2015年5月1日(金)(憲法千話)
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岩田行雄編著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』第四部より
【憲法便り#918 : 『日本国憲法公布、その日、あなたの故郷ではNo.18 : 富山篇』(第一回)】
【富山県】
富山県内の諸行事に関しては、『北日本新聞』及び『富山新聞』の両紙の記事で紹介する。
【北日本新聞】公布記念(十一月四日付二面より)
「くにのあゆみの第一日」“くにのあゆみ”に新しく第一頁日本国憲法公布のこの朝、前夜来の雨模様のため大地はしっとりと濡れて開け始めたが、朝のラジオ・ニュースをアナウンスする放送員の声は、ひと際晴々と新生日本の発足を謳っていた。この日はまた明治節の佳き日でもあり、県庁では午前十時から記念式が挙行されたのをはじめ市町村、学校での記念式、記念講演や各種団体の音楽会、獅子舞、運動会、マラソン競争など思い思いの多彩な催し物が繰りひろげられて、全県は祝賀一色に塗りつぶされ、一般家庭でも新しい家族制度の第一歩を印し、特配の酒と煙草、学童と幼稚園児らには甘い甘いお菓子の特配もあって、一家団欒、和やかなうちに暮れて行った。
「永劫に記念して 県下は祝賀の一色」人類永遠の平和確立の先駆として、日本国憲法は十一月三日菊の佳節を卜(ぼく)して公布されたが、この歴史的な日を迎えた本県ではこの慶びを永劫に記念するため、各官署、学校、銀行、会社、各種団体でもそれぞれ明治節の遥拝式と新憲法公布の記念式を行い、輝く自由の感激にひたり、再建日本の決意を新たにし、この佳き日を祝い新憲法を謳う各種様々の余興で全県下は祝典一色に塗りつぶされた。
[富山市]
▲この日県庁では午前十時五十分から正庁で全庁員が参列、まず明治節の遥拝式を挙行、一旦式を閉じ、引きつづき県議場で石丸知事以下各部課長、全県会議員、各学校長代表、各種団体代表等百六十名参列のうえ、新憲法公布記念式を挙行。式典の後、清水富山高等学校長の新憲法に関する講演があり、終って第一食堂で佳き日を寿ぎ乾杯して新憲法の喜びを共にした。
▲また、富山市では三日午後一時から総曲輪西別院で、新しく選任された四三五名の町会長全員が出席して石坂市長司会のもと町内会長大会を開いた。祝辞のあと清水富山高等学校長の「新憲法と国民の協力」と題する講演を聞き、各町内会長の意見発表などがあり同四時すぎ散会した。
▲なお、本社主催の新憲法公布記念県民大会は、三日午後一時から県庁南玄関で開く予定であったが、折柄の降雨のため中止した。
[高岡市]「おじいさんも体育祭に 高岡古城公園の朗らか風景」高岡市の新憲法公布慶祝記念式典は古城公園広場で全市町内会、各官公署、及び会社、工場代表、国民学校並びに幼稚園生徒等が集まり、定刻午前九時堀市長及び島田市会議長の新憲法祝賀の辞が述べられ、終って引続き慶祝市民体育祭に移った。
[写真説明・街のニコニコ風景]
①お祝いのお菓子特配にニコニコ(富山市呉羽国民学校にて)
②新湊町の山車…中町の曳き山
③可愛い祝賀おどり『京の四季』二日夜県会議場での舞踊と音楽の会
④高岡市中を練り歩く仮装行列 ⑤大和高岡店前で舞う獅子。
▲「よき日に“オギャー”「憲」の字が引張り凧」男児では「義憲」、女児では「憲子」。
[北日本新聞社主催の新憲法公布記念行事]
▲富山市・北日本新聞社共催「富山市学童野球大会」参加十八校(五日‐七日、不二越グランド)
▲県立富山高女同窓会・北日本新聞社共催「秋の芸術祭」(九日昼一時、夜六時 高岡歌舞伎座、十日 同上 富山 富山座)弦楽四重奏団 近衛秀麿氏、日本舞踊 花柳壽美女史、洋舞バレー団 石井小波女史。
▲富山柔道振興会・北日本新聞社共催「県下柔道選手権大会」(十一日午後一時、富山座)。
[人文字]
(十一月三日付一面より)富山市安野屋校の先生と生徒による「祝シンケンポウ」の人文字(上空から撮影した写真)。
