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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2013年 09月 19日

憲法便り#308 「真珠湾」と引換に原爆を忘れねばならぬと説いた『高知新聞』社説

昭和20年9月19日付『高知新聞』社説「平和愛好の新日本」は、東久邇宮首相が米人記者の質問に答えた中で、「米国民よ、どうか真珠湾を忘れては下さらないか」と呼びかけたことにふれ、「勿論われらも原子爆弾を忘れねばならぬ」と、米国民よりも先に応じています。これは、見過ごすことの出来ない大問題です。
それに表面上では「平和愛好」を唱っていますが、戦争への真の反省は語られていません。それでも、戦争を煽っていた時よりも、ましな社説と考えるべきなのか。

当時の『高知新聞』の印刷状態、およびマイクロフィルムの状態が悪く、判読不能な箇所(□□で表現)が多数ありますが、全体の文意は伝わると思いますので、ここに全文を掲載します。

昭和20年9月19日付『高知新聞』
社説「平和愛好の新日本」
「首相宮殿下が一米人特派員の質問に答えられた、新日本建設に関するお言葉のかずかずは、今までに発表された施策と同様のものもあるが、まだ□□のものもあり、内外の注意を惹くに足る。(以下、三行判読不能)平民的であるが、更に自らこれに御返事を書き送られたことは、われらの心に強く響く何ものかがある。
 われらは首相宮が如何に平和愛好について力説されているかを拝察することが出来る。
「米国民よ、どうか真珠湾を忘れては下さらないか」と呼びかけられている点は恐らく国民の同□□□(同意を得)るところと思う。勿論われらも原子爆弾を忘れねばならぬ。そして全く以前の日米友好関係にかえらねばならぬ。われ等日本人は断じて好戦国民ではない。平和愛好の国民であることは、首相宮の仰せの通り、鍵のない木造の家屋に住んでいることによって十分に知られる。ただその国民性が歪曲されたのは、奢れる軍国主義と、官僚の跋扈のためだ。これは過般臨時議会で東郷氏の質問演説にもあらわれている。宮殿下がこのことを繰返されているのは国民の厳粛な然も重大な反省事項といわねばならぬ。そしてこの軍国主義は今後再びわが国に登場することを許さないと説かるる首相宮であってみれば、米人のみならず、わが国民もひとしく、意を安んじて可なりである。日本の平和のためにも、世界の平和のためにも、われ等断じて好戦国たることを許さない。
 それから首相宮はここでもわが敗戦理由を語られているが、その第1にわが道義心の失墜をあげているのは甚だ以て適切であると同時に、又甚だ以て遺憾千萬(いかんせんばん)である。これは小磯、鈴木両首相も嘗て警告した点であるにおいて道義日本の眞面目は台無しとなったわけだ。だが道義心がわれに全くないでない。それを真に発揮せしめる機会と方法とを誤ったまでだ。それは首相宮のいわるる通り、日本に一人の大政治家がなかったこと。若しこの大戦を完遂するに至る国民の信望を一身に集め、快刀乱麻を断つ大□□、大手腕を有する政治家があったならば、こんな敗退には陥らなかったであろう。
「日本国民側に正義を擁護する勇気なく、軍国主義者並に官僚群の誤れる指導を是正する能力を持たなかった」というのも、要はこの大政治家がなかったためといえる。時□にして偉人を思うや切である。
 なお新日本の建設に関して、首相宮がこれを復興でも再建でもないとせられているのは意味深長だ。如何にも旧来の日本の復興や再建であっては駄目だ。どうしても新建設でなくてはならぬ。否寧ろ新らしき創造である。即ちただ連綿たる皇統の下、一君萬民、國體護持に徹し切った新日本の創造でなければならぬ。これは国民がひとしく胸に刻みこんでおかねばならぬ。世界の立て直しなどは先づ措いて、手近な日本の根本的建て直しだ。それには官民が真に一体となって、この非常重大な国難を突破し、真に道義ある新日本、平和愛好の新日本を建設せねばならぬ。」


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by kenpou-dayori | 2013-09-19 07:10 | 社説


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