岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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カテゴリ:自著連載( 67 )


2016年 08月 11日

憲法便り#1840:岩田行雄編・著『検証・憲法第九条の誕生』(第六版)の一覧リスト(自著連載より)

2016年8月11日(水)(憲法千話)

憲法便り#1840:岩田行雄編・著『検証・憲法第九条の誕生』(第六版)の一覧リスト(自著連載より)

この連載は、時間がかかる割合には、反応がなかったので、中断して致しましたが、
現下の情勢を鑑み、近日中に、第七章の続きを掲載する予定です。

なお、以前掲載した一覧を検討して、タイトルの調整と、リンク作業を検討中です。

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by kenpou-dayori | 2016-08-11 20:32 | 自著連載
2016年 04月 01日

憲法便り#1649:カテゴリ:自著連載 ( 66件 )

2016年4月1日(金)(憲法千話)

憲法便り#1649:カテゴリ:自著連載 ( 66件 )

憲法便り#1491:岩田行雄編・著『検証・憲法第九条の誕生』(第六版)の一覧リスト(自著連載より)
[ 2015-12-23 09:38 ]
憲法便り#1023第七章「永遠の国是として、戦争の抛棄を宣言す」(秘密会による修正案討議⑥
[ 2015-06-01 14:53 ]
憲法便り#1022:第七章『 「抛棄」は、「放棄」と直すのでは』 (秘密会による修正案討議⑤)
[ 2015-06-01 14:20 ]
憲法便り#1021:第七章『 「抛棄」は、「放棄」と直すのでは』 (秘密会による修正案討議④)
[ 2015-06-01 13:43 ]
憲法便り#1020:第七章「戦争の放棄か」、「戦争の否認か」(秘密会による修正案討議③
[ 2015-06-01 09:13 ]
憲法便り#1019:第七章 「国権の発動」か「主権の発動」か (秘密会による修正案討議②
[ 2015-05-31 11:20 ]
憲法便り#1018 第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による修正案討議)①
[ 2015-05-31 11:07 ]
憲法便り#1017芦田委員長による改正案委員会論議のまとめと、小委員会の設置
[ 2015-05-31 10:34 ]
憲法便り#1016 第九条:笹森順造委員(日本民主党準備会):『検証・・・』(第六版)第六章(9)
[ 2015-05-30 11:50 ]
憲法便り#1015 第九条:高橋英吉委員(日本自由党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(8)
[ 2015-05-30 11:22 ]
憲法便り#1014 第九条:山崎岩男委員(日本進歩党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(7)
[ 2015-05-21 13:53 ]
憲法便り#1013 第九条:笠井重治委員(無所属倶楽部)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(6)
[ 2015-05-21 13:23 ]
憲法便り#1012 第九条:加藤委員(日本自由党)質問の続き:『検証・・・』(第六版)第六章(5)
[ 2015-05-20 14:14 ]
憲法便り#1011 第九条:加藤一雄委員(日本自由党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(4)
[ 2015-05-20 13:37 ]
憲法便り#1010 第九条:山田悟六委員(日本進歩党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(3)
[ 2015-05-20 12:48 ]
憲法便り#1009 第九条:鈴木義男委員(日本社会党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(2)
[ 2015-05-20 09:57 ]
憲法便り#1008 第九条:野坂参三委員(日本共産党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(1)
[ 2015-05-20 09:37 ]
憲法便り#1007 芦田均委員長(日本自由党)の質問:『検証・・』(第六版)第五章(9)
[ 2015-05-19 20:22 ]
憲法便り#1006 「我々は戦争を放棄して、永遠に戦争から解放されて、」:第五章(8)
[ 2015-05-19 20:00 ]
憲法便り#1005「戦争放棄が、自衛としての戦争を含むのか」:『検証・・』(第六版)第五章(7)
[ 2015-05-19 15:11 ]
憲法便り#1004「内乱、騒擾その他の非常事態への方策は如何に」:『検証・・』(第六版)第五章(6)
[ 2015-05-19 14:45 ]
憲法便り#1003 「国際連邦へまで提唱を発展させるべき」:『検証・・』(第六版)第五章(5)
[ 2015-05-18 21:50 ]
憲法便り#1002 「歴史の教えるように、戦争は戦争を製造」:『検証・・』(第六版)第五章(4)
[ 2015-05-18 20:30 ]
憲法便り#998 「戦争放棄は、前文又は総則を構えて謳うべき」:『検証・・』(第六版)第五章(3)
[ 2015-05-14 10:42 ]
憲法便り#997 「民主的憲法の配列として、戦争放棄を冒頭に」:『検証・・』(第六版)第五章(2)
[ 2015-05-14 10:21 ]
憲法便り#996 第九十回帝国議会 衆議院憲法改正案委員の構成」:『検証・・』(第六版)第五章(1)
[ 2015-05-14 09:52 ]
憲法便り#995 「第九十回帝国議会当時の政党・会派の議員数」:『検証・・』(第六版)第四章(9)
[ 2015-05-12 09:08 ]
憲法便り#994「侵略戦争の反省に立ち、その根本原因の廃滅を」(野坂参三議員(日本共産党)の質問)
[ 2015-05-11 15:48 ]
憲法便り#992「世界の国々の憲法に先鞭を付ける意気込みで」(鈴木義夫議員(日本社会党)の質問)
[ 2015-05-11 15:03 ]
憲法便り#991「自衛権まで放棄しなければならないのか」(原 夫次郎議員:日本進歩党)の質問)
[ 2015-05-11 14:52 ]
憲法便り#990「進んで永世局外中立運動を起こすべし」『検証・・』(第六版)第四章(4)
[ 2015-05-11 11:43 ]
憲法便り#989 「吉田総理大臣による百ヶ条の憲法改正案提案」:『検証・・』(第六版)第四章(3)
[ 2015-05-11 11:20 ]
憲法便り#987 第九十回帝国議会 衆議院本会議での憲法改正案論議 『検証・・(第六版)第四章(1)
[ 2015-05-11 10:44 ]
憲法便り#988 第九十回帝国議会 衆議院本会議の憲法改正案論議 『検証・・(第六版)第四章(2)
[ 2015-05-11 08:54 ]
憲法便り#986 第九条の条文の変遷ー草案から確定まで(『検証・・・』(第六版)より「第三章」
[ 2015-05-11 08:37 ]
憲法便り#985 「法制局は第九条をどのように説明したか」:『検証・憲法第九条の誕生』(第六版)より
[ 2015-05-11 08:20 ]
憲法便り#984 「文部省は憲法をどのように教えたか?」『検証・憲法第九条の誕生』(第六版)より
[ 2015-05-11 08:07 ]
憲法便り#983 『検証・憲法第九条の誕生』(第六版):【序章】第九条と国際貢献、軍備について
[ 2015-05-11 07:59 ]
憲法便り#982: 「安倍内閣暴走の起点」・・・『検証・憲法第九条の誕生』(第六版)の掲載にあたって
[ 2015-05-11 06:16 ]
憲法便り#981:岩田行雄編著『検証・憲法第九条の誕生』主な引用文献と参考資料
[ 2015-05-10 20:49 ]
憲法便り#980:岩田行雄編著『検証・憲法第九条の誕生』第五版の目次
[ 2015-05-10 20:43 ]
憲法便り#979:岩田行雄編著『検証・憲法第九条の誕生』増補・改訂第五版へのあとがき
[ 2015-05-10 20:35 ]
憲法便り#978:岩田行雄編著『検証・憲法第九条の誕生』増補・改訂第四版へのあとがき
[ 2015-05-10 20:25 ]
憲法便り#977:岩田行雄編著『検証・憲法第九条の誕生』増補・改訂最三板への序文とあとがき
[ 2015-05-10 20:10 ]
憲法便り#976:岩田行雄編著『検証・憲法第九条の誕生』増補・改訂第二版へのあとがき
[ 2015-05-10 20:02 ]
憲法便り#975:岩田行雄編著『検証・憲法第九条の誕生』初版への序文とあとがき
[ 2015-05-10 19:56 ]
憲法便り#974:岩田行雄編著『検証・憲法第九条の誕生』(増補・改訂第六版)を一挙掲載のお知らせ
[ 2015-05-10 19:40 ]
憲法便り#617 連載(第十八回)『憲法第九条はどのように誕生したか』「おわりに」と〔資料〕
[ 2014-07-18 15:31 ]
憲法便り#614 連載(第十七回)『憲法第九条はどのように誕生したか』草案審議から条文確定まで
[ 2014-07-16 08:14 ]
憲法便り#613 連載(第十六回)『憲法第九条はどのように誕生したか』政府案発表と新聞報道
[ 2014-07-15 09:58 ]
憲法便り#613 連載(第十六回)『憲法第九条はどのように誕生したか』政府案発表to
[ 2014-07-15 09:43 ]
憲法便り#611 連載(第十五回)『憲法第九条はどのように誕生したか』パリ不戦条約(42-44頁)
[ 2014-07-14 10:17 ]
憲法便り#610 連載(第十四回)『憲法第九条はどのように誕生したか』戦争放棄だけで第二章の理由
[ 2014-07-13 12:34 ]
憲法便り#609 連載(第十三回):講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』閣議での激論
[ 2014-07-12 10:05 ]
憲法便り#607 連載(第十二回):講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』押付け憲法論の検証
[ 2014-07-11 08:51 ]
憲法便り#604 連載(第十一回):講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』(33-35頁)
[ 2014-07-10 08:20 ]
憲法便り#603 連載(第十回):講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』(30-33頁)
[ 2014-07-09 09:30 ]
憲法便り#602 連載(第九回):講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』(27-30頁)
[ 2014-07-08 09:19 ]
憲法便り#601 連載(第八回):講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』
[ 2014-07-07 08:53 ]
憲法便り#599 連載(第七回):講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』(22頁~23頁)
[ 2014-07-06 10:53 ]
憲法便り#598 連載(第六回):講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』(18頁~22頁)
[ 2014-07-05 10:29 ]
憲法便り#597 連載(第五回):講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』(15頁~18頁)
[ 2014-07-04 21:16 ]
憲法便り#596 連載(第四回):講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』(12頁~15頁)
[ 2014-07-03 10:00 ]
憲法便り#592 連載(第三回):講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』(9ー12頁)
[ 2014-07-01 09:02 ]
憲法便り#589 連載:講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』(第二回)(6頁~9頁)
[ 2014-05-12 13:20 ]
憲法便り#587 連載:講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』(目次と1-5頁) 
[ 2014-05-11 22:43 ]
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by kenpou-dayori | 2016-04-01 20:45 | 自著連載
2015年 06月 01日

