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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2014年 01月 03日

憲法便り#533 自著紹介⑤(その四) 『心踊る平和憲法誕生の時代』「おわりに」

1月3日
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本書は、執筆途上にある『日本国憲法成立史の実証的再検討』と題する学位論文の中から、新聞報道による「憲法民主化の世論形成」、および「日本国憲法を国民がどのように迎えたか」という部分を判り易くまとめたものです。

『心躍る…』の書名は、1946年11月1日付『徳島民報』一面に掲載された《新憲法祝賀おどり》の広告の、次の喜び溢れる言葉に因んでいます。
「11月3日は新憲法公布の日だ、新日本の黎明だ、平和だ、友好だ、豊年じゃ、満作じゃ、みんなで祝う、阿波踊りが許された、踊りおどるなら華やかに踊ろう」(〔日時〕11月3日朝9時から夜11時まで〔会場〕市役所前〔主催者〕徳島商工会議所と徳島民報)。これが当時の国民の姿です。

調査した65紙に関しては、上記の標題紙に示してあります。新聞名を四角で囲んであるのは、調査した当時に国会図書館に所蔵がなかったので、各地の県立図書館(広島は市立図書館)を訪問して、現地調査したものです。


「おわりに」
当初の文章に、何点かを加えて述べておきたい。
◎本書は、二月末に千部だけを出版する予定であった。原稿を執筆する傍ら、手紙を出した。宛名も自分の住所氏名も自筆で書き、ひと言添えると一日三十通が限度であった。ほどなくして、手紙、電話、ファックスで、激励とともに注文を頂くようになった。嬉しいことに、本はまだ出来ていないのだが、注文は千百部に達した。
 期待と激励に応えるため、いろいろと書き足しているうちに、予定を大きく超えて、二百四十頁となった。
支えて下さった皆様に、心から感謝を申し上げたい。
●「人を殺せば殺人だが、戦争でたくさん殺せば英雄になれる。」という言葉を学生の頃によく聞いた。
昔は「お国のため」と言ったが、いまは「国益」という言葉が政治家や御用学者や「評論家」の間で飛び交う。
「お国のために」、「国益のために」のどちらも、論議を打ち切るための超論理的言葉である。これらの言葉が声高に言われ始めた今、国民は戦前と同じような危険な状態におかれていることを強く意識しなければならない。
●農林水産業に壊滅的な打撃を与えるTPP交渉参加問題は国論を二分しているが、安倍政権は国益を強調し、不利な条件を隠し、食の安全、食糧自給率、環境保全等の問題を無視し、強い反対を押し切って参加表明をした。
だが、これは自動車産業を中心とする一部産業とアメリカの利益のためであって、国民の利益のためではない。「国益」と「国民の利益」は似て非なるものである。
●個人が紙幣を一枚でも印刷すればそれは犯罪だが、日銀が犯罪的なほど大量に印刷しても、それは「経済政策」と呼ばれ、犯罪にはならないし、だれも責任をとらない。
一九四五年十月十八日付『毎日新聞』の一面に、「日銀の独自性確立 改正案通常議会に提出」と題する記事があるので、その書き出しの部分と、改正案の最初の項目を紹介しよう。
「戦時中、中央銀行としての日銀の職能は極度に制約され僅かに大蔵省の窓口としての存在価値しか有しない実情であったが、終戦後の新事態に即応して官僚統制の最悪法と見られる現行日銀法(昭和十七年制定)を改訂して日銀の組織運営を政府から切離し、日銀の中央銀行としての独自性を確立して、通貨膨張の現難局打開に当らしめるべきであるという声が各方面に台頭し、大蔵省、日銀においても、目下改正案を考究中で遅くとも通常議会に提出されるものと見られる。
 現行日銀法改正の概要は次の通り。
一、日銀は国民経済の安定、国民の福利増進を目的として通貨の調節、金融の調整及び信用制度の保持育成に努めるよう運営されなければならない。」(以下略)
財政赤字に対処するため予算削減法を可決、発動をせざるを得なかったアメリカから招かれたノーベル経済学賞の経済学者が、安倍政権の経済政策と新日銀総裁の人選を天まで持ちあげているが、全くの茶番劇である。
今回の人事は、自動車に例えれば、暴走目的でブレーキを外して、ダブル・アクセルにした違法改造車であり、「白(川)」から「黒(田)」への極めて危険な交代である。
