2015年3月20日(憲法千話)
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憲法千話・憲法施行に際しての社説No.8:昭和22年5月3日『北海道新聞』(札幌版)
新聞の印刷状態、およびマイクロフィルムの出来が悪く、判読にかなりの時間を要するでの、とりあえず、5月3日号の上半分の紙面のみを紹介する。
社説の内容は、当時の社会状況を反映しており、文字起こしをすべきと考えるので、四段めの半ばまで、判読できる範囲で文字起こしをし、あとは時間が取れ次第、引き続き挑む予定である。(□は、判読不能の部分。)
5月3日号一面には、鈴木安蔵著「新憲法の精神と運用」(上)が掲載されており、5月4日一面に(下)が掲載されている。
社説「新憲法施行の日を寿(ことほ)ぐ」
きょう五月三日、新憲法施行日を迎え、民主日本の厳粛にして晴朗な新しき歴史の第一頁は、全国民の心からなる祝福と、抑え難き歓喜のうちに、静かな、しかし牢固たる足どりをもってここに開かれる。半封建的、軍国主義の旧き悪夢にも似た日本の前史はいまや新しき国家的基本法『日本国憲法』を国民みずからの手によって施行することにより、もはや遥か遠く過去の暗き灰燼のなかに埋葬しはてるにいたったのである。新しき平和的民主日本の生誕は、まさにそのような意味において一箇のフェニックスに比せらるべきでさえあるだろう。
もとより、新憲法の施行はこれを法律的にみるならば、日本国憲法第十一章補則のきわめて当然な、つまり自動的な法文の適用であるにすぎない。しかしながら、そこに示された『憲法の公布の日から起算して六ヶ月を経過した日』たる今日までに、いいかえれば昨年十一月三日の憲法公布の日から本日の施行日にいたるこの半年の間に、われわれの生活周辺をめぐって展開された、目まぐるしくも□しい(激しい?)政治的(5文字判読不能)る革命的進行ともいうべき歴史の足跡をかえりみるとき、われわれはこの歴史的な日をただたんに法律適用の時間的到来とのみ受けとることはできないのである。
静かに顧みれば、新憲法の公布をみた昨年十一月三日このかた、まず組織的な労働攻勢の大波が漸次高まりはじめ、ついに全官公庁を蔽う未曾有の危機に到達し、国家的機能の全面的中絶さえ危ぶまれたがその寸前において幸いにも停止をみるを得たこと、、また、奔流するインフレの巨浪があらゆる勤労階層の脆弱なる生活基盤をゆり動かし、かかる社会的経済的激動のか中に第九十二議会は再三の局面転換と山積せるかなりの法案を未□□に終らせて総選挙に臨んだのであった。以来世はあげて四月選挙に関心を集中したのであるが、それは選挙のかたちでの民主政治への参与という意味において新憲法を運営する国民の広範なる政治的□□を要請し、かつ促進せしめたものであると□ることができよう。なぜなら、新憲法の内容と(以下、容易には判読できないため、文字おこしは中断)
(以上は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料による)
今日の一言:「五月三日、半封建的、軍国主義の旧き悪夢にも似た日本の前史はいまや新しき国家的基本法『日本国憲法』を国民みずからの手によって施行することにより、もはや遥か遠く過去の暗き灰燼のなかに埋葬しはてるにいたった」