憲法便り#1023第七章「永遠の国是として、戦争の抛棄を宣言す」(秘密会による修正案討議⑥

2015年6月1日(月)(憲法千話)

憲法便り#1023:第七章「永遠の国是として、戦争の抛棄を宣言す」(秘密会による修正案討議⑥)(p.111-114)

前回まで
憲法便り#1022:第七章『 「抛棄」は、「放棄」と直すのでは』 (秘密会による修正案討議⑤)(p.110ー111)
憲法便り#1021:第七章『 「抛棄」は、「放棄」と直すのでは』 (秘密会による修正案討議④)(p.110)
憲法便り#1020:第七章 「戦争の放棄か」、「戦争の否認か」(秘密会による修正案討議③)(p.108-110)
憲法便り#1019:第七章 「国権の発動」か「主権の発動」か (秘密会による修正案討議②)(p.107ー108)
憲法便り#1018 第七章 「小委員会の設置」: 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による修正案討議①)

第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による、修正案討議)(p.106-137)
岩田注・この議事録は、50年間公開されなかった。私たちは幸いにして、現在、議事録を目にしているが、安倍政権が施行した秘密保護法は、最長60年とし、また、保存を義務化してはいない。したがって、このような検証も不可能となる。2015年5月31日)

憲法改正案第二章第九条の修正に関する論議は、第三囘、第四囘、第五回、第七回小委員会において集中的に行われた。

【第三回小委員会】七月二十七日(土曜日)
午前十時三十九分開議、午後四時十七分散会


犬養委員 私は敢えて固守致しませぬが、さっきの第九条の一等初めに「日本国は、永遠の国是として、戦争の抛棄を宣言する。即ち国権の発動たる戦争」云々というようなことを入れたら、少し強くなりはしないですか。このままだと、何だかどうも、とうとういけなくなっちゃったから戦争は止めようという風に聞こえてならぬです。どうも、そうとれる。しかし、これは国是だ。

鈴木委員 今おっしゃったのは……

犬養委員 「日本国は、永遠の国是として、戦争の抛棄を宣言する。即ち」と入れますか。いきなりぶっきら棒に「国権」としてもどうかと思うから、こういう風にやったら宜しいでしょう。委員長、こういう範囲の修正は可能ですか。

芦田委員長 無論可能でしょう。

佐藤政府委員 どちらでも結構です。

犬養委員 どうも、それは入れた方が宜しいと思う。

原 委員 それは宜いね。

犬養委員 どうも、めそめそしているように思う。

鈴木委員 それは第二項にしますか。

犬養委員 それは一つお考え願いたい。

芦田委員長 犬養君、これはこういう風になさったらどうですか。「日本国は永遠の国是として戦争の抛棄」、そうしてこの第九条の一項に残っているような文句を入れて……

犬養委員 それでも結構です。要は、あまり仕方なしにやめたという感じをもう少し少なくしよう……

廿日出委員 委員長の言うことは、「戦争を抛棄す」ですか。

芦田委員長 日本国は永遠の国是として他国との間の紛争を解決する手段としては戦争、武力に依る威嚇、そういうようなものを抛棄する。そうしないと、この九条の一項を生かしておいて、戦争の抛棄を宣言するとやって、また第九条の一項を入れると、重複するような気がするのです。だから、犬養君の初めの書き出しを以って第九条の一項と合体することにしたらどうかと思うのです。そうでなければ、この犬養さんの所に持って行って、永遠の国是としてむしろ平和を愛好するような趣旨で行くのだというようなことを書いて、それから国権の発動たる戦争云々と入れれば重複しないのですがね。社会党の案に何か平和愛好の意味の箇条があったのではないですか。

鈴木委員 こういう風にしようというのです。「日本国は平和を愛好し、国際信義を重んずることを国是とし、教育の根本精神をここに置く」というようなことを現わせば法律になる―法律になるかならないか疑問だが……

芦田委員長 教育の根本ということは後にして、外務省から来た印刷物に、「国際信義を重んじて条約を守る」ということが何処かにあって欲しいというような意見が出て居りましたがね。