◎以前『検証…』を日本新聞協会加盟の九十二紙に手紙を添え、五百円のエクスパックで贈ったが、どこからも直接の反応はなかった。そこで、今回はその事実も書き添えて、本書で利用した六十一紙のうち現存する五十五紙に「憲法御担当者様」宛で出版趣意書、カタログ、表紙見本、資料頁のみを二月末までに郵送しておいた。
 当初、入稿を予定していた三月八日の前日までには一社からの反応もなかった。だが、入稿がおくれたために、二社から反応があったことを伝えることが出来る。
 一社目は三月十一日、東京新聞社会部の樋口薫記者からの電話。一九五〇年、六〇年代の改憲の動きについて勉強したいとのことで、三月十七日に二時間の予備取材を受けたが掲載の約束はない。また会う約束をしている。
 二社目は三月十三日、神戸新聞社会部の岸本達也記者からの電話。「憲法をやってみたいと思いますので」と、本書の注文と私の顔写真を送るよう依頼を受けた。
どのような記事になるのか楽しみである。
◎二〇一一年三月十一日、私は国立国会図書館新館四階の新聞資料室で『新岩手日報』の一九四六年二月一日号を読んでいた時に大きな長い揺れを感じた。地方紙に関する調査が大きく加速したのは、この日以降のことである。これからまだ何が起こるか解らない、私が命を落とした場合には、私と同じ視点での研究はおそらく出ないだろう、研究の完成を急がなければならない、その思いから、大きな余震が続く中、全国各地の図書館をまわり始めた。国立国会図書館で所蔵していないか、欠号がある地方紙(標題紙で紙名を  で囲ったもの)を調査するためである。私は、講演に招かれたことのある八戸、盛岡、仙台、いわき、須賀川、郡山、白河などの状況を聞くたびに支援に駆けつけるかどうかを繰り返し自問自答した。だが、カンパ、城南信用金庫への預金の移動、首相官邸へのデモに参加する以外は、研究に力を注いだ。
そして、各地での調査を一通り終えた時点で、国会図書館主題情報部新聞課の課長補佐堀越敬祐さんに、今後の利用者のために欠けている資料補充の要望を伝えた。
嬉しいことに、二〇一三年二月七日付の新聞資料室公開展示資料によれば、『河北新報』、『富山新聞』(一九四六年三月十一日創刊だが、補充は同年七月から)、『山梨日日新聞』、『静岡新聞』、『中国新聞』、『徳島新聞』、『四国新聞』が補充されている。大幅な前進である。
◎調査では、多くの方々の協力を得て、内容の充実を図ることが出来た。現地訪問、並びにその後の調査依頼にご協力下さった宮城、茨城、群馬、埼玉(浦和)、千葉、富山、福井、山梨、静岡、鳥取、徳島、香川の各県立図書館、広島市立図書館、さらに現地調査出来なかった北海道立、滋賀県立、岐阜県立各図書館の調査協力に感謝の意を表したい。
また、国立公文書館、外務省外交史料館、三島郷土資料館、埼玉県立文書館、福井県立文書館、逓信博物館、政治記者OB会、日本相撲協会広報部及び相撲博物館の調査協力にお礼を申し上げたい。
新宿区立中央図書館は移転が予定されているが、私の住居から二軒先にあるので、日常的に利用させて頂いた。
大学では、専修大学図書館の図書利用の件で、同館図書部図書課長千田朋子さんに大変お世話になった。
冒頭で、衆議院予算委員会のインターネット審議中継を紹介したが、これは私の甥・山田哲央君の協力による。
◎国立国会図書館が二〇〇三年五月三日以降、インターネット上に公開している電子展示会の『日本国憲法の誕生』は、誰もが等しく貴重な原資料に接することが出来る、網羅的で画期的な資料集である。この資料の利用を広めたく思い、参考資料の一番目に挙げた次第である。
同図書館には文字通り日参し、主に憲政資料室、議会官庁資料室、新聞資料室の資料を利用させて頂いた。
その中でも、憲政資料室の皆さんには、とてもお世話になった。特に、「生き字引」という表現がぴったりの堀内寛雄さん(現・利用者サービス部司書監)は、二〇〇四年以来、コンピューター検索では辿り着けない資料も含め、非常に多くのことを教えて下さった。彼との出会いがなければ、私の憲法研究をここまで深めることは出来なかった、「資料探しの師」である。
○私は、国立国会図書館での調査を終えて退出する際に、本館二階総合カウンターの上に刻み込まれた「真理がわれらを自由にする」という言葉に向い、感謝の気持ちを込めて必ず一礼をしている。
歴史の捏造、逆行が横行しているいま、歴史の真実、真理が力を発揮することを確信し、この「真理がわれらを自由にする」という言葉を以って、本書の結びとする。
二〇一三年三月二十九日


