岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2013年 07月 12日

憲法便り#112 吉田茂首相特集(第五回) 昭和21年11月3日 憲法公布記念日のラジオ放送

2013年 07月 12日
憲法便り#112 吉田茂首相特集(第五回) 昭和21年11月3日 憲法公布記念日のラジオ放送

吉田茂首相は昭和21年3日午後8時から約10分間『日本国憲法の公布に当って』と題してラジオ放送しました。
翌11月4日付の『朝日新聞』、『毎日新聞』、『讀賣報知』の報道はいずれも要約で、『毎日新聞』は東京版と大阪版で文章の違いがあります。
したがって、ここでは共同通信配信の全文を掲載した『山形新聞』を引用します。

『山形新聞』昭和21年11月4日付一面より
「理想実現に努めん 世界人類の進歩へ 首相放送」


「諸君、本日新しい日本国憲法が公布せられました、天皇陛下におかせられましては勅語を賜り、全国民に対し新憲法の意義と今後我が国の進むべき途につきしたしくおさとしになりましたことは、まことに恐懼(きょうく)に堪えません、昨年我が国が受諾せるポツダム宣言並に降伏文書には『日本国々民の間における民主々義的傾向の復活強化に対する一切の障碍を除去し言論、宗教および思想の自由並に基本的人権の尊重すべきこと』並に『日本国の政治の最終の形態は日本国国民の自由に表明する意思により決定さるべきこと』という条項があるのであります、本日平和日本の向わなければならぬ大道を明かにしたものであります、これによって国家の基本法たる憲法の根本的改正が絶対に必要となったのであります、
政府は前内閣以来鋭意それに関する調査立案を進め成案を得て過般の第九十回帝国議会の議に附せられたのであります、議会においては六月下旬より十月中旬に至るまで実に前後百十四日間という議会始まって以来未曾有の長期に亘って議会における代表者を通じて確定したもの、言い換えれば真剣なる論議を尽し貴衆両院共に政府原案に若干の適正なる修正を加え十月七日をもって新憲法は可決成立いたしたのであります
即ちこの憲法はその前文に明かな通り日本国民が選んだ議会に国民の自由に表明した意思による憲法であります、しかしこの憲法は天皇を日本国および国民統合の象徴を(と)明記し人類普遍の原理に基き且徹底した平和主義によって国家再建の基礎を固め、国民の福祉を永久に保障せんとするものであります、また世界に率先して戦争を放棄し、自由と平和を希求する世界人類の理想をその条章に明記いたしますとともに常に基本的人権を尊重し、真の民主々義国家を建設せんとする国民の決意を明かにしたものであります、我々国民はこれによって高い理想をかかげて一路祖国再建の途へと進まんとするものであります(*)、即ち我々は常にこの理想に生き力を合せてその運行につき常に新憲法の精神にのっとり、その理想に努力いたさんとするのであります、現在の国民の努力は次々に次代の国民によって受け継がれ真の平和国家文化国家として再建し、全世界の尊敬と信頼とを集めんとするものであります、私はこの憲法の下我々国民がたえざる努力を続けますならば必ずや我が日本は国民の幸福を確保し、更に進んで世界人類の進歩に偉大な貢献をするにいたりますことを堅く信じて疑いません、かくしてこの理想の実現する日我々の子孫は我々が新憲法の公布を祝賀して国家再建のための努力を誓い合った、この昭和二十一年十一月三日を深く感銘をもって回想することと信ずるのであります、本日この意義深い日に当りまして私は全国民諸君と共に新日本を建設せんとするの決意をここに更に堅くする次第であります」

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# by kenpou-dayori | 2013-07-12 07:00 | 吉田茂
2013年 07月 11日

憲法便り#111 「笑いのめそう!安倍政権」(41) 『毒矢』

『毒 矢』

記 者:アベノミクスは、
    毒矢だという批判がありますが?
首 相:そんなことはない。
    ひとりも死んでいないじゃないか!
          ―独善インタビュー
   (新宿区・天才デコポン)


明日は、 
○ 吉田茂首相特集(第五回)
○「笑いのめそう!安倍政権」

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# by kenpou-dayori | 2013-07-11 08:00 | 天才デコポンが追及する!
2013年 07月 11日

