岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2013年 10月 05日

憲法便り#352 連合国最高司令官からの、いわゆる「人権指令」の発令について

今日は、昭和20年10月5日付『朝日新聞』一面記事に基づいています。

昭和20年10月5日(金)

いわゆる「人権指令」の発令。
連合国総司令部は、日本政府の自主的な民主化政策の進行を見守ってきたが、山崎内相の問題発言を見るに及んで、ついに「人権指令」の発令に及んだ。
一般的には、この指令は突如、連合国最高司令官が発したもののように伝えられているが、それは誤りである。山崎内相の発言に見られるような日本政府の怠慢に対して、連合国最高司令官が、「待ったなし」の改革をしたものであって、物事には、「原因があって、結果がある」ことを銘記すべきである。

【見出し】
「政治犯の即時釈放 内相らの罷免要求
思想警察も廃止」
【記事】
「連合国代行司令官は四日午後六時日本政府にあてたる通牒において
(一)政治犯人の即時釈放
(二)思想警察その他一切の類似機関の廃止
(三)内務大臣および警察関係の首脳部、その他日本全国の思想警察および弾圧活動に関係ある官吏の罷免
(四)市民の自由を弾圧する一切の法規の廃止乃至は停止を要求した。

右通牒の内容は同司令部情報教育局長ダイク大佐より発表されたが、政治犯人の数は三千人に達すると見積られている。山崎内相は最近米国新聞記者団会見の際、共産党弾圧問題に触れ、従来同様の暴力を行使しつつこれが取締に當り、在来の弾圧法が依然として有効に行使されつつあることを認めたが、これが非常な反響を起し、米国新聞記者の観測によれば、右の事実と、最近日本国内において人権蹂躙問題が喧しく論ぜられつつ事実とが、今回の命令の契機をなしたものと解している。

政治警察廃止に関する覚書全文
政治信教並に民権の自由に対する制限の撤廃
第一條、政治民権並に信教の自由に対する制限並に人種、国籍、信仰または政見に基く差別を撤廃するために日本帝国政府は次の措置を講ずることを要する

A 次の諸項に関する一切の法律、勅令、命令、省令並に取締規則の一切の条項を撤廃し、かつ即時その効力を停止すること
(一)思想、信教、集会、言論の自由に対する制限を確立または維持する法令(天皇陛下、皇室制度並に日本帝国政府に対する自由な討議に対する制限令を含む)
(二)情報の収集並に頒布制限を確立または維持する法令
(三)法令の条文乃至はその適用の結果、人種国籍、信仰または政見を理由とし一部個人に不平等に便宜を與へ乃至は不利に陥れる法令

B 上述A項に所謂法令とは次の諸法令を含む
但し左に列挙されたる諸法令のみに限定されず
一、治安維持法、
二、思想犯保護観察法、
三、思想犯保護観察施行令、
四、保護観察所官制、
五、予防拘禁手続令、
六、予防拘禁処遇令、
七、国防保安法、
八、国防保安法施行令、
九、弁護士指定規定、
十、軍用資源秘密保護法、
十一、軍用資源秘密保護法施行令、
十二、軍用資源秘密保護法施行規則、
十三、軍機保護法、
十四、軍機保護法施行規則、
十五、宗教団体法、
十六、以上諸法令の修正補足乃至実施に関する一切の法律、勅令、命令、省令並に取締規則

C 次の理由に基き「保護乃至は観察」の名の下に現に拘禁し投獄されてゐる総ての人々乃至はその外の方法により自由を制限されてゐる総ての人々を即時釈放すること
(一)上述第一條A項並にB項に掲げられた法令に基くもの
(二)何らの罪名なきもの
(三)実際には拘禁投獄乃至自由制限の理由が当人の思想言辞、信仰乃至政見に基くにも拘らず技術的に些細な犯行を理由にしてゐる場合
以上の人々はすべて一九四五年十月十日迄に釈放することを要する

D 上述第一條A項並にB項に掲げられた法令の各條項を執行する為に設置された一切の組織または機関乃至これら條項の執行について以上の各機関を補足しまたは援助する他の各機関乃至他の各省の関係部局或は機能を全廃する本條の適用を受けるもの次の通り、但しこれに限定されない
一、一切の秘密警察機関
二、出版物の監督、集会、並に団体の監督、映画の検閲等を任務とする内務省の各部門(例へば警保局)並に思想、言論、信教または集会の取締りに関係ある他の部局
三、警視庁、大阪府警察局そのほか大都市の警察部、北海道庁警察部、その他各府県の警察部で出版の監督、集会、並に団体の監督、映画の検閲に関する特高警察部の如き各部局その外思想、言論、信教、集会取締りに関係ある諸部局
四、司法省内で保護並に観察、思想、言論、集会の取締りを任務とする保護観察局並にこれらの諸点につき責任を負ふ総ての保護観察所の如き各部門

E 内務大臣、警保局長、警視総監、大阪府警察局長、その他北海道並に各府県警察部長、北海道並に各府県の特高警察の全人員、司法省保護監察局並に保護観察所の総ての人員を罷免すること
以上の官吏は今後内務省、司法省乃至日本国内の総ての警察機関において再び如何なる地位にも任命することを得ない、但し、今回の指令の諸條項を実施するために援助を必要とする場合には指令の実施完了まで以上の官吏を留任させ実施完了後罷免する

F 上述第一條A項並にB項に掲げられた法令および第一條によって廃止された機関並に機能に関係ある警察官、警察所属要員、その他中央地方各政府機関の官吏または雇人は今後一切の活動を禁止される

G 日本政府のいかなる法律、勅令、命令、省令並に取締規則に基き拘留、禁固乃至保護観察をうけてゐるを問はず、これら総ての人々に対し肉体的処罰乃至虐待を加へることを禁止する、これらの人々に対しては常に十分の給與を行ふこと

H 第一條D項により廃止された各機関の一般の記録その他あらゆる資料の安全並に保存を確保すること

I 本指令の各條項に基きとった一切の措置を詳細に記述した包括的な報告を一九四五年十月十五日までに本司令部へ提出すること、右報告と共に別個の補足的報告の形で次の特定の情報を提供すること
一、上述第一條に基き釈放された人々に関する情報
二、本指令の諸條項に基き廃止された組織に関する情報
三、刑務所制度並に刑務所の要員に関する情報
四、本指令の條項を実施するため日本政府が発した命令および各刑務所長並に各府県当局の発した指令の写し

第二條、本指令の條項によって影響をうける日本政府の各官吏並に使用人は本指令の字句並に清新を遵守実施することについて個人的に厳重責任を負ふべきものとす」


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by kenpou-dayori | 2013-10-05 08:00 | 戦後日本と憲法民主化報道


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