2013年5月27日
憲法便り#22 憲法公布記念シリーズ(第11回)「当時の佐賀県では」
今日は、『佐賀新聞』昭和21年11月3日から三つ、11月4日からひとつの紙面を紹介します。
『佐賀新聞』を調べる以前は、佐賀県との関連で思い出すのは、
早稲田大学創設者大隈重信さんの出身県、
唐津港、
伊万里焼、
吉野ヶ里遺跡、
熱気球大会、
と限られたものでした。
しかしながら、昭和21年11月3日の憲法公布記念日前後を調べているうちに、印象は一変しました。
公布当日、県内各地での記念行事は、とても活発でした。
憲法公布祝賀広告にも、各界からの平和日本再建、民主日本再建、復興への意欲が明確に打ち出されています。
それらを、以下の四つの紙面で紹介します。
ひとつ目は、昭和21年11月3日一面下の祝賀広告です。
「祝 新憲法発布 平和日本再建」の見出しの下に、各官署、学校等の名称が列記されています。
佐賀県庁、
佐賀市役所 職員一同、
佐賀地方裁判所長、
佐賀地方裁判所検事正、
佐賀高等学校長、
内務省佐賀国道改良事務所長・兼 鳥栖国道改良事務所長、
農林省 佐賀食糧事務所長、
佐賀警察署長、
佐賀郵便局長、
佐賀専売局長、
佐賀少年刑務所長、
佐賀県町村会長一同、
佐賀郡市中等学校 校長会、
佐賀市会議員一同。
個人名は省略しましたが、実にさまざまな人たちが意思表示をしています。
ふたつ目は、昭和21年11月3日二面に掲載された、浦崎造船所単独での祝賀広告です。
「祝 憲法発布」「生産再開へ 一路驀進」という言葉の他に、船を建造中のイラストがあります。
「造船従業員 大募集」「採用人員 二〇〇名」とありますが、職種が興味深い。
木型工、鋳型工、熔解工、混砂工、旋盤工、
組立工、管工、製罐工、罫書工、撓鉄工、
電気瓦斯溶接工、組合工、取付工、船台木工、
鋲打工、鍛工、仕上工、銅工、塗装工、
船具工、木工、穿孔工。
船の建造が、多くの技術の共同作業であったことが判ります。
三つ目は、昭和21年11月3日四面の、光り輝く国会議事堂と鳳凰のイラストを配した、「新憲法制定 民主日本再建」の祝賀広告です。
唐津市と東松浦郡の企業、および唐津市会議員30人の名前が連なっています。
それらの中に、時代を感じさせる「貝島炭礦株式会社 岩屋炭礦」の名前があります。
「唐津酒造界 東ノ木屋、古屋、酒井屋」とあるのも、日本酒ファンの私には気になるところです。
上の段には、「歌劇座、蓬莱座、大正座」が連名で出した「新憲法発布記念大興行」の広告。
祝賀広告とはなっていないが、その右隣に、「大日本相撲協会 東京大相撲 羽黒山、照国一行 百五十名一挙来演」とあり、さらに隣には、昭和館跡「平和劇場」の広告。この時代、各地の道路や橋、公園などにも「平和」という名称が付けられていました。
四つ目は、昭和21年11月4日一面下の、佐賀県農業会による祝賀広告。
左に国会議事堂、右に鳩を配し、会長および4名の理事、常任監事、部長および室長11名の
名前が列記されています。
佐賀県のみなさーん、私は、鳥取県と徳島県同様、佐賀県からもご注文をいただいたことがありません。よろしくお願いします。
明日は、長崎県です。
※本書『心踊る平和憲法誕生の時代』の注文については、
こちらから