憲法便り#110 吉田茂首相特集(第四回) 「戦争放棄に関する答弁」(その4)笠井重治委員へ

今日は、昭和21年7月15日(月)に、衆議院憲法改正案委員第13回委員会において行われた笠井重治委員(無所属倶楽部)の質問と吉田茂首相の答弁を紹介します。

芦田委員長 笠井重治君、総理は十二時にどうしてもこの席を立たなければなりませぬから、時間が非常に短いのでありますけれども、その程度でご質問を願います。
笠井委員 総理大臣に質問致します。
新憲法の二章九条に付きましては、私は賛成でございます。また政府が非常なる決心を以ってこの九条を加えられたということは、現下の日本を救う意味における政府の重大なる決意を示すものであると思いまして、慶賀する次第でございます。
そこで、すでに北浦君からもただいま申されたように、「ポツダム」宣言の趣旨に基いて新憲法がここに出来て居る、「ドラフト」が出来て居る、しかしまた同時に日本が敗けたという現実の下に、国内の情勢からもこういう憲法が必要である、そこで内外呼応しての精神に基いて居るのだということを金森国務大臣が仰せられて居りましたが、私はこの点に付いてこの第九条即ち戦争放棄という条項を入れるに付きましての、我が帝国政府の決意のあるところを総理から伺いたいと思います。

吉田総理大臣 お答え致します。この九条の挿入を致しました政府の趣意に付いては、さいさい本議場またこの委員会においても政府は説明したと思いますが、要するに日本国が列国に先だって、或いは世界を率いて平和愛好の平和的条約を現出せしむるこの先駆けになって、自ら戦争を放棄し、軍備を撤廃することに依って世界の平和を事実ならしめる、この決意に基いて政府はこの案を提出した訳であります。

笠井委員 戦争放棄ということは、これは侵略戦争を放棄しようというので、一七九一年の「フランス」革命の後の「フランス」の憲法に見えて居りましたが、今回おそらく世界に先んじて日本が戦争放棄をなす。これに付いては、北浦君がおっしゃられたように、また私が一昨日読み上げましたように、マッカーサー元帥が三月に同じような声明を致して居る、また四月五日の連合国四国委員会の第一回席上において、マッカーサー元帥が日本独自におけるところのこの戦争放棄ということは、実に立派なことである、それでまた日本が自身でやることは非常に結構なことであるけれども、世界がひとしくこの状態を認めて、そして日本の一方的行為とせずして、世界がこの場合おいて日本とひとしく戦争放棄の方面に進むのが必要ではないか、ついては国際連合というものが、どうかこの精神を酌んで、そして世界相共に戦争放棄の状態に進むべきであるということを言われて居ります。
そこで総理大臣に伺いたい問題は、国際連合でありまするが、国際連合の憲章の第四十三条におきましては国際的平和及び安全の維持に貢献せんがために、国際連合の一切の加盟国は安全保障理事会に対しその要請に基き、及び特別協定にしたがい国際的平和及び安全の維持のために、必要なる武装軍隊及び援助及び通過権を認める便利を利用し得ることを約す、こう書いてあります。これは第一項でありますが、第二項、第三項とありますが、要するに国際連合というものに将来我が日本が加盟をする場合において、最も必要なることは、第一条件と致しましては、我が日本の独立国家が軍備なくして国際連合の負担を負うことが出来るや否や。また軍備がなかった場合には、国際連合というものは日本がそれに入会することを拒否するのであるかどうか、この点に付いては、さいさい質問もあったようでありまするが、金森国務大臣のこの間までのご答弁に依りますと、国際連合とまだ政府との間においては、しっくり行っては居らない所があるという意味のことを申されて居りましたが、この点に付いて総理大臣の明確なるお答えを願いたいと思って居ります。

吉田総理大臣 お答え致します。今日のところは日本はまだ国際連合に入って居らないのみならず、入り得る資格に付いても決まって居ないので、すべては講和条約が出来た後のことであると思います。

