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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2015年 01月 09日

憲法便り#700 開戦直前に大本営政府連絡会議が決定した「對米英蘭蒋戰爭終末促進ニ關スル腹案」

大本営政府連絡会議は、昭和十六年一一月一五日に『對米英蘭蔣(介石)戰爭終末促進ニ關スル腹案』を決定している。
だが、それは、あくまでも日本に都合のよい願望を並べたてた、いわば「妄想」ともいうべきものである。
戦争が長期化し、また、以下に示す、これほど多数の国々が宣戦、断交することは予定も、予想もしていなかった。
日本国内の世論を抑え込んでしまえば、世界中に、何でも通用すると思っている浅慮、思考の欠落の実態は、敗戦後70年を経た現在でも、変っていない。
安倍首相の場合は、特に、「戦後レジームからの脱却」と称して、戦前への回帰を目指している。

『憲法便り#694』歴史クイズ第八問と第九問の答
[第八問]:日本に対して、開戦から敗戦時までに宣戦布告をしてきたのは何カ国?
[答]:
①日本に対して宣戦した諸国は、[15ヵ国]
(コスタリカ國、ドミニカ國、ホンデユラス國、グアテマラ國、ニカラグア國、サルヴアトル國、ハイテイ國、パナマ國、オランダ國、キューバ國、リベリア國、シリヤ國、レバノン國、サウデイ・アラビア國、ソヴィエト社會主義共和國連邦)
②日本に対して断交し、その後宣戦した諸国は、[17ヵ国]
(ベルギー國、メキシコ國、イラーク國、ボリヴイア國、エクアドル國、ぺルー國、パラグアイ國、ヴエネズエラ國、ウルグアイ國、トルコ國、エジプト國、アルゼンテイン國、イラン國、チリ國、ブラジル國、ギリシヤ國、ノルウエー國)
[以上合計:32ヵ国]
*ただし、ここには、下記の6カ国、および中国は含まれていない。
(一)我國より宣戰したる諸國
米國及び英國(濠洲連邦、カナダ、南阿連邦及びニュー・ジーランド)

[第九問] 日本に対して宣戦布告はしなかったが、国交断絶を通告してきたのは何カ国?  
[答]:6カ国
(コロンビア國、フィンランド國、ルーマニア國、ブルガリア國、スペイン國、デンマーク國)

【典拠とした史料】
『日本外交文書 第一冊』(平成二十二年)p10‐12。
下記の史料の●印は、防衛省防衛研究所図書館より補填されたものである。

(付記二)●對米英蘭蒋戰爭終末促進ニ關スル腹案
昭和一六、一一、一五
連 絡 会 議 決 定
方  針
一、速ニ極東ニ於ケル米英蘭ノ根據ヲ覆滅シテ自存自衞ヲ確立スルト共ニ更ニ積極的措置ニ依リ蔣政權ノ屈伏ヲ促進シ獨伊ト提携シテ先ツ英ノ屈伏ヲ圖リ米ノ繼戰意思ヲ喪失セシムルニ勉ム
二、極力戰爭相手ノ擴大ヲ防止シ第三國ノ利導ニ勉ム