犬養委員 あれは九十四条の削った後に入れようというのです。

芦田委員長 だが、私はあそこに条約のことを入れるのはまずいと思うのです。だから、もし条約のことを入れるのならば、第二章に入れる。

犬養委員 それならご参考までに、ちょっと九十四条を読みます。外務省が今日言って来たのは、「日本が締結または加入した条約、日本の参加した国際機関の決定及び一般に承認された国際法規は、この憲法と共に尊重せられなければならない。」こういうことを第二項に入れたらどうかということを言って来たのです。これはどちらでも宜しいと思うのですが。

吉田委員 いまの文章ですが、社会党の「日本国は平和を愛好し、国際信義を重んじ」、そうしていま犬養氏の言われた「重んずる」、次に「永遠の国是として戦争の抛棄を宣言する。」、こういったことではいかぬですか。

原委員 ここへは犬養君の言われたような、永遠の国是としてというような形で、平和愛好なんていうことはもう入れる必要はないことで、ごく簡単な、わずかな文字だけでその意味を現わすように願いたいと思うのですが。戦争の抛棄も平和愛好ということはすぐ分かりますから……

犬養委員 もしさっき私が申し上げたような修正文が、第九条第一項のおしまいの「永遠にこれを抛棄する。」と、これがかち合うおそれがあれば、こういう行き方も考えられます。「日本国民は永遠に平和愛好者たることを宣言する。国権の発動たる戦争」云々、こうやっても宜しいと思います。

廿日出委員 一つの案ですが、いろいろと折衷しまして、「日本国は平和を愛好し、国際信義を重んずることを国是とし、国権の発動たる戦争」と言って、後は続けても差し支えないと思うのです。

芦田委員長 私の個人の意見としては、平和を愛好するということよりは、世界平和の維持に努力するとか、協力するとかいうことを言いたいのであります。ただ平和が好きだというのみならず、自動的に平和維持のために努力する。

廿日出委員 それではこうしたらどうでしょう。「日本国は恒久平和の建設に志す」……

原 委員 どうでしょう。ただ簡単に犬養君の言うように「日本国家は永遠の国是として、国の主権の発動たる」と持って行ったのでは、あまり短すぎるですか。

犬養委員 おしまいの「永久」を削ってしまうのですか。

原 委員 削ってしまう。

吉田委員 それでも宜しいですね。あっさりして……

犬養委員 法律文らしくもある。

大島委員 私は犬養さんが一番先に言われた「日本国は永遠の国是として戦争の抛棄を宣言する。国の主権の発動たる戦争と武力による威嚇または武力の行使は、他国との間の紛争の解決の手段としては、永久にこれを抛棄する。」を言うからいけないので、「永久にこれを認めない」としたらどうでしょう。「抛棄」するはダブるから感じが悪いので、ここの所を「認めない」としたらどうでしょう。

犬養委員 それも宜しいですね。

森戸委員 「日本国は恒久平和の愛好者として、国権の発動たる戦争」云々というようにしても宜しいと思います。

吉田委員 いま、原君の言われたように、「日本国は永遠の国是として」、それから「国権の発動たる戦争」とずっと続けて行って、先の「永久」というのがあるから、これが邪魔になればこれを除いて、「これを認めない」、こう行ったらどうですか。「日本国は永遠の国是として、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、他国との間の紛争の解決の手段としては、これを認めない。」

犬養委員 「これを抛棄する」でも宜しいですね。

原 委員 どうです。宜しい加減なところでどうでしょうか。

犬養委員 その位の所で落ち着いてはどうです。

芦田委員長 しかし、これは来週まで考えましょう。今日中に考えなければならぬ問題ではないから……

森戸委員 「抛棄」というのはこういう難しい字ですが、僕らが普通に書く時には「放」を書くのですが、普通国民的には「放」ではないでしょうか。字引的にはこの字だけれども……

高橋委員 この「抛棄」という字は、今度の議会の詔勅にもありますね。

芦田委員長 あります。それは条約文にもあるのです。「抛棄」というのは法律には沢山ある。一九二八年の条約などにも使ってあります。

高橋委員 「抛棄」という以上は、「放」というのはまずいでしょう。

森戸委員 それはそうなのですが、漢字制限とかいうことがあれば、易しいのでも構わないのではないかという意味なので、ただ参考までに申し上げただけです。別に固執する訳ではありませぬ。

芦田委員長 こんどの漢字制限の中には、この「抛棄」の代わりに「放」という字を使うことになって居ります。

高橋委員 いまのは、こうなるのですか。「日本国は永遠の国是として、国権の発動たる」と行って、「永久」を取るのですか。

芦田委員長 その点は、なお明日一日各派で考えて、出来るだけ良い案を持ち寄ろうではありませぬか。そういうことにして、今日は最終的にこの文句を決定しないという案はどうですか。

高橋委員 それではそういうことにお願い致します。

芦田委員長 ちょっと、発表文のご相談を致します。「小委員会は午後一時半再会、憲法改正案の前文に関する字句の修正に付き一致点に到達した。次に第一章及び第二章の修正に付き意見を交換したが、結論に達せず、二十九日の会議に持ち越すことにして、午後四時散会した」、この程度で宜しいですか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

芦田委員長 これで宜しければ、そういうことに致します。それでは今日はこれで散会します。

憲法便り#1024:『第四回小委員会』へと続く。
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by kenpou-dayori | 2015-06-01 14:53 | 自著連載
2015年 06月 01日

憲法便り#1022:第七章『 「抛棄」は、「放棄」と直すのでは』 (秘密会による修正案討議⑤)

2015年6月1日(月)(憲法千話)

憲法便り#1022:第七章『 「抛棄」は、「放棄」と直すのでは』 (秘密会による修正案討議⑤)(p.110ー111)

前回まで
憲法便り#1021:第七章『 「抛棄」は、「放棄」と直すのでは』 (秘密会による修正案討議④)(p.110)
憲法便り#1020:第七章 「戦争の放棄か」、「戦争の否認か」(秘密会による修正案討議③)(p.108-110)
憲法便り#1019:第七章 「国権の発動」か「主権の発動」か (秘密会による修正案討議②)(p.107ー108)
憲法便り#1018 第七章 「小委員会の設置」: 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による修正案討議①)

第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による、修正案討議)(p.106-137)
岩田注・この議事録は、50年間公開されなかった。私たちは幸いにして、現在、議事録を目にしているが、安倍政権が施行した秘密保護法は、最長60年とし、また、保存を義務化してはいない。したがって、このような検証も不可能となる。2015年5月31日)

憲法改正案第二章第九条の修正に関する論議は、第三囘、第四囘、第五回、第七回小委員会において集中的に行われた。

【第三回小委員会】七月二十七日(土曜日)
午前十時三十九分開議、午後四時十七分散会
出席委員一四名(全員)、政府委員一名


「仮名では、子供が掃き掃除の「箒」と間違える」

芦田委員長 仮名で書いては、子供は掃き掃除の「箒(ほうき)」と間違える。

犬養委員 漢字制限でこういう漢字はいけないということは、誰が決めたか知らないが……

鈴木委員 「抛棄」ということは棄てたくない。

林 委員 「否認」というようりも、「抛棄」という方がぴったりするように思う。戦争をするという、そういう手段を執らない、永久に棄てるのだということであり、戦争権を我々は棄ててしまったのだということだから、どうも「否認」と「抛棄」とは似て非なるものがある、距離があると思う。だからやはり「抛棄」という文字がいけないのなら別に考えて、「ホウキ」と仮名で書くというのではなく、「抛」の字に意味があるから、「ホウ棄」と書いてもやはりこの字を生かすことでしょうね。