笠井委員 その問題は分かって居ります。もとより日本が今日の状態において国際連合に加入が出来ないことは当然でありますし、まだ平和条約も出来て居りませぬ。我々もこの憲法というものは、今後、日本帝国の続く限り、日本国の続く限りはこのままで行くものである。将来において或る変更はありましょうけれども、そういうことを予想して日本が独立性をかち得た時の状況を思って、ここにおいて伺っている訳であります。どうかその点をはっきりおっしゃって戴きたいと思って居るのであります。
最後に総理にもう一度伺いたいのでありますが、その点は総理からここに揚げてある第九条の政府のご決意を伺いまして、深く私は賛意を表するものでございます。また同時に進んでこの場合において、日本が自らの力において戦争を放棄するということでありますが、どうか我が日本が独立をかち得た後において、世界の各国にこの精神を徹底せしめて、以って世界各国が、即ち国際連合に加盟して居る国々が平和愛好の日本国の精神を諒解すると共に、各国の憲法の中にも編み込まれるように、政府のご努力を戴きたいのですが、この点に付いて総理のご決意を伺いたいと思います。

吉田総理大臣 新憲法第九条の精神を世界各国に徹底せしむるようにというご意見は、まことに賛成であります。政府と致しましても、極力、機会ある毎に九条の精神を徹底せしむるように努力致す考えであります。
また国際連合に入る場合において、今日の軍備のない日本の国家を連合に入れるか入れないかということは、一に国際連合が決すべき問題でありまして、講和条約が出来、日本が独立国に体裁をなし、独立の国家主権を回復して、而して国際連合が如何なる条件で以って日本が入ることを許すか許さぬかということは、国際連合が決めるべき問題であって、日本と致しましては、この憲法を以って国際連合が如何なる処置をするか、これは進んで言うよりは、むしろ連合の意見を聴くのを待つよりほか、仕方がないと思います。

笠井委員 私の質問はこれで終ります。

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(帝國憲法改正案委員會議録 昭和21年7月15日)

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# by kenpou-dayori | 2013-07-11 07:00 | 吉田茂
2013年 07月 10日

憲法便り#109 「笑いのめそう!安倍政権」(40)  『廃炉延長』

『廃炉延長』

記 者:40年、さらには60年など、
    あまりにも危険、無謀、無責任です!
首 相:キミは世間を知らないんだねぇ。
    80歳がエベレストに登る時代だよ!
         ―独善インタビュー
   (新宿区・天才デコポン)


明日は、 
○吉田茂首相特集(第四回)
○「笑いのめそう!安倍政権」

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# by kenpou-dayori | 2013-07-10 08:00 | 天才デコポンが追及する!
2013年 07月 10日

憲法便り#108 吉田茂首相特集(第三回) 「戦争放棄に関する答弁」(その3)野坂参三議員へ

2013年 07月 10日
憲法便り#108 吉田茂首相特集(第三回) 「戦争放棄に関する答弁」(その3)野坂参三議員へ

第90回帝国議会衆議院本会議 昭和21年6月28日(金)の質疑より

野坂参三議員は共産党を代表して、①現行(帝国)憲法と憲法改正案の「継続性」という矛盾点に対する指摘、②憲法改正の手続きについて、③主権がどこにあるのか、④二院制の問題、⑤第三章の国民の権利と義務についてにつづき、最後に六番目として戦争放棄の問題を取り上げています。
この戦争廃棄に関する質問では、日本の侵略戦争という本質に迫り、その根本原因を「廃滅」するために、六点について問題提起と質問をしています。これに対する政府側の答弁も、多岐にわたっていますが、ここでは吉田茂総理大臣の答弁を紹介します。