「目 次」

はじめに(4)
第一 「押し付け憲法」論のでたらめ
第二 安倍首相の所信表明演説に見る国民騙し
第三 「美しい国」「強い日本」のルーツ
平和への私の思い

三つのプロローグ(12)
プロローグ①…吉田茂元首相が『回想十年』に記した「押し付け憲法」論への反論(12)
プロローグ②…ポツダム宣言受諾と憲法改正の必然性(14)
プロローグ③…報道の違いで生じる差異(17)

第一部 新聞報道により一九四五年末までに形成された「憲法民主化」の世論(21)
外務省による意図的な誤訳(21)
「ポツダム」宣言受諾による民主化及び憲法改正の必然性(22)
民主化を進めなかった東久邇宮内閣(22)
法制局が自主的に行った憲法改正案研究(24)
外務省内での自由闊達な論議(26)
内大臣府の憲法研究(28)
憲法改正に消極的だった幣原内閣(31)
幣原内閣が憲法問題調査委員会を設置(33)
「平和」及び「平和国家」論の社説登場(38)
日本全国に吹く民主化の風(39) 
憲法民主化の世論(41)
日本国憲法の原型「憲法研究会」案の報道(44)
 書簡・出版物等に見る「憲法民主化」論(51)

第二部 新聞報道により追いつめられる松本国務相と幣原内閣(60)
憲法問題調査委員会無視の松本路線(60)
閣議における初めての憲法論議(64)
一月の新聞報道(64) 
二月一日・衝撃の「スクープ」報道(66)
全国二十一紙の「追い打ち」報道(68)
日本輿論調査所の調査結果(70)
GHQの動き(70) 
GHQ民政局の憲法制定会議(74)
二月十三日・外務大臣官邸(74)
松本国務相への不満が爆発した二月十九日の閣議(80) 
「押し付け憲法」論の始まり(82)
政府案作成を閣議決定(84)
松本・ホイットニー会談(86)
「戦争放棄」の原点は「パリ不戦条約」に!(87)
松本・ホイットニー会談以後について(88)
「政府、難局に直面」報道(90)

第三部 政府案についての国民的論議(92)
三月六日政府案の全文報道及び社説(92)
政府案の対する各党の態度(97)
「松本体制」から「金森体制」へ(98)
「憲法研究会」による批判的な声明(98)
讀賣新聞社主催『憲法草案批判講演会(99)
「庶民大学三島教室」主催の討論会(101)
各省庁の反応(102)
司法の民主化及び司法改革(103) 
共和制を規定した二つの憲法草案(105)
二つの世論調査に見る国民の意見(105)
国民の国語運動と「ひらがな口語体」草案の実現(108)
『憲法改正草案逐条説明』及び『憲法改正草案に関する想定問答』(110)

第四部 新憲法公布の記念行事(113)
北海道・東北地方(114)
関東・甲信越(134) 
北陸・東海地方(151)
近畿地方(164) 
中国・四国地方(172)
九州地方(186)

第五部 新憲法祝賀広告・・・大企業からキャバレーまで、そして露天商の組合も!(200)
北海道・東北地方(203)
関東・甲信越(204)
 北陸・東海地方(206) 
近畿地方(208)
中国・四国地方(210)
九州地方(212)

第六部 憲法普及会による多彩な活動
(一九四六年十二月―一九四七年十一月)(216)
『新しい憲法 明るい生活』の前文(216)   
憲法普及会の創設(217)
第一項 講習会及び講演会(218)  
第二項 出版・刊行物による普及活動(219)
第三項 芸能並びに民衆娯楽による啓蒙運動(220) 
第四項 記念作品の募集(223)
第五項 諸団体との提携事業(229)  
第六項 記念週間の設定並びに行事(229)
平和精神昂揚運動(231)

結びにかえて・・・吉田内閣の答弁より(234)
主な原資料と参考文献(236)
おわりに(237)
表紙デザイン 岩田行雄


※本書『心踊る平和憲法誕生の時代』の注文については、こちらから
歴史的事実をもって、安部首相と石原慎太郎議員の「押し付け憲法」論のデタラメを打破するこの本が十万部普及すれば、闘いは必ず勝てると思っています。
自公政権とその補完者である維新の会の暴走を食い止め、憲法改悪を阻止しましょう。

by kenpou-dayori | 2014-01-03 17:03 | 自著紹介


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