要  領
一、帝國ハ迅速ナル武力戰ヲ遂行シ東亞及西南太平洋ニ於ケル米英蘭ノ根據ヲ覆滅シ戰略上優位ノ態勢ヲ確立スルト共ニ重要資源地域竝主要交通線ヲ確保シテ長期自給自足ノ態勢ヲ整フ
  凡有手段ヲ盡シテ適時米海軍主力ヲ誘致シ之ヲ撃滅スルニ勉ム
二、日獨伊三國協力シテ先ツ英ノ屈伏ヲ圖ル
(一)帝國ハ左ノ諸方策ヲ執ル
 (イ)濠洲印度ニ對シ政略及通商破壞等ノ手段ニ依リ英本國トノ連鎖ヲ遮斷シ其ノ離反ヲ策ス
 (ロ)「ビルマ」ノ獨立ヲ促進シ其ノ成果ヲ利導シテ印度ノ獨立ヲ刺戟ス
(二)獨伊ヲシテ左ノ諸方策ヲ執ラシムルニ勉ム
 (イ)近東、北阿、「スエズ」作戰ヲ實施スルト共ニ印度ニ對シ施策ヲ行フ
 (ロ)對英封鎖ヲ強化ス
 (ハ)情勢之ヲ許スニ至ラハ英本土上陸作戰ヲ實施ス
(三)三國ハ協力ヲシテ左ノ諸方策ヲ執ル
 (イ)印度洋ヲ通スル三國間ノ連絡提携ニ勉ム
 (ロ)海上作戰ヲ強化ス
 (ハ)占領地資源ノ對英流出ヲ禁絶ス
三、日獨伊ハ協力シテ對英措置ト竝行シテ米ノ戰意ヲ喪失セシムルニ勉ム
(一)帝國ハ左ノ諸方策ヲ執ル
(イ)比島ノ取扱ハ差シ當リ現政權ヲ存續セシムルコトトシ戰爭終末促進ニ資スル如ク考慮ス
(ロ)對米通商破壞戰ヲ徹底ス
(ハ)支那及南洋資源ノ對米流出ヲ禁絶ス
(ニ)對米宣傳謀略ヲ強化ス
   其ノ重點ヲ米海軍主力ノ極東ヘノ誘致竝米極東政策ノ反省ト日米戰無意義指摘ニ置キ米國與論ノ厭戰誘致ニ導ク
(ホ)米濠關係ノ離隔ヲ圖ル
(二)獨伊ヲシテ左ノ諸方策ヲ執ラシムルニ勉ム
 (イ)大西洋及印度洋方面ニ於ケル對米海上攻勢ヲ強化ス
 (ロ)中南米ニ對スル軍事、經濟、政治的攻勢ヲ強化ス
四、支那ニ對シテハ對米英蘭戰爭特ニ其ノ作戰ノ成果ヲ活用シテ援蔣ノ禁絶、抗戰力ノ減殺ヲ圖リ在支租界ノ把握、南洋華僑ノ利導、作戰ノ強化等政戰略ノ手段ヲ積極化シ以テ重慶政權ノ屈伏ヲ促進ス
五、帝國ハ南方ニ對スル作戰間極力對「ソ」戰爭ノ惹起ヲ防止スルニ勉ム
  獨「ソ)兩國ノ意嚮ニ依リテハ兩國ヲ媾和セシメ「ソ」ヲ枢軸側ニ引キ入レ他方日蘇關係ヲ調整シツツ場合ニ依リテハ「ソ」聯ノ印度「イラン」方面進出ヲ助長スルコトヲ考慮ス
六、佛印ニ對シテハ現施策ヲ續行シ
  泰ニ對シテハ對英失地恢復ヲ以テ帝國ノ施策ニ協調スル如ク誘導ス
七、常時戰局ノ推移、國際情勢、敵國民心ノ動向等ニ對シ嚴密ナル監視考察ヲ加へツツ戰爭終結ノ爲左記ノ如キ機會ヲ捕捉スルニ勉ム
(イ)南方ニ對スル作戰ノ主要段落
(ロ)支那ニ對スル作戰ノ主要段落特に蔣政權ノ屈伏
(ハ)歐洲戰局ノ情勢變化ノ好機特ニ英本土ノ没落、獨「ソ」戰ノ終末、對印度施策ノ成功
之カ爲速ニ南米諸國、瑞典、葡國、法王廳ニ對スル外交竝宣傳ノ施策ヲ強化ス
日獨伊三國ハ單獨不媾和ヲ取極ムルト共ニ英ノ屈伏ニ際シ之ト直ニ媾和スルコトナク英ヲシテ米ヲ誘導セシムル如ク施策スルニ勉ム
對米和平促進ノ方策トシテ南洋方面ニ於ケル錫、護謨ノ供給及比島ノ取扱ニ關シ考慮ス

※平和憲法を守る闘いに寄与するため、2014年5月に下記の新著を緊急出版しました。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―
(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)

「アベノミクス」のみを前面に打ち出していた今回の衆院選で国民の信任を得たとして、安倍首相は、早くも憲法改悪を「自民党結党以来の目標」「歴史的チャレンジ」として強調し始めました。
彼らの論拠は、「押し付け憲法」論です。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』は、実証的反論です。
是非とも本書を活用していただきたい。
ご注文は、下記の書店へ
美和書店 電 話03-3402-4146
FAX 03-3402-4147

by kenpou-dayori | 2015-01-09 09:46 | 歴史クイズ


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