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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2013年 09月 02日

憲法便り#259 平和憲法の精神に則り、外交努力でシリア問題の解決を!

平和憲法の真髄を表現した法制局が昭和21年5月作成の「憲法改正草案逐条説明」

日本政府は、オバマ大統領が打ち出したシリア攻撃にいち早く賛成し、協力を表明している。
だが、「同盟軍」との関係云々は、平和憲法の規定を超えることは出来ない。
彼らが、憲法改悪を企んでいようとも、現時点で現憲法を無視し、支援という名目であっても、直接的には勿論のこと、間接的にも軍事行動に参加することは憲法違反である。

私は、主権者のひとりとして、また憲法研究者として、安倍首相の発言を許すことは出来ない。

日本は、アメリカ合衆国の属州ではない。
日本は、世界に誇るべき現行平和憲法の精神に則って、外交努力を尽すべきである。

以下に、平和憲法の真髄を表現した法制局が昭和21年5月作成の「憲法改正草案逐条説明」を紹介し、広く訴えかけるものである。

昭和二十一年五月 法制局
憲法改正草案逐条説明〔第一輯(しゅう)の二〕

第二章 戰爭の抛棄

第九條 我國が、今後民主主義と共に平和主義を以って國是とすることは、前文に於て強く宣言せられて居る所であります。本章は戰爭の抛棄と題して僅か一ヶ條でありますが、力強くこの國是を闡明(せんめい)したものであり、新憲法の最も著しい特徴の一をなすものであります。これにより今後我國はいかなる場合と雖(いえど)も、主権の発動として國際紛爭の解決手段として戰爭、武力の行使に訴えないことを宣言したのであります。
この様に本條第一項は、國の主権の発動たる戦争と武力の行使とも全面的に禁止したのでありますが、第二項は第一項の実行せられることを二つの面から保障した規定であります。

即ち第二項は前段は陸海空軍その他の戰力は、これを保持してはならないと定めまして、事実上戰爭を不可能ならしめると云う面からこれを保障したものであります。(國内の治安維持のために必要な武力に関する例外規定をも設けて居ないことも亦(また)、この趣旨を徹底したものと言うべきであります。)

次に第二項後段は、法律上戰爭を不能ならしめるという面から第一項の実効を保障したのでありまして、國の交戰権はこれを認めないと云うことを定めたものであります。即ちこれにより我國が事実上他國との間に交戰状態に入ったとしても、國際法上に於ける交戰者たる地位を憲法上認められないことになるのであります。

本條が第二項に於てこの様に二つの面から思い切った保障を設ける事実上いかなる戰爭をも不可能ならしめたと云う点に本條の劃期的な意義が存すると云ふことが出来ます。即ち國策の是としての戰爭の抛棄に関しては夙(つと)に不戰條約の定める所であり、又憲法としても一七九一年のフランス憲法や一九三一年のスペイン憲法に於て同種の規定が見られるのでありますが、それは何れも自衛権の濫用(らんよう)の余地を残し、且ついかなる戰爭も不能ならしめるための保障を欠いて居たのであります。しかるに我が國は今次敗戰の齎した破局に深く鑑みる所あり、いかなる戰爭をも発生せしめぬという固き決意に立ち、前文に示されて居る様に、我國の安全と生存とをあげて平和を愛する世界の諸國民の公正と信義とに委ねると云う謂はば捨身の体勢に立ったのであります。

これが即ち本條に示された徹底せる平和主義の根本精神とする所でありますが、我が國としては世界各國が将来何時の日か、我國の態度に追随し来たることを期待し、平和國家の先頭に立つことを誇りとするものであります。


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by kenpou-dayori | 2013-09-02 08:30 | 今日の話題


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