2015年5月5日(火)(憲法千話)
岩田行雄編著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』第四部より
憲法便り#936:『日本国憲法公布、その日、あなたの故郷ではNo.36: 島根篇』
岩田行雄編著『心踊る平和憲法誕生の時代』、および同書の改題・補訂第二版『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』第四部の173頁に、広湿県内の祝賀行事について、次のように書きました。
【島根新聞】
マイクロフィルム資料では、同紙の一九四六年十一月四日付が欠号となっているので、島根県内各地の行事を辿ることが出来なかった。
公布記念:
島根新聞社出版部『日本国憲法』付新憲法の特質とその重点(十一月三日二面)
施行記念:
[木次町文化祭](洋画・写真、書画骨董新工芸美術、池坊華道、文芸展)五月三日‐四日」
しかし、これだけで終わってしまうのは淋しいし、残念なので、11月3日付『島根新聞』の一面および二面(当時は、二頁建て)を掲載し、憲法公布当日の紙面の感じを伝えようと考えました。
そして、今日、5月5日に、その作業をしている最中に、途絶えていた伝統行事が憲法公布記念を機に復活することになったという記事が、二面上段に掲載されていたのを見出しました。
これは、完全に私の見落としです。
したがいまして、お詫びすると同時に、著書の記述を訂正し、下記の部分を加筆致します。
情報が少ない中で、貴重なニュースなので、その全文の文字起こしをしました。
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以下は、岩田行雄編著『心踊る平和憲法誕生の時代』、および同書の改題・補訂第二版『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』第四部の173頁への加筆部分です。
昭和21年11月3日付『湿錬新聞』二面上より
「打てや鳴らせ新日本4の首途 復活した名物とう(鼓の下に冬と書く一文字)行列 九日・十五ヶ町参加で挙行」
(注:とうは鼓の音を表す言葉で、漢字では、鼓の下に冬と書く一文字ですが、パソコンでは出てきません。したがいまして、以下の文章では、すべて「とう」とカッコ付きの平仮名で表記します。
文字起こしに際して、旧漢字、旧仮名遣いは改めた。また、文章が長いので、読点(、)を補った。判読不能は、□としました。
「久しく衰微を憂えられていた松江名物「とう」行列を復活させようと、市では極力計画中だったが、いよいよ九日、新憲法公布記念行事として、盛大に挙行される。(紀元)二千六百年祝賀記念以来、六年ぶりに繰ひろげられるこのお国名物の「とう」行列宮行列の由来は詳(つまび)らかではないが、明示初年田舎で左義□とわれて、旧正月に豊作を「とう」をたたいて祝う習慣がひろがって、市でも佳節に各町内の若いものが美しく装飾された宮行列を先頭に、車に据えられた「とう」をうちながら、石橋町から津田街道に至るまでねり歩くわけで、大晦日暮れから深夜まで色とりどりの提灯が並び歩き、水都松江の情緒たっぷりというところ、大国主命の業績を後世に伝えようと旧松平藩主の肝煎りが現在までに及んだもので、元来「とう」は貧弱なものだった。
それが、大正天皇御大典の祝賀日に開かれたときは、各町内が競争となり、大きい「とう」、名工の刻んだ宮さんなどと漸次規模も拡大し六、七尺の大「とう」が毎年三大佳節に青年、子供たちのかけ声も勇しく、笛や「とう」を打ちならし、二の丸広場に集合、華美な一夜を明かした。今年の「とう」行列は、物資不足に従来程に振わないが、復興松江の意気を挙げようと市でも張切っている。
参加町内は十五ヶ所に限定先着順に受付るが、参加町内会には酒を特配する。
申込は、五日までに市商工課宛。
当日は、午後十二時半大手前広場に集合、市内をねり歩き、相生町で解散する予定。
このほか松江市では、講演会、青年弁論会、婦人連盟の生活改善展覧会を逐次挙行する予定で計画を進めている。」
以上は、岩田行雄編著『心踊る平和憲法誕生の時代』、および同書の改題・補訂第二版『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』第四部の173頁への加筆部分です。
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なお、紙面は、以下の通りです。
昭和21年11月3日付『湿錬新聞』一面上
社説は、「新憲法公布に際して」
昭和21年11月3日付『湿錬新聞』一面下
最下段に、「新憲法公布記念」の祝賀広告。
昭和21年11月3日付『湿錬新聞』二面上
「打てや鳴らせ新日本4の首途 復活した名物とう(鼓の下に冬と書く一文字)行列 九日・十五ヶ町参加で挙行」
昭和21年11月3日付『湿錬新聞』二面下
(画像の典拠は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料:請求記号YB-193)
*次回は、広島篇。
※平和憲法を守る闘いに寄与するため、昨年5月に下記の新著を緊急出版しました。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―
(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)
闘いは、まだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。
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