憲法便り#103 「永遠の国是として、戦争の抛棄を宣言す」へと続く。
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by kenpou-dayori | 2015-06-01 14:20 | 自著連載
2015年 06月 01日

憲法便り#1021:第七章『 「抛棄」は、「放棄」と直すのでは』 (秘密会による修正案討議④)

2015年6月1日(月)(憲法千話)

憲法便り#1021:第七章『 「抛棄」は、「放棄」と直すのでは』 (秘密会による修正案討議④)(p.110)

前回まで
憲法便り#1020:第七章 「戦争の放棄か」、「戦争の否認か」(秘密会による修正案討議③)(p.108-110)
憲法便り#1019:第七章 「国権の発動」か「主権の発動」か (秘密会による修正案討議②)(p.107ー108)
憲法便り#1018 第七章 「小委員会の設置」: 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による修正案討議①)
第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による、修正案討議)(p.106-137)
岩田注・この議事録は、50年間公開されなかった。私たちは幸いにして、現在、議事録を目にしているが、安倍政権が施行した秘密保護法は、最長60年とし、また、保存を義務化してはいない。したがって、このような検証も不可能となる。2015年5月31日)

憲法改正案第二章第九条の修正に関する論議は、第三囘、第四囘、第五回、第七回小委員会において集中的に行われた。

【第三回小委員会】七月二十七日(土曜日)
午前十時三十九分開議、午後四時十七分散会
出席委員一四名(全員)、政府委員一名


「抛棄」は「放棄」と直すのでは

鈴木委員 権力の発動ですからね。ただ「抛棄」という言葉は、漢字制限会の方ではやはり「否認」より、「放つ」と書いた「放棄」と直すようですが……

廿日出委員 事実においては、終い(しまい)の所にあるではないですか。国の交戦権はこれを認めないということが……

鈴木委員 交戦権と言っても、同じようなものではないと思いますが……

廿日出委員 いや、それはそうだが、認めないと言うから、「否認」となる。

鈴木委員 「否認」ということを使うかどうか、それと漢字制限の字をどう使うかという問題がある。ところが、漢字制限会の出している所を見ると、どうも関心していないから、原案の方が宜しい。だから、「抛棄」も「否認」とするとぴったりこない。「抛棄」ならば適切な言葉ですから、将来学校や何かで子供に教える時には、仮名で「ホウキ」という風に教える、そうして憲法ではやはりこういう字を使っているということを、これからやるほかないと思う。

憲法便り#1022: 「仮名では、子供が掃き掃除の「箒(ほうき)」と間違える」へと続く。
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by kenpou-dayori | 2015-06-01 13:43 | 自著連載
2015年 06月 01日

憲法便り#1020:第七章「戦争の放棄か」、「戦争の否認か」(秘密会による修正案討議③

2015年6月1日(月)(憲法千話)

憲法便り#1020:第七章 「戦争の放棄か」、「戦争の否認か」(秘密会による修正案討議③)

前回まで
憲法便り#1019:第七章 「国権の発動」か「主権の発動」か (秘密会による修正案討議②)

憲法便り#1018 第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による修正案討議①)

第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による、修正案討議)(p.106-107)
岩田注・この議事録は、50年間公開されなかった。私たちは幸いにして、現在、議事録を目にしているが、安倍政権が施行した秘密保護法は、最長60年とし、また、保存を義務化してはいない。したがって、このような検証も不可能となる。2015年5月31日)

憲法改正案第二章第九条の修正に関する論議は、第三囘、第四囘、第五回、第七回小委員会において集中的に行われた。

【第三回小委員会】七月二十七日(土曜日)
午前十時三十九分開議、午後四時十七分散会
出席委員一四名(全員)、政府委員一名



「戦争の放棄」か「戦争の否認」か

芦田委員長 それから字句の修正が、自由党のほうから出ておりますが、「戦争の抛棄」というのは「否認」としよう、「抛棄」という字は、山田悟六君も委員会で言われたように、戦争権なら「抛棄」で宜しいけれども、戦争を「抛棄」するということは、「抛棄」という字と相容れないと思うのです。何か具体的に物を打ち突けるようなものでなくては、「抛棄」と言わないそうです。もう一つは、「抛棄」という字は漢字制限に引っ掛かって居るから、「抛棄」の「抛」はどうも困る、そこでむしろ英文の意味から言うと、「否認」とした方が宜しいということで、自由党では「戦争の否認」というようにしたのですが、これはどうでしょう。

笠井委員 それは、賛成です。

大島委員 私の所も、大体「否認」とした方が宜しいという主張がありましたので、私も賛成であります。
原 委員 これは、私はやはり前の方が宜しいと思うのです。「否認」というと、頭の形式的な働きのようにも思われるし、「抛棄」というのは、これよりかまだ強い実際的の意味を含んで居る訳なのです。これはもう民法その他の法律には、皆「財産権の抛棄」なんということは、ざらに使って居るのですが……

芦田委員長 戦争権なら宜しいでしょう。戦争権の「抛棄」なら……

原 委員 それは結局、戦争抛棄権というものを持って居るだろうとは思いますが……

芦田委員長 実質においては一致するのでしょうな。

原 委員 「抛棄」の「抛」を「否認」というだけでは、制限的な意味から申しましても、弱いと思うのです。だから「抛棄」は、やはりこれはもう戦争は捨ててしまうのだ、投げるのだという所に、却って意味があると思うのです。これだけ申し上げておきます。

犬養委員 せっかくおまとまりになった所に、また波乱を起すようでありますが、私見を申します。第二章は非常に結構な法文で、この憲法の中の傑作ですが、何だか仕方がない、やめようかというような所があります。何か積極的な摂理として、戦争はいかぬというような字が入れば、なお宜しいと思いますが、そのためにこの委員会が非常に面倒になるなら固執致しませぬ。

鈴木委員 面倒になるどころじゃない。大いにそれは賛成するだろうと思いますがね。

犬養委員 原さんのご説はごもっともと思いますが、一方から言うと、心にあっても「抛棄」するという場合がある、「否認」というと理念的に否定する、こういう風にも考えられないでもないと思いますが、皆さんのお考えを聴きたいと思います。

廿日出委員 それを要求して居るのではありませぬか。
芦田委員長 どれを……

廿日出委員 いまの犬養さんのです。

芦田委員長 犬養さんのは、ご説はごもっともでありますが、そういう調子の高い文句で書くと、前文に書けば非常に映りは宜しいのですが、第何条として多少文学的な調子の高いもので一条を書くということは、なかなか難しいのではないですかね。

原 委員 ちょっと申し落としたのでありますが、「戦争否認」と言えば事実はその通りですが、認めない、戦争を認めない、つまり議論をしてもそれを認めない、そういうことになります。拒否することになります。この「抛棄」とはだいぶ字の意味が違うと思うのです。そういう感じがしますが、どうですか。

芦田委員長 そういう風にも見えるし、また読みように依っては、「否認」ということが強いと思うのです。戦を仕掛けてきたが、俺は戦がいやだと言って、鉄砲を捨ててごろごろ逃げてゆくのも「抛棄」ですね。

