた。憲法学者は保守的な意見の人物が多かったが、他の分野の法学者、弁護士、さらには新聞が積極的な提言を行っている。
当時の裁判所は、司法省の管轄下に置かれており、三権分立は特に大きな課題であった。
政府の三月六日草案発表以前の新聞報道に見る司法改革の提言には、次のようなものがある。 
『讀賣報知』一九四五年十月十九日「社説」「司法制度を改革せよ」
『毎日新聞』一九四五年十一月十四日「社説」「司法権の確立を望む」
 『朝日新聞』一九四六年一月一日一面記事「司法制度を根本改革」
①「裁判所と検事局分離 判検事に弁護士任用」
②「予審を廃止」
③「三権分立を推進」
『東京新聞』一九四六年一月五日「検事至上主義脱皮」
『毎日新聞』一九四六年二月十四日社説「徹底せる司法制度改革を」
『朝日新聞』一九四六年二月二十四日「声」欄「司法の民主化」・今村力三郎の投稿
また、政府案発表後、『法律時報』が司法制度に関する論文を、次のように積極的に掲載している。
①末弘嚴太郎著『憲法改正案の司法規定について』(『法律時報』一九四六年四月号三頁)
②中村宗雄著『司法制度の民主化』(『法律時報』一九四六年六月号三頁)
③鈴木義男著『司法制度の改革』(『法律時報』一九四六年六月号七頁)
④岡林辰雄著『司法制度の民主化』(『法律時報』一九四六年六月号十頁)
さらに法曹界からは、政府案に対して、司法に関する条文の修正提案が行われている。
一つは、司法改革同士会の『改正憲法改正草案に対する修正案』。「同志会」という名称を見た瞬間は右翼的な感じを受けたが、この修正案は一九四六年五月十七日付で作成され、前文と六項目から成る司法の民主的改革を目指す具体的提案である。例えば、
「最高裁判所長官は、弁護士又は判事の中から任命する」こと、「最高裁判所の裁判官」及び「下級裁判所の裁判官は、弁護士の中から任命する」ことを提案している。
これは、学生生活から社会経験がないままに裁判官になり、化石と評されるほど一般社会とかけ離れた非常識な官僚集団と化した裁判官の現実を変革するためである。
第七十九条では陪審制、いまの裁判員制度より、もっとハッキリした、アメリカ映画でよく見るような陪審制を提案している。これは、「裁判も国民のためのものでなければならない」という立場からの提案である。この制度は、被告人または弁護人から要求があった場合には、第一審の裁判所は事件を陪審に付さなければならない。陪審員の審議で「無罪」の評決が出た場合には裁判は終結する。
もう一つは、日本弁護士協会と東京弁護士会が共同で一九四六年六月に発表した『政府の憲法改正案に対する修正案とその理由』(文献③の一一七)
この提案は、司法改革同士会の提案より二項目多いが、内容はほとんど同じで、文章も全く同じ箇所があることから、起草する段階で同じ人物が関わっていたと考えることが出来る。


※本書『心踊る平和憲法誕生の時代』の注文については、こちらから
歴史的事実をもって、安部首相と石原慎太郎議員の「押し付け憲法」論のデタラメを打破するこの本が十万部普及すれば、闘いは必ず勝てると思っています。
安倍政権とその補完者である維新の会の暴走を食い止め、憲法改悪を阻止しましょう!
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by kenpou-dayori | 2014-03-31 10:13 | 司法改革