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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2013年 08月 12日

憲法便り#192 ナチスの手口(8)「所有権、公用収用の規定」の侵害

2013年8月12日

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ナチス政権は、1933年2月27日夜に起された国会議事堂放火事件(炎上事件とも呼ばれる)の翌朝、即ち1933年2月28日朝、「民族および国家の保護のためのライヒ大統領令」を発布し、大統領は事実上の戒厳令を布きました。

この大統領令は、冒頭で次のように述べています。
「ライヒ憲法〔=ヴァイマル憲法〕第48条第2項に基づき、共産主義的な、国家公安を害する暴力行為を防止するため、以下のことを命令する。」

大統領令は、これに続けて、ワイマール憲法第48条第2項に掲げられた7つの条文を具体的にあげ、すべての基本権を停止しています。

今回は、153条〔所有権、公用収用〕の権利の停止についてです。
ナチスは、この条文を停止し、「所有権、公用収用」の規定を侵害しました。

第153条〔所有権、公用収用〕
 所有権は、憲法がこれを保障する。その内容および限界は、諸法律に基づいてこれを明らかにする。
 公用収用は、公共の福祉(Wohl der Allgemeinheit)のために、かつ、法律上の根拠に基づいてのみ、これを行うことができる。公用収用は、ライヒ法律に別段の定めのない限り、正当な(angemessen)補償の下に、これを行う。補償の額について争いのあるときは、ライヒ法律に別段の定めのない限り、通常裁判所で争う途が開かれているものとする。ラント、市町村および公益団体に対してライヒが行なう公用収用は、補償を与えてのみ、これを行なうことができる。
 所有権は、義務を伴う。その行使は、同時に公共の善(Gemeine Beste)に役立つものであるべきである。


文中の、ライヒは「国」、ラントは「州」を意味します。
ヴァイマルは、一般的には「ワイマール」と表記されています。

この内容と問題点を正確に伝えるために、次の文献を引用しました。
高田敏(たかだ・びん)・初宿正典(しやけ・まさのり)編訳
『ドイツ憲法集〔第3版〕』〈講義案シリーズ17〉(2001年、信山社)

なお、国会議事堂放火事件を利用したナチスの手口の全体像、ワイマール憲法の各条文の内容等についての詳細は、8月3日付の憲法便り号外(7)をご覧ください。


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by kenpou-dayori | 2013-08-12 08:00 | ナチス


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