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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2013年 06月 29日

憲法便り#86 連載:日本共産党が日本国憲法草案の採決で反対した四つの理由(第二回)

2013年 06月 29日
憲法便り#86 連載:日本共産党が日本国憲法草案の採決で反対した四つの理由(第二回)

【第一の理由】
当草案は集会、結社、言論、出版等の自由の保障をして居ります。しかしこれらの紙の上において規定されただけでは、貧乏人がこの自由を行使するに必要な、例えば集会の「ホール」、出版に必要な印刷所、紙、これらが国家に依って保障される時、初めて勤労民は集会や出版の自由を獲得するのであります。それ故に共産党は、憲法の上におけるこれらの自由に対する物質的保障を要求したのであります。
さらに共産党は勤労の権利と共に最低賃金、八時間労働制、失業者が保護を受ける権利、勤労婦人が特殊の保護を受ける権利、寡婦が保護を受ける権利、老年者や疾病者や労働災害者が保護を受ける権利、労働者や戦災者が住宅を保障される権利、農民に対する耕作権の確立、以上の如き規定を当憲法に設けることを主張したのであります。なぜならばこれらの権利は働く者に取っては基本的なものであり、これは憲法において規定され、保障されるべきものであって、議会内の多数決に依って容易に変更し得るような一般法律の上で規定さるべきものではない、斯く我々は信ずるのであります。
しかしこれらの要求は総て否決されたのであります。当草案には、財産権の保護の為には非常に鄭重な規定があります。これは財産を持って居る資本家や大地主の保護であることは言うまでもない。これは財産のない貧乏人に取っては意味のない条項であります。このように政府は金持ちの保護の為には熱心であるが、貧乏人の生活権や労働権を保障するような規定を設けることには反対して居る。我々は勤労者の保護の規定を十分に含まないような憲法に賛成することは出来ない、これが我々の憲法に反対する第一の理由であります。
(次回に続く)

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by kenpou-dayori | 2013-06-29 07:00 | 日本共産党が反対した四つの理由


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