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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2013年 10月 03日

憲法便り#346 歴史の証言『ヒットラ来り去る』より、第四話「盲聾唖の奴隷状態」 

今日は、①9月17日二面掲載の前ベルリン支局長守山義雄著「失われた言論:離反する“思想の闇”、勝利のみが支えた独裁」からの四回目、「盲聾唖の奴隷状態」の部分を紹介する。(旧字体の漢字、および旧仮名づかいは改めた。)

【訂正のお知らせ】10月2日付『憲法便り#344』の見出しが、当初「自由なるペンの兵」となっていましたが、「自由なきペンの兵」の誤りなので、訂正しました。10月3日午前10時。

【盲聾唖の奴隷状態】
「これに反して職務がら、伯林からながめていて羨ましいとおもったのはイギリスの新聞であった。選挙入りで軍部攻撃が出ている。痛烈な作戦批判がのっている。よくここまでかいたとおもうほどの政府攻撃が堂々と紙面を埋めている。質疑討論自由のあのイギリス議会の雰囲気がそのまま紙面にもあらわれているのだ。『○○に関する件記事掲載差止め』という内務省や憲兵隊ご通達が、新聞社の机上に天井につかえるほどつみあげられていたのは、どうも独逸と日本だけの風景だったようだ。だから一方的な独逸の新聞ばかりよんでいると、いったい戦争はどうなっているのかわからない。イギリスの新聞をみると独逸側の発表も、イギリス側の主張も両方出ているので、そこではじめて真の戦争の動きがわかった。また独逸では敵国の短波放送をきいたものは死刑になった。しかしイギリスでは国民が自由に独逸の放送をきくことをゆるされていた。ゆるされていたのではない。戦っていたのは軍部ではなく『国民』であったのだから、敵国の放送をきくことは許可されてはじめて生じた国民の権利ではなかった。敵を知り己を知らぬと勝てぬというが、敵国が世界中にバラまく短波放送を外務省と参謀本部の幹部だけで独占し、しかも『極秘』の判こを押してひとり日夜思い悩んでいた姿は、まさしく敗戦国の特殊風景たるを失わない。見ざる言わざる聞かざる盲聾唖の奴隷状態からは決して真の愛国的勇気は生れない。それほど信頼できない国民からは、決して真に強い兵隊は生れない。英米の新聞がさかんに政府攻撃をやったりアメリカに罷業(ストライキ)が起ったのをみてナチスの新聞は、それみろ、わが方の整然たる国内結束にくらべ敵の国内情勢はかくの如く足並みが乱れている、もう一息だと書きたてた。思わざるの甚だしきものとは、かかるときに使う言葉でもあろうか。戦争をはじめた以上何びとも祖国の必勝を希わぬものはない。すべては勝たんがための活発な言論であり、かかることでどうなるかという政府鞭撻のためのストライキであった。国民がすべて思うことをいいつくし、万人のみとめる戦争指導政策を育て守り励ましたのであった。戦いつつある一国が勝敗いづれの気運にあるとを問わず、言論結社の自由というものは絶対に必要である。もしも独逸が言論の自由をもっていたら、それが安全弁となって、同じ敗戦の憂き目をみるにしても、このたびのような一片の理性のかげすらとどめない野獣的最後をとげなかったろうと悼まれるのだ。」


戦争を否定していないところは肯定することは出来ないが、実に興味深い話である。
まだまだ続く話をすべて紹介したいところである。
だが、あまりにも体調がすぐれないので、『日歴』と併せて歴史状況を知らせるために行っている入力作業がかなりの負担、というよりは体力的限界に近づいてきた。
したがって、この続きの紹介をどうするかは、検討中である。

日本はいま、愚かな安倍政権のもとで、戦前の暗黒時代、軍国主義時代に急速に逆戻りしつつある。
果して愚かなのは、ひとり安倍政権だけなのか?
安倍政権の提燈持ちをしている「有識者」と呼ばれる“大学教授”たちはどうか?
恥ずかしげもなく権力にすり寄り、翼賛報道をしている大部分のマスコミはどうか?
我が身かわいさからコメントにもならない無駄口を叩き、お追徴をしゃべっている勉強不足の「コメンテーター」なるものたちはどうか?
自民党に大量の議席を与え、やりたい放題を許している国民はどうか?

国民の一人ひとりが、歴史に学ぶ必要がある。
そして、現在の逆流に立ちはだかって、これを止めることが必要である。
そのために、ここに書いたことが少しでも力になれば幸いである。


前ベルリン支局長 守山義雄著「ヒットラ来り去る」の見出し一覧。 
①9月17日二面 失われた言論:離反する“思想の闇”、勝利のみが支えた独裁。
②9月18日二面 制服文化の失敗:沙漠のナチス楼閣、恐喝者をつくる教育。
 (9月19日、20日は刊行停止)
③9月21日四面 ルーレットと戦争:切りあげの“潮どき”、運命かけた恐ろしい偶然。
④9月23日二面 開戦の秘密:遂に陥る侵略の轍、鍍金のはげた戦争目的。
⑤9月24日二面 英雄国を滅ぼす:買手なき“民族理論”、こけおどしの「舞台美術」。
⑥9月25日二面 世界戦の遺:業病の血、軍国主義。同胞よ、新鮮な空気の中に。


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by kenpou-dayori | 2013-10-03 08:00 | ナチス


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