野坂議員 さて、最後の六番目の問題、これは戦争放棄の問題です。ここには戦争一般の放棄ということが書かれてありますが、戦争には、我々の考えでは二つの種類の戦争がある。二つの性質の戦争がある。一つは正しくない不正の戦争である。これは、日本の帝国主義者が満州事変以後起したあの戦争、他国征服、侵略の戦争である。これは正しくない。同時に侵略された国が自国を護るための戦争は、我々は正しい戦争と言って差し支えないと思う。この意味において、過去の戦争において、中国或いは英米その他の連合国、これは防衛的な戦争である。これは、正しい戦争と言って差し支えないと思う。
一体、この憲法草案に戦争一般放棄という形でなしに、我々はこれを侵略戦争の放棄、こうするのがもっと的確ではないか。この問題に付いて、我々共産党は、こういう風に主張して居る。日本国は、すべての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構に参加し、如何なる侵略戦争をも支持せず、また、これに参加しない。私はこういう風な条項がもっと的確ではないかと思う。この問題に付いて、総理大臣に、ここでもう一度はっきり回答願いたい点がある。それは、徳田球一君がここで総理大臣に質問した場合に、徳田球一君はこの戦争は侵略戦争である、これに付いて総理大臣はどういう風に考えられたかといった場合に、総理大臣は、ただ徳田君の意見には反対であるという風に言われた。そうすると、このご回答は、徳田君が侵略戦争と性質付けたあの性質付けに反対されるのかどうか、逆に言い換えれば、首相は過去のあの戦争が、侵略戦争ではないと考えられるのかどうか、これをここではっきりと言って戴きたい。
一体、戦争の廃棄というものは、一片の宣言だけで、或いは憲法の条文に中に一項目入れるだけに依って実現されるものではない。軍事的、政治的、経済的、思想的根因、この根本原因を廃滅すること、これが根本だと思う。即ち、我々は戦争犯罪人を徹底的に究明すること、これに付いて先ほども申しましたように、政府は非常に緩慢なように見える。或いは、怠慢なようにも見える。私は、総理大臣、内務大臣、或いは必要ならば司法大臣にお聴きしたいが、政府はこの戦争犯罪人、この中には積極的な者もあり、また消極的な者も含まれるが、これをどこまで徹底的に究明される所存であるか、何時、どのくらい、これを処置されるつもりであるか、これをお聴きしたい。
また第二、戦争を実際に廃たるためには、現在まだ秘密或るいは半公然と存在するところの反動諸団体、これの指導者、これに対する取締りを内務大臣はどのようにやっておられるのか。
第三には、実際に戦争を廃滅するためには、政治上に独裁機構を作ってはならない。これを徹底的に廃滅する、官僚主義、官僚機構、これに徹底的に廃滅しなければならぬ。この点において、どの程度まで政府はやっておられるか、やろうとされて居るか。
また、侵略戦争の原動力であるところの財閥、これの解体の状態がどの程度まで進行して居るのか。
また第五には、日本の封建主義の土壌であり、基礎であるところの封建的な土地所有制度、これの改革に付いて農林大臣はいまどのようにやられて居るか。すでに農地調整法が出来てから半年以上過ぎて居るが、一体どのように進行して居るのか。また、政府は土地改革を約束されたが、いつ、いかにしてこの約束を実行されようとするか、これをここで明言して戴きたいと思う。
六番目に、これは特に文部大臣にお聴きしたいが、戦争の犯罪性、侵略戦争の犯罪性、過去の日本の戦争が帝国主義的であり、侵略的であるということを、一般教育面においてどの程度まで徹底的に実行されて居るか。これを具体的に説明して戴きたいと思う。これが第六であります。

吉田総理大臣 また、戦争放棄に関する憲法草案の条項につきまして、国家正当防衛権に依る戦争は、正当なりとせらるるようであるが、私は、かくの如きことを認むることが有害であると思うのであります(拍手)。近年の戦争は多くは国家防衛権の名において行われたることは顕著なる事実であります。故に、正当防衛権を認むることが、たまたま戦争を誘発する所以であると思うのであります。また、交戦権放棄に関する草案の条項の期するところは、国際平和団体の樹立に依って、あらゆる侵略を目的とする戦争を防止しようとするのであります。しかしながら、正当防衛に依る戦争がもしあるとするならば、その前提において侵略を目的とする戦争を目的とした国があることを、前提としなければならぬのであります。
故に正当防衛、国家の防衛権に依る戦争を認むるということは、たまたま戦争を誘発する有害な考えであるのみならず、もし平和団体が、国際団体が樹立された場合におきましては、正当防衛権を認むるということそれ自身が有害であると思うのであります。ご意見の如きは有害無益の議論と私は考えます。

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(官報号外 昭和21年6月29日)

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# by kenpou-dayori | 2013-07-10 07:00 | 吉田茂