犬養委員 そういう風にも取れるが、「否認」ということは、危ないからやめておこうじゃないかという風にも取れると思う。

芦田委員長 それは読みようで、強くも弱くも取れます。

大島委員 「抛棄」というと、戦争をやって居る時とか、何か権利を捨てるという時には宜しいが、全然何もやっていない時に「抛棄」というのはおかしい。持って居るものを捨てるとか、または実際従事していることをやめるという時は、「抛棄」という言葉が適当でありましょうが、実際やって居ない戦争を「抛棄」するというのは、文字の使い方がおかしいと思う。

原 委員 それは、そうではないのです。第二項で、戦争権というものは国家にある。

鈴木委員 戦争権の「抛棄」ですからね。

大島委員 戦争を権利と見る訳ですね。

『憲法便り#821『 「抛棄」は、「放棄」とするのでは』へと続く。
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by kenpou-dayori | 2015-06-01 09:13 | 自著連載
2015年 05月 31日

憲法便り#1019:第七章 「国権の発動」か「主権の発動」か (秘密会による修正案討議②

2015年5月31日(日)(憲法千話)

憲法便り#1019:第七章 (秘密会による修正案討議②)

前回まで
憲法便り#1019:第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による修正案討議)

第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による、修正案討議)(p.106-107)
岩田注・この議事録は、50年間公開されなかった。私たちは幸いにして、現在、議事録を目にしているが、安倍政権が施行した秘密保護法は、最長60年とし、また、保存を義務化してはいない。したがって、このような検証も不可能となる。2015年5月31日)

憲法改正案第二章第九条の修正に関する論議は、第三囘、第四囘、第五回、第七回小委員会において集中的に行われた。

【第三回小委員会】七月二十七日(土曜日)
午前十時三十九分開議、午後四時十七分散会
出席委員一四名(全員)、政府委員一名


「国権の発動」か「主権の発動」か

芦田委員長 それでは、第二章に入ります。これも社会党の修正案から……

鈴木委員 これは私が出そうと思って居る内に、自由党から出されてしまったのですが、「国権の発動たる戦争」、こう直すように―これは法律的に「主権の発動たる戦争」というのは変なのです。

芦田委員長 どうも私共もこれを法律的に説明出来ませぬが、佐藤君、あなたの方が説明は正確だろうと思うのですが……

佐藤達夫政府委員 委員長以上のご説明は出来ませぬ。

芦田委員長 あなたの意見を一つ―国権とやる方が宜しいか、国の主権とやる方が宜しいか、鈴木君からのお話しも委員会に出て居る筈ですが……

鈴木委員 戦争に訴える権力の問題です……

佐藤政府委員 私の方の少くとも今日までの考えでは、国権として戴いた方が宜しくはないか、その意味で国の主権という言葉を使って居ります。

鈴木委員 国権という方が簡略で宜しい。

佐藤政府委員 前文の後ろの方に「自国の主権」ということがありまして、それとの関係を実は密かに心配して居りますので、これは皆様のお教えを仰ぎたいと思います。

鈴木委員 前文の方はあれで宜しいが、大綱で独立性という言葉を意味して居るのですから、それこそ主権ということばを使うとすれば使える。こっちの方は戦争ですから、国権の発動です。何も一つの言葉を使っていけないということはないでしょう。統治権という言葉を使うか使わぬかということは、別の問題になります。それから社会党は、この総則の方へ持って来るならば、いま一条平和愛好国であるというようなことを出したいと思った。日本国は平和を愛好し、国際信義を重んずる―これは法律に直すにはかなり難しい技術を要しますが、これは道義的の規定になりますから、ほかにも道義的の規定は沢山ありますけれども、その趣旨は前文に出ておりますから、無理にそういう一条を設け、或いはこの前に出すことはないと思います。強いて固執は致しませぬが、皆さんのご意見を伺います。ただ戦争をしない、軍備をみな棄てるということは、ちょっと泣き言のような消極的な印象を与えるから、先ず平和を愛好するのだということを宣言しておいて、その次にこの条文を入れようじゃないか、そういうことを申し出た趣旨なのであります。

【憲法便り#1020: 「戦争の放棄」か、「戦争の否認」か、へと続く。
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by kenpou-dayori | 2015-05-31 11:20 | 自著連載
2015年 05月 31日

憲法便り#1018 第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による修正案討議)①

2015年5月31日(日)(憲法千話)

憲法便り#1018:第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による修正案討議)

第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による、修正案討議)(p.106-107)
岩田注・この議事録は、50年間公開されなかった。私たちは幸いにして、現在、議事録を目にしているが、安倍政権が施行した秘密保護法は、最長60年とし、また、保存を義務化してはいない。したがって、このような検証も不可能となる。2015年5月31日)

【小委員会および速記録について】

平成七年に刊行された速記録の「まえがき」には次のように書かれている。
「この「第九十回帝国議会衆議院帝国憲法改正案委員小委員会速記録」は、昭和二十一年七月二十五日から八月二十日までの間に秘密会で開かれた帝国憲法改正案委員小委員会の速記録を原文に忠実に収録したものである。(中略)
帝国憲法改正案委員小委員会の速記録は、昭和三十一年五月十日の衆議院議員運営委員会決定によって国会議員に限り閲覧を許可されることとされ、それ以外には、特例として憲法調査会委員に閲覧が許可されたのみであった。
この速記録公開の問題については、衆議院議会制度協議会等においてかねてから熱心に協議がなされてきたが、平成七年六月十六日の衆議院議院運営委員会において帝国議会時代の衆議院秘密会議事速記録(懲罰事犯の件を除く)の公開が決定されたものである。そして、その実施に当たっては、まず「第九十回帝国議会衆議院帝国憲法改正案委員小委員会速記録」を刊行し、引き続き「帝国議会衆議院秘密会議事速記録集」を刊行することとしている。」(後略)

【小委員会の構成(十四名)】

昭和二十一年七月二十三日
「芦田均委員長の指名により委員会で選出された小委員」


芦田 均(日本自由党)
廿日出 厖(日本自由党)
江藤夏雄(日本自由党)
犬養 健(日本進歩党)
吉田 安(日本進歩党)
鈴木義男(日本社会党)
森戸辰男(日本社会党)
林 平馬(協同民主党)
大島多蔵(新政会)
笠井重治(無所属倶楽部)

昭和二十一年七月二十五日
「芦田均委員長により第一回会議で追加指名された小委員」


北 令吉(日本自由党)
高橋泰雄(日本自由党)
原 夫次郎(日本進歩党)
西尾末広(日本社会党

なお、政府委員としては、佐藤達夫法制局次長が出席した。

【小委員会が行われた日時】

第一回(七月二十五日)
第二回(七月二十六日)
第三回(七月二十七日)
第四回(七月二十九日)
第五回(七月三十日)
第六回(七月三十一日)
第七回(八月一日)
第八回(八月二日)
第九回(八月八日)
第十回(八月十日)
第十一回(八月十三日)
第十二回(八月十六日)
第十三回(八月二十日)

憲法改正案第二章第九条の修正に関する論議は、第三囘、第四囘、第五回、第七回小委員会において集中的に行われた。

『憲法便り#1019』へと続く。
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by kenpou-dayori | 2015-05-31 11:07 | 自著連載
2015年 05月 31日

憲法便り#1017芦田委員長による改正案委員会論議のまとめと、小委員会の設置

2015年5月31日(日)(憲法千話)

