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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2013年 08月 13日

憲法便り#196 ナチスの手口(9)地方自治権の破壊

2013年8月13日

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憲法便り#196:ナチスの手口(9)地方自治の破壊

ナチス政権は、1933年2月27日夜に起された国会議事堂放火事件(炎上事件とも呼ばれる)の翌朝、即ち1933年2月28日朝、「民族および国家の保護のためのライヒ大統領令」を発布し、大統領は事実上の戒厳令を布きました。

この大統領令は、冒頭で次のように述べています。
「ライヒ憲法〔=ヴァイマル憲法〕第48条第2項に基づき、共産主義的な、国家公安を害する暴力行為を防止するため、以下のことを命令する。」

大統領令は、これに続けて、ワイマール憲法第48条第2項に掲げられた7つの条文を具体的にあげ、すべての基本権を停止しています。
基本権の停止については、全体について(憲法便り号外7)及び、下記の第114条(憲法便り#172)から153条(憲法便り#192)までを、個別にも紹介してきました。

§1〔基本権の停止〕
 ライヒ憲法第114条、第115条、第117条、第118条、第123条、第124条、および第153条は、当分の間効力を停止する。人身の自由・言論の自由権(出版の自由を含む)・結社および集会の権利の制限、信書・郵便・電信・電話の秘密に対する干渉、家宅捜索および押収の命令並びに所有権の制限等は、これに関する一定の法律上の制限を超えるときにおいても、認められる。

今回は、地方自治権の破壊についてです。
政府が、州の権限を行使し、市町村の各官公庁を力づくで押さえ込むという、民主政治の根底からの破壊です。

§2〔ライヒ政府によるラント官庁の権限の行使〕
 ラントにおいて公共の安全および秩序の回復に必要な措置がとられないときは、ライヒ政府は、その限りにおいて、ラント最高官庁の権限を一時的に用いることができる。

§3〔ライヒ政府の命令の遵守義務〕
 ラントおよび市町村(市町村団体)の各官公庁は、§2に基づき発せられるライヒ政府の命令を、その権限の範囲内において遵守しなければならない。

文中の、ライヒは「国」、ラントは「州」を意味します。
ヴァイマルは、一般的には「ワイマール」と表記されています。

この内容と問題点を正確に伝えるために、次の文献を引用しました。
高田敏(たかだ・びん)・初宿正典(しやけ・まさのり)編訳
『ドイツ憲法集〔第3版〕』〈講義案シリーズ17〉(2001年、信山社)

なお、国会議事堂放火事件を利用したナチスの手口の全体像、ワイマール憲法の各条文の内容等についての詳細は、8月3日付の憲法便り号外(7)をご覧ください。


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by kenpou-dayori | 2013-08-13 08:00 | ナチス


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