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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2013年 06月 28日

憲法便り#84 連載:日本共産党が日本国憲法草案の採決で反対した四つの理由(第一回)

今日から六回に渡り、『日本共産党が日本国憲法草案の採決で反対した四つの理由』を連載いたします。

日本共産党の当時の主張をどのように判断するかは立場によって違いがあるのは当然です。
しかし、当時の状況と論議の内容抜きに、「反対」したことだけを取り上げて共産党攻撃を行なっている場面をテレビの討論番組で見ることがあるし、選挙その他の場面で行われることをことを聞き及んでいます。
事実に基づかない論議は、公平ではないと思います。
したがって、ここに議事録を紹介しておきたいと思います。

ただし、野坂参三議員の発言内容について、日本共産党が現時点でどのような見解を持っているのかは問い合わせておりません。
画像が増えすぎたため、官報の画像を3頁分を削除しました。

野坂参三議員が日本共産党の代表として述べた反対意見を紹介します。

典拠は、『昭和二十一年八月二十五日の官報号外 第九十回帝国議会 衆議院議事速記録第三十五号 第二読会』の514-516頁に収録された野坂参三議員の反対理由の全文です。
長文なので下記の六回に分けて連載します。原文には小見出しはありませんが、私が小見出しをつけ、その部分は赤字で示しました。
なお、原文は旧字体、カタカナ、旧仮名遣いですが、書き改めてあります。

第一回【はじめに】
第二回【第一の理由】…勤労者保護規定を十分に含まない
第三回【第二の理由】天皇の特権的地位に関する四項目の前半(第一項目及び第二項目)
第四回【第二の理由】天皇の特権的地位に関する四項目の後半(第三項目及び第四項目)
第五回【第三の理由】…参議院は保守反動勢力の温存計画
第六回【第四の理由】及び【まとめ】

【はじめに】
○野坂参三君 私は日本共産党を代表しまして、今上程されました委員長報告修正案及びこれと切離すことの出来ない全憲法草案に付て、私達の所見を述べ、この修正案及び原案全体に対して反対の意見を述べたいと思うのであります。
当憲法改正草案が現在行われて居る憲法よりも進歩的である、この事実を我々は率直に認めるものであります。しかしこの草案の条文及び本議院に於ける諸大臣の答弁を慎重に吟味する時、この草案は「ポツダム宣言」の要望するような、また我が国民の欲するような完全な民主主義を実現せず、むしろ不徹底と曖昧と矛盾に満ちて居ると我々は考えるのであります(「ノー、ノー」)。なぜそのようなことが起ったのか、それは、幣原前内閣及び吉田現内閣が、心の底からの熱意を持って、これを作ったのではないからであります。即ち世界の民主主義的輿論と日本国内人民の民主主義的要望の圧力に抗し得ずして、実はいやいやながら作ったのである(「ノー、ノー」)。しかも吉田内閣は、この草案を余りに民主主義的にすることは、自己の意思に反すると共に、国内の保守反動勢力の反撃に遭うのである。斯くして内外の民主的勢力と国内の保守勢力との間を政府がうろついた結果の苦悶の産物が、即ちこの憲法草案である。形だけは民主的であるが、内容は出来るだけ封建的遺制を遺そうとする苦心の跡が歴然と現れて居る(「ノー、ノー」)。共産党はこの草案が出来るだけ民主主義的に修正されることを主張した。併し此の主張はことごとく容れられなかったのであります。そこで共産党は此の草案の衆議院通過に反対せざるを得なくなった。以下にその理由を出来るだけ簡単に述べたいと思います。
(次回に続く)

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by kenpou-dayori | 2013-06-28 07:00 | 日本共産党が反対した四つの理由


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