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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2016年 05月 04日

日本国憲法施行日の社説No.27:『東海夕刊』5月3日付一論一評「新憲法を生活の中へ」【拡散希望】

2015年4月8日(憲法千話)

2015年4月7日(木)(’憲法千話)

(*50紙の社説一覧リストへ戻るのは、こちらをクリックして下さい

2016年1月7日(木)
【安倍内閣による改憲を阻止するため拡散を希望します】


昭和22年5月3日『東海夕刊』一面
日本国憲法施行日の社説No.27:『東海夕刊』5月3日付一論一評「新憲法を生活の中へ」【拡散希望】_c0295254_20504567.jpg日本国憲法施行日の社説No.27:『東海夕刊』5月3日付一論一評「新憲法を生活の中へ」【拡散希望】_c0295254_20525789.jpg

文字起こしをしましたが、文字が不鮮明なため、一日がかりになりました。
(旧字体の漢字は改めました。また、句読点を(、)(。)の形で補い、判読できない文字は□としました。

5月3日付『東海夕刊』一論一評「新憲法を生活の中へ」

 五月三日、この日を期して民主日本を具象する新憲法がいよいよ実施される。昨秋十一月三日以来六ヵ月の公布期間を経て新憲法は今や全くわれらのものとなり、現実的に動き始めた訳である。われわれは深い感慨なしにこの歴史的な切りかえの事実を考えることは出来ない。思えば過去六十年にわたって良きにつけ悪しきにつけ日本の最高の法的支柱であった欽定明治憲法は合法的にその権威を失って止揚され、これに代るに主権在民の明確な新憲法がわが日本国と日本人の生存活動のあらゆる規範を盛って打ち立てられたのである。正に五月二日と三日の間に在る切りかえの時点は分秒にすぎぬと言え(、)この偉大な転換が将来されるためにはいかに多くの国民の血が流され(、)財貨を戦火の中に焼□し(、)民族的な長い苦痛の年月が必要であったかをわれわれはわすれ得ない。
皮相な観念論者は敗戦の結果の与えられたる自由、与えられたる憲法を軽んじて(、)この深刻な歴史的転換の背景を看過するが、われわれはやはり新憲法□その中で盛られた人民主義の権威と自由人権の思想等これすべて八千万国民が流血と□亡のうえに辛苦して戦いとったのと見るのである。ただ国民の労苦と流血が軍財官閥の手によって全く見当違いの悲劇的な侵略戦争に向けられたというだけであって(、)われわれがあがなったこの自由は依然その□□を失うものではない。
 それだけにわれわれ国民は今後この憲法を自分自身のものとして大切にし守らなければならぬ。明治憲法が天皇神聖の絶対主義支配の立場からうちたてられ上から国民に君臨したために国民には親しみがもてず(、)保証されている最低限の人権すら守られずに逆に自由を拘束するものに化してしまったことは(、)支配者の横暴もさることながら、憲法を護りその成文の諸権利については死を賭して戦うという不死身の精神が欠けていた国民の側にもその非があったと言わねばならぬ。このような過去の重大な誤りをわれわれは絶対に犯してはならぬのである。そのためにはまず憲法がつとめて日常生活の規範と見て親しみこれに通ずることである。政治経済、文化教育、労働、家庭等白紙の問題はすべて新憲法の保証し義務づける範囲において考え行為するという活き活きした新憲法実践の精神につちかわれなければならぬ。
しかしながら他面新憲法は現にある日本国の状態を法的にまとめたものではなく(、)むしろ今後「在るべき」理想的な日本国の姿を成文化したとも考えられる。戦争放棄や平等人権や国民の生活的諸権利などこれらの画期的な条章は(、)これから実現してゆく理想に属する。これらの事柄を真実われわれ自身の手中に握るためにもわれわれは一層新憲法を生活の中へ持ち込み、生かし守り抜いて行くことが大切なのである。
(典拠は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料:請求記号YB-255)

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『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
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(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)

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by kenpou-dayori | 2016-05-04 13:21 | 日本国憲法施行日の社説


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