憲法便り#1017芦田委員長による改正案委員会論議のまとめと、小委員会の設置

第六章の前回まで、
憲法便り#1016 第九条:笹森順造委員(日本民主党準備会)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(9)
憲法便り#1015 第九条:高橋英吉委員(日本自由党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(8)
憲法便り#1014 第九条:山崎岩男委員(日本進歩党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(7)
憲法便り#1013 第九条:笠井重治委員(無所属倶楽部)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(6)
憲法便り#1012 第九条:加藤一雄委員(日本自由党)の質問の続き:『検証・・・』(第六版)第六章(5)
憲法便り#1011 第九条:加藤一雄委員(日本自由党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(4)
憲法便り#1010 第九条:山田悟六委員(日本進歩党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(3)
憲法便り#1009 第九条:鈴木義男委員(日本社会党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(2)
憲法便り#1008 第九条:野坂参三委員(日本共産党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(1)
憲法便り#1014 山崎岩男委員(日本進歩党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(7)
憲法便り#1013 笠井重治委員(無所属倶楽部)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(6)
憲法便り#1012 加藤一雄委員(日本自由党)の質問の続き:『検証・・・』(第六版)第六章(5)
憲法便り#1011 加藤一雄委員(日本自由党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(4)
憲法便り#1010 山田悟六委員(日本進歩党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(3)
憲法便り#1009 鈴木義男委員(日本社会党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(2)
憲法便り#1008 野坂参三委員(日本共産党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(1)


『検証・憲法第九条の誕生』(増補・改訂 第六版)(p.103ー105)より
第六章 第九十回帝国議会 衆議院憲法改正案委員会での逐条審議(8)


改正案委員会の審議は、第九回(七月九日)で一般質疑を終了し、第十回(七月十一日)から逐条審議を開始した。第九条に関する審議は、第十二回(七月十三日)の後半と第十三回(七月十五日)の前半において、集中的に行われた。
そして、憲法改正案委員会の論議は、第二十回をもって終了し、「小委員会」での論議に引き継がれることになる。
本書第七章は、小委員会の論議の中から、憲法第九条、特に「戦争放棄」の表現の確定までの、様々な論議を引続き掲載する。
(2015年5月31日加筆部分)

【第二十回委員会】七月二十三日(火曜日)
午後一時四十七分開議、午後一時五十五分散会
出席委員四十二名・国務大臣八名・政府委員一名


【芦田委員長による改正案委員会論議のまとめ】
「世界が依然として偏狭な国家思想と民族観念に囚われている限り、戦争の原因は永久に除かれない」


芦田委員長 会議を開きます。本日は第九十八条以下の質疑に入るのでありますが、本条より第百条までは発言の申し出がありませぬ。これにて第十一章に対する質疑は終了致しました。
昨日まで二十回(十九回の誤り)にわたる会議において、憲法改正案に対する審議は詳細にかつ熱心に行われました。本日質疑を終了せんとするに当たり、委員長より政府に要望する点を二、三明白にしておきたいと存じます。

一、本改正案は、憲法付属の諸法典と相俟って、初めて完全なる運用を期待せられることは、言うまでもないことでありますが、皇室典範、国会法、参議院法、内閣法その他の多数に上る各種の法令は、政府の準備が整わないために、必ずしもその全貌を捕捉し得たとは考えませぬ。然るに改正憲法はここ数ヶ月にして実施せられるのでありますから、政府は一日も速やかにこれら憲法附属の法典を起案し、国民の世論に問う準備を進められんことを望みます。
二、本改正案が軍備を撤廃し、戦争を否認して、人類の平和を永遠に確保する理想を掲げたことは内外の斉(ひと)しく歓呼を以って迎えたところであります。しかしながら、単に我が国が戦争を否認するという一方的行為のみを以っては、地球表面より戦争を絶滅し得る訳ではありませぬ。すでに成立して居る国際連合機構といえども、その組織は戦勝国の平和維持に偏重した機構であって、いまなお敵味方の概念に支配せられた感なきを得ませぬ。我が国としては更に進んで、一視同仁の思想による普遍的国際連合の建設に邁進すべきであり、これを以って精神的に世界を指導する気迫を明示すべきであると信じます。
三、本改正案の運用に当たっては、すべからく、新世界に適応すべき民衆を教養することから出発しなければなりませぬ。世界が依然として偏狭な国家思想と、民族概念に囚われて居る限り、戦争の原因は永久に除かれないと思います。しかし真に世界平和の理想に向かって、民衆の思想感情を養成することは、非常に困難を伴う仕事であります。私は政府が将来この点に一層の注意を払われんことを要望致すものであります。
四、過去二十日間にわたる本委員会の質疑応答において、政府が改正憲法の法理的究明に、多大の努力を致されたことは、十分に諒といたすものであります。しかしながら、民主主義憲法の運用は法理のみに依って完璧を期し得るものではありませぬ。本委員会に現われた限りにおいて、政府が民主主義政治の運用に付き、内政外交の両面にわたり、新日本の建設に相応しき方策と、これを実行する熱意とを示すことに躊躇(ちゅうちょ)せられた感のあることは、国民に多少の失望を与えたこととおもいます。政府当局は自ら新憲法の精神を身に着けて、日本再建の先陣となり、官界、財界、各方面の民主化を徹底して、以って諸外国が信頼と友誼(ゆうぎ)とを以って我が国に対処するごとく、十二分の努力を払われんことを熱望する次第であります(拍手)。ご異議はありませぬか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

これにて帝国憲法改正案に対する質疑は終了しました(拍手)。これより委員会は、憲法改正案の討論に入るのでありますが、議事の進行上、十名位の小委員会を設け、修正案の取扱いを担任させることと致したいと存じます。

【小委員会の設置と付託について】

芦田委員長 さように決定致します。ついては、右小委員会の選挙の方法に付いて、おはかり致します。

鈴木義男委員 委員の選挙に付きましては、便宜選挙を省略して委員長のご指名に致したいと思います。

芦田委員長 鈴木君の動議にご異議ありませぬか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

芦田委員長 それでは委員長より小委員会の委員を指名致します。
廿日出厖君、江藤夏雄君、犬養健君、吉田安君、鈴木義男君、森戸辰男君、林平馬君、大島多蔵君、笠井重治君、これに不肖(ふしょう)委員長が参加して合計十名の小委員会を構成することに致します(拍手)。
つきましては、議題の条文に付いて修正等の意見ある場合には、すべてこれを小委員会に付託いたしまして、小委員会において修正に対する意見をまとめることとして進行致します。また、小委員会は案文全条にわたって検討する権能を持つことに致したいと思います。小委員会において一応の成案を得る運びに至りますれば、各派においてこれに対する態度決定する順序となるのであります。小委員会が成案を得ました時には、即刻委員会を開きこれを報告した後に、討論に入ることに致します。小委員会の開会に付いては後刻通知いたします。本日はこれにて散会致します(拍手)。

憲法便り#1017:第七章へと続く。
「戦争放棄」の表現確定までの、論議、論争です。是非ご一読、リツイートを!
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by kenpou-dayori | 2015-05-31 10:34 | 自著連載
2015年 05月 30日

憲法便り#1016 第九条:笹森順造委員(日本民主党準備会):『検証・・・』(第六版)第六章(9)

2015年5月30日(土)(憲法千話)

憲法便り#1016 第九条:笹森順造委員(日本民主党準備会)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(9)