【富山新聞】公布記念(十一月四日付二面より)
「お獅子も舞うて 街に村にお祝い絵巻」新民主日本の第一歩を踏み出す新憲法公布の三日は、しとしと降りだした雨も間もなく晴れ上がり、喜びにひたる県民の祝賀催しは、県下各方面で挙行されたが、以下は街にひろう祝賀風景……
[高岡]
▲この日、高岡市では二上百姓町など十余の獅子舞、若い衆の笛太鼓や仮装行列など、終日街を練り廻ったほか、野球、競馬、市民体育祭などの催し物に人気が集中、高岡駅の乗降客は六万人を数え、一般乗客は平日の五割程度の増加で、とくに支線関係が混雑し、バスも近郊からの人出で満員、市内四映画館は午前十時半から五回の上映だったが、観覧者は平日の二割程度の増加だった。
▲定塚町の中村はんこ店では祝賀の記念スタンプを店頭に出し、道行く人々の手帳に記念の捺印が押されて行った。末広町ヴィーナスでは高岡軽音楽団の協力で大衆の演奏会を開き、大和百貨店前に射水郡塚原青年団員の海外同胞援護資金募集運動も、傷手から立ち上る日本の逞しい姿として、道行く人の目に触れた。
▲各町内会応援団の打ち振る旗、とどろく太鼓の音、高岡市主催の新憲法公布慶祝の市民体育祭が午前十時から古城公園本丸広場で開催。老幼男女ら全市から集まった家族、青年団、児童らを幼年組、青年組、壮年組、中年組と四組に分け、幼年組の仲良し競争、男女青年の男女同権混合リレー、各組の市民皆投票競争など全員一体の盛り沢山な競技が次から次と行われ、午後四時ごろ終了した。
▲「留置者もお祝い」藤井高岡署長は、三日新憲法の祝典に際し、同署の留置人四名に魚と果物を贈って慰めた。
[記念の特売]
大和高岡店「憲法公布記念 全店特別大奉仕:屋上にて高岡軽音楽団演奏会」(十一月五日―七日)
[富山]
「新生へ町内会長の大会」富山市町内会長大会はこの日午後一時から同市西別院で開催。石坂市長の開会挨拶、石丸知事(代理)尾山市会議長の祝辞があり、続いて清水富山高等学校長の「新憲法について」と題する講演があり、さらに各校下連合町内会長から「町内会長としての市への希望」「今後の町内会長の覚悟」などの意見発表があった。
▲「各所で多彩に」一方市内各国民学校、工場では祝賀式ののち講演会、演芸会、体育大会などを行って意義ある日を祝福、また市内の自由市場をはじめ商店街は平常の人通りの約三倍も出て大賑いであった。
[記念の特売]
「祝新憲法公布記念特売 新生の商店街
金なべマーケット全店一割引き」(十一月四日、五日、場所 金なべ料亭跡 総曲輪商店街)
[優良乳幼児顕彰会]
「参加の子に全部お土産」乳幼児の保育の徹底を期すため、本社、県共催、県下保健所後援の新憲法公布記念「優良乳幼児選彰会」はいよいよ七日、魚津、新湊両保健所を皮切りに、各保健所ごとに第一次予選に入るが、これに先立ち二日高岡市羽衣県立婦人病院で、大会審査長福田県衛生課長はじめ各保健所長らが出席し、審査方法、申し込み締切日その他を打ち合わせた。なお、本大会に参加する乳幼児に対しては、参加記念としてもれなく甘味品を贈る。
[写真説明]「明るい顔・顔」写真は上から高岡市内を練り歩く獅子舞、中右は繰り出した新湊の曳山、左は奉祝菓子を配給(志賀野幼稚園)、下右は高岡市民奉祝大会、左は孫に手をとられながら奉祝スタンプを捺すお婆さん。
(画像の典拠は、富山県立図書館所蔵マイクロ資料
*次回は、富山篇(第二回)。
※平和憲法を守る闘いに寄与するため、昨年5月に下記の新著を緊急出版しました。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―
(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)
闘いは、まだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。
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