2015年5月1日(金)(憲法千話)
岩田行雄編著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』第四部より
憲法便り#922 :『日本国憲法公布、その日、あなたの故郷ではNo.22 : 石川篇』
【北国毎日新聞】公布記念(十一月四日付二面より)
「新日本 寿ぐ旗の波」菊花薫る三日、再建日本の指針として全世界注視の日本国憲法が公布された。ゆがめられた旧殻を脱して、主権在民と戦争放棄の二大原則を明示した歴史的憲法公布のこの日、非戦災地の石川県九十万県民は、新たなる門出の喜びを表した国旗を戸毎に掲げ、平和と民主を謳歌。官公署、学校、諸会社、町内会、部落会ではそれぞれ慶祝式典ののち記念植樹を行い、各町村では弁論大会、体育大会を挙行。金沢市では、紅白染め抜きの幔幕に彩られた街に、花電車や花バスが走り、着飾った人波をわけて仮装行列、山車、お神輿、獅子舞など祝賀行事のかずかずが繰りひろげられ、全県下、街も邑も自由来るの歓喜にひたった。
「新日本壽(ことほ)ぐ旗の波 囃し巡る平和の街 人波を縫って獅子舞、お神輿」
昭和21年11月4日付『北国毎日新聞』二面
この紙面は、『心踊る平和憲法誕生の時代』の表紙に借用しました。
(画像の典拠は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料:請求記号Z81-41)
[金沢]
「自由の鐘は高鳴れり」と旧市域の十八国民学校児童五千名が、午前十時兼六園に集り、歌声高らかに市中を行進したが、シンガポール陥落以来、実に五年ぶりの旗行列とあって、香林坊を中心に沿道は市民で埋められた。市中には久しぶりの花電車、花バスもお目見え、海外引揚者の楽園・野田平和町では即製みこしを担いで引揚者の心意気を示せば、浅野町校下青年団は白亜の国会議事堂みこしと奇抜な仮装行列、また福久町は伝統の獅子舞を繰り出して、笛太鼓で折から出盛った数万の人波の中を囃しまわる。この雑沓の中を、丁度結婚シーズンだけに、めでたい花嫁自動車が走るなど、至る所になごやかな風景を現出した。
▲一方、市主催の合同祝賀式は午前十時から市公会堂で開かれたが、僅か三百人の出席。
▲校下で開かれた町内合同体育大会や、本社主催の店飾競技会、映画、自由市場など、この日の金沢市は日暮れまでに十万人の人出を見た。
[小松]
九時から各中学校、国民学校をはじめ官公署で記念式を行い、市では九時半から商工会館で祝賀式と自治功労者表彰を行った。連合靑年団主催の優勝弁論大会では、新憲法の意義と将来の日本国民の在り方などこの日に論題で論じられた。
▲国民学校校下では社会体育大会が開かれ、小松実業団の野球庭球協会の庭球大会が催されるなど多彩な行事が繰りひろげられ、寺院は報恩講を開いてゆっくりこの一日を法悦にひたる善男善女で賑わった。
[七尾]
七尾では市役所をはじめ官公署、学校、会社、工場、職場でそれぞれに記念式をあげた。愛宕山でひらかれた恒例の明治記念相撲が圧倒的人気を呼んだ。
▲この日の人出を見越して臨時増発列車をはじめ灘浦、能登島からの臨時便船やバスなどはどれも超満員の盛況で、駅や埠頭からはきだされた人は五万を下らぬものとみられ、人々の顔は普通のお祭りには到底見られぬ国民的な歓喜が溢れていた。
[鹿島郡]鹿島郡連合靑年団主催の農作物品評会は、三日郡公会堂で開かれ、入賞者が次の通り発表された。
優良 御祖青年団(甘藷) 中ノ島団(柿)
高階団(白菜) 余喜団(農林一号=米)
[寄付]
「不幸な人に差し上げて下さい。新憲法を祝って 一平和国民」と、三日匿名氏が百二十円を本社に届けて来た。本社では、ただちにこれを民生協会に委託した。
[金沢市文化賞制定]
十一月三日 北国毎日新聞社
【施行記念】
五月三日「新憲法まつり」(兼六公園)と「祝賀人民大会・大行進」
*次回は、福井篇。
※平和憲法を守る闘いに寄与するため、昨年5月に下記の新著を緊急出版しました。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―
(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)
闘いは、まだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。
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