第六章の前回まで、
憲法便り#1015 第九条:高橋英吉委員(日本自由党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(8)
憲法便り#1014 第九条:山崎岩男委員(日本進歩党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(7)
憲法便り#1013 第九条:笠井重治委員(無所属倶楽部)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(6)
憲法便り#1012 第九条:加藤一雄委員(日本自由党)の質問の続き:『検証・・・』(第六版)第六章(5)
憲法便り#1011 第九条:加藤一雄委員(日本自由党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(4)
憲法便り#1010 第九条:山田悟六委員(日本進歩党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(3)
憲法便り#1009 第九条:鈴木義男委員(日本社会党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(2)
憲法便り#1008 第九条:野坂参三委員(日本共産党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(1)
憲法便り#1014 山崎岩男委員(日本進歩党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(7)
憲法便り#1013 笠井重治委員(無所属倶楽部)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(6)
憲法便り#1012 加藤一雄委員(日本自由党)の質問の続き:『検証・・・』(第六版)第六章(5)
憲法便り#1011 加藤一雄委員(日本自由党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(4)
憲法便り#1010 山田悟六委員(日本進歩党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(3)
憲法便り#1009 鈴木義男委員(日本社会党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(2)
憲法便り#1008 野坂参三委員(日本共産党)の質問:『検証・・・』(第六版)第六章(1)


『検証・憲法第九条の誕生』(増補・改訂 第六版)(p.97ー103)より
第六章 第九十回帝国議会 衆議院憲法改正案委員会での逐条審議(8)


改正案委員会の審議は、第九回(七月九日)で一般質疑を終了し、第十回(七月十一日)から逐条審議を開始した。第九条に関する審議は、第十二回(七月十三日)の後半と第十三回(七月十五日)の前半において、集中的に行われた。

【第十三回委員会】七月十五日(月曜日)
午前十時二十四分開議、午後四時十五分散会
参加委員五十六・国務大臣六・政府委員四名



笹森順造委員(第十二回委選定・日本民主党準備会)の質問
「「放棄」よりも「排除」の方が適切ではないか」

芦田委員長 笹森順造君。

笹森委員 第二章の見出しに「戦争の放棄」という文字があり、第九条の第二行目に「放棄する」とありますが、この放棄という文字に付きまして、もっと適切な文字があったならば改めても宜しいというお考えがあるやにも伺って居ったのでありますが、このことでもう少しお尋ねを申し上げたいと思います。第九条の……

芦田委員長 笹森君に申し上げます。同じ質問は山田悟六君より既に出ているのであります。政府はこれに対して答弁を与えられて居りますが、その他の角度からのご質問ならば宜しかろうと思います。

笹森委員 他の角度からであります。それは先ほども総理大臣がお話しになりまして、単に戦争を放棄するばかりではなく、自衛権をも否定して、進んで世界の平和国家の先頭に立つということを仰せになって居りますることからしても、単にこれは国際連合というものに加入し、これに依存するという立場から、更に一歩を進んで、日本が独自的にこの目的を達成せしむるというようなことから考えますると、一昨日金森国務相が仰せになりました、否定、認定、断念というような言葉を用いようとしたが、結局放棄となったというのであるが、それよりもっと進んで、むしろ日本の国土全体を戦争に参加せしめないというように考え、或いはまた進んで日本が世界の指導者となるという観点からするならば、この放棄という文字は弱い。これはむしろ排除という文字を使ったならばどうか。
英語の方の翻訳を見ますと、「レナンシェーション」(renunciation)という文字が使ってあるようでありますが、この意味の内容は、単に棄てるという意味ばかりではなく、「レジェクト」「レフューズ」する、これを拒否する、こっちから止めてしまう、排除するという風に考えて居りますので、これは英文はこのままで結構でありますが、この「放棄」を「排除」とすればもっと適切で、しかも意味がもっと徹底するではないかということから、金森国務相にこの点を、簡単なことでありますが、お尋ねしたい、こういうことであります。

金森国務大臣 排除するですな。

笹森委員 排除、押し除ける、そうするともっと積極性がある、こういう意味で申し上げたのであります。
金森国務大臣 いまお示しになりました排除という言葉と放棄するという言葉と、何れが適切であるかということは、もっとよく時間を戴いて考えて見ないと正確なお答えは出来かねますけれども、差し当たり考えて見ましても、何か排除するというだけでは放棄ほど決意が十分に表われない、傍らの方に向けるだけであって、不十分なような気がします。はっきり致しませぬから、この程度で止めておきます。

笹森委員 次に「国の交戦権はこれを認めない」とある、この憲法の効力の及ぶ地理的範囲と、ここに掲げて居りまする国の範囲とを明白に伺いたい。これは四つの場合があるのじゃないか。世界のあらゆる所であらゆる国の交戦権を認めないというのか、第二に或いは全世界のあらゆる所で我が国の交戦権を認めない、他国の交戦権は認めないというのか、第三の場合の我が国土内であらゆる国の交戦権を認めないが、他の地域での交戦権は認めるというのか、第四の場合の我が国土内で我が国の交戦権を認めないが、他の交戦権は認めるというのか、こういう四つの場合があると思いますが、どんな狭義に考えましても、この憲法の効力は我が国土全体に及ぶものと考えられる。したがって、我が国土内では如何なる国の交戦権をも認めないとするということが、つまり先ほど私が排除しようというような意味と関係を持って居るのであります。即ち我が国は如何なる地域においても戦争をしないと解するのは無論当然でありまするが、その以上にいま申し上げたようなことを考えて見たい。我が国土を外国同士の戦争の基地化するのを認めないのは、これは国家として当然であるし、過去の日本の軍事基地は一切棄却さるべきものであり、また今日占領軍の関係して居りまする日本国内における軍事施設も、占領軍が撤退後我が国に返却された後においては、これらの軍事施設を一切棄却し、或いは排除し、転用せらるべきことも無論である。そうなりました暁において、爾後、如何なる事態においても、我が国土の戦争基地化を拒絶し、如何なる国の交戦権をも我が国土内において認めないことにすることが、国土の安全が保たれる所以であると思う。
これが即ち日本の国に戦争が来た時、ただ棄てるというのでは弱いので、どんなものが来ても排除してしまうというような意味で、先ほど申したことと関連して居りますが、結局するところ、国の交戦権というものは、憲法の及ぶ地域的範囲、及びここに掲げた国というものの定義及び範囲を明確にお示し願いたいと思うのであります。

金森国務大臣 お話しの次第をよく考えて見ますると、お示しになりました排除という言葉もよく分かるように思います。この憲法を起案致しましたのは、日本の国防として効力あらしめようという趣旨であります。したがって縦(よ)しや日本の土地の中でありましても、今日国際法上認められて居ります他国の交戦権の類を日本が一方的に拒否することは、これは国内法上の問題として扱うに致しましても、国際法に反し、また国際信義にも反することでありまして、これは困難なことと思う訳であります。理想と致しまして、いまお示しになりましたように、日本の領域内におきましては、一切の国の戦争行為に付いて、第九条に該当するものは全部これを排除するということは、確かに一つの考え方でありまして、将来それに向かって努力することに意義があると思いまするが、しかしいまの段階におきまして日本が致しますることは、直ちにこれを以って国際法上の変動を行うという所までは、遺憾ながら進んでは居りませぬ。結局、日本がこれを放棄するという趣旨であります。而して第二項に色々なこれを認めないという規定があります。これも日本国の働きに付いて言うのでありまして、したがって行われまする地域は必ずしも日本国ばかりではないかも知れませぬが、国と国との関係が起りまする場合には、もとより日本の領域内においても日本の主権の発動というものは考えられまするから、地域は広くなるかも知れませぬ。しかし、考え得る主体は日本国だけの働きという意味であります。

笹森委員 次には、反乱鎮定のために警察は武力を行使し得るか、或いはまたこの場合に警察の強制力は武器を使用しても武器とはみなさないか、第九条の関連に付いてお尋ねしたいのでありますが、将来平和条約の締結後、いずれの時にか、もしも不幸にして国内の一地方に反乱が起って、一地方を占領し、独立を宣言したという場合に、日本は戦争を放棄したのであるから、その反乱者に対しては戦力に依る鎮定が出来ないことになる。出来ないとすれば、皇土の安全を保たれず、国家は破滅に瀕するのであります。よって、この場合には、警察権の強力な発動に依って鎮定するのは、国内問題として第九条の発動に依って許されなければならぬものだと思う。この点に関して特に警察官が帯剣し、或いは拳銃を使用して隊伍を組んで行動して居りますることが将来、反乱鎮定行動、或いは暴徒鎮定行動となった場合に、やはりこれは武力の行使ということ以外になるのではなかろうか。かって西南の役(せいなんのえき)の時に警視庁の巡査隊が許されたことなども、色々思い合わされる。この場合において、結局第九条に決めて居りまする戦力との区別、限界を明確にお示し願いたいのであります。

金森国務大臣 第九条は、第一項も第二項も戦争ということに着眼して居る訳であります。したがって、国内の治安を維持するために実際上の力を用いることは禁止しては居りませぬ。ある場合に警察官がこの機能を発揮して、治安を擁護することは、もとよりなし得べきことであり、なさなければならぬことと思うのであります。しかしながら、どの程度までが警察権であり、どの限度を越えますれば陸海空軍の戦力となるか、許されるべき範囲と、許されざる範囲というものが起って来て、これは理論的にどこかに境界線が明白に存するものと思う訳であります。ただ実際におきまして、もしも国内治安維持のための警察力ということに言葉をかりて、陸海空軍の戦力そのものに匹敵するようなものを考えまするならば、やはりこの憲法第九条に違反となります。運用の上におきましては、誰が見ても警察権の範囲と認める程度において実施すべきものと考えて居ります。

笹森委員 ただいまの戦力の問題に付いて、進んでお尋ね申し上げます。
第九条の規定におきまして、放棄又は否認せられるべき武力および戦力のことが書いてありますが、この定義および内容を判然と承りたい。武力と申しますと大抵明らかでありますが、戦力ということになりますと、少々明瞭を欠く観念が出て来るのであります。広義に申しますと、あらゆる国力が戦力に関係してくる、これが従来の考え方であります。そこでこの戦力というものを、全くここから切り離して、平和的、経済的、或いは文化的に経済力といい、文化力ということを明確に区別して置かなければならぬ必要を感ずる。一般の生産力、軽工業、重工業等の工場に致しましても、ある場合には直ちに戦力に転用せられることがあり得るというのが従来の考え方であり、事実そうでもありましょう。またそれらの諸施設ばかりでなく、飛行場のようなもの、戦闘飛行機を除いた飛行機、或いは港湾、汽船、汽車、自動車、電信電話その他の施設と申しましても、武力、戦力以外の平和国民生活の施設として、当然ますます発達せしめなければならぬものが沢山ある。この武力、戦力と平和的な経済国力、文化力というものの限界を明確に示して戴いて、この「認めない」というものの中に入らないものを、はっきりとここでお示し願いたいと思うのであります。

金森国務大臣 かような言葉は、中心の所は誰でもすぐ諒解を致しますけれども、その内容の周辺に当る所、つまりどこまで行けば戦力になり、どこまで行けば平和力になるかという限界は、なかなか決めかねる点があります。大体の基本の原則と致しましては、一国の戦闘力を構成することを常の姿として居る力、これを戦闘力というものと思うのであります。新たに学問上発達致しましたところの特殊なる戦争手段の如きは、陸海空軍でなくても、もとより戦力であり、多数の人間に多くの生命身体に関する変化を惹起するというような手段は、これに入ると思うのであります。
しかし、もっぱら平和の目的に使わるるということに依って説明が出来るような、而して、つまり一般の経済的な設備等は、この戦力には入るものではない、こういうように考えて居りまして、現実の設備が戦力であるかどうかは、総合的な判断に依って決めるより外はないものと思って居ります。

笹森委員 最後に、司法大臣にお尋ね致したいのであります。
この憲法の条文に違反者があった場合に、特にこの第二章に対して違反者のあった場合の処罰等に関するお考えのご用意を伺いたいのでありますが、ここでは特に「国の交戦権は、これを認めない」とあります。ところで、国と申しましても、国民がその中に居って活動することでありますから、不幸にして自衛権を発動しなければならない場合が出来て、国民が国土内で武器を持つ以前に腕力或いはその他の器物で正当なる自己防衛を行うというような場合でも、それが違法行為となるのかどうか。そうであるとするならば、これを如何に処罰するということになりますか。先ずこの点を第一に伺って、もう一つお尋ねをしたいと思います。

木村司法大臣 お答えします。
自衛権の発動であるや否やということは大問題でありまするが、いまお話しの通り、武力行使せずに単に腕力で以ってこれを自衛した場合にどうかというご質問のように受け取れましたが、それはその時の場合に、果たしてそれが交戦権と認められるや否やということで解釈が違ってくるだろうと思います。勿論この交戦権の範囲に属すると認められた場合は、憲法違反になることは当然であります。これは、只今でも刑法に、いわゆる国交に関する罪という規定があります。将来またこの憲法の線に沿うて、刑法も改正されるので、それに依って取り締って行きたいと思います。

笹森委員 次に、我が国民が外国在住中に外国の軍隊に入り、戦争に参加するということは、違憲行為でありますかどうか。即ち、外国が他の外国と戦争した場合、または外国が我が国を相手として戦った場合、そのほか、その時に外国に在った国民で、強制的又は任意的に外国の軍隊に加わって戦った例は、幾らでも過去においてあります。この憲法通過後においてかかる行為をするならば、憲法違反行為になるかどうか。ただ仮にそうだとした場合に、我が国の法律の効力の及ばない外国に在る間は事実上、処罰されないということがあったにしても、その者が日本国民である以上は、やはり違憲行為をした事実が存在する間は責任が存するではないか。そういう者が日本に帰って来たならば、直ちに責任を取らるべきではないか。過去において日本が行った戦争参加の有力なる指導者は、現に公職追放されて居るのであるが、日本国民でありながら外国軍隊に加わって、やはり日本攻撃の重要役割を演じた者は、当然公職追放以外に、反逆者として厳重に処断せらるべきものではなかろうか。かかる違憲行為者があった場合には、どういうことにお取り扱いをなさるのであるか。この点に付いてのご答弁をお願いしたいと思います。

木村司法大臣 お答え致します。
日本人が外国において外国の軍隊に加わって色々な交戦行為をやった、これは日本国としてその責任のないことは、当然言うことを待たない。ただその個々の外国においてそういう軍隊に加わった者の処断に付いては、これは国内法上において、それぞれその当該事項に該当した場合において処置されることと思います

笹森委員 質問を終ります。

芦田委員長 これにて憲法第九条に対する審議を終りました。続いて第三章、第十条を議題に供します。


改正案委員会による、第九条に関する逐条審議はこれで終了

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by kenpou-dayori | 2015-05-30 11:50 | 自著連載