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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2015年 05月 07日

憲法便り#947:『日本国憲法公布、その日、あなたの故郷ではNo.47: 熊本篇』

2015年5月7日(木)(憲法千話)

憲法便り#947:『日本国憲法公布、その日、あなたの故郷ではNo.47: 熊本篇』

以下の記事は、大まかすぎるので、『心踊る平和憲法誕生の時代』、および同書の改題・補訂第二版『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』の第四部には含めませんでしたが、ここで、各都市の中で、該当する部分を紹介しておきます。
【西日本新聞】公布記念(十一月三日付三面より)
「花電車や仮装行列 絢爛 西日本に展く慶祝プロ」
「歓喜沸く新しき出発」 
「平和日本のかどで、民主憲法公布のきょう三日ー西日本各地はいま新しき”くにのあゆみ”に寄する慶祝と歓喜にはち切れそうだ。この日各県各地とも奉祝式典のあとをうけ、それぞれ秘策の慶祝プロにうつり、忍従と屈辱の歴史をかなぐりすてる。
花電車や花トラックが飛び出し、仮装行列が歓喜の街々(まちまち)をねり歩き、きょう西日本の秋空はうちあげられる慶祝の花火にこだまし続けて、久方振りにみる灯の波、旗の波の復活だ。いま各地から洩れきこえる興奮の慶祝プロを綴っておくる。
(以下、[福岡] [佐賀] [大分] [熊本] [長崎] [鹿児島]と各県の行事予定が簡単に紹介されていますが、ここでは、「熊本」の部分を掲載します。)
【熊本】
三日午前十時から県立第一高女で催す本社主催の舞踊歌謡曲大会をはじめとして、第二高女では午後二時から県民大会ひらかれ、文化祭、能楽大会、GKの希望音楽会その他絢爛たるプロが準備されている。また熊本市の連合町内会の運動会、八代、人吉両市の市民体育大会もこのよき日の朝からはじまられる。」

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以下は、岩田行雄編著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』第四部より

【熊本日日新聞】公布記念(十一月三日付三面より)
「鳴る・民主日本の暁鐘」「打ち樹つ盤石の礎 実践の責・祝福も各人へ」
日いづる国、新しき日本の太陽は上った。菊花かおる明治の佳節、きょうここに我々の憲法は公布され、新生国家盤石の基礎は打ち樹てられたのである。かくて侵略主義軍国の血に色どられ、官僚どもの封建かつ独善主義に歪曲されて来た明治憲法は、その穢れと膿汁悪弊を振り棄てて真の国民憲法へと生まれ変わり、主権は我々国民の手にかえり、民主国家の黎明は訪れたのだ。国政史上、画期的曠古の転換に際会し、きょうこの喜びの感激に浸りうる国民の栄光こそ、過ぐる日の戦禍の悪夢を払掃し、祖国復興の大業に邁進する絶大な精力剤となろう。
いま東京市ヶ谷の法廷では、戦争犯罪人が裁かれている。かつての戦場からは、彼らの犠牲者である白木の箱が続々と故山へ悲しき帰還を急ぎつつある。着のみ着のままの引揚者、住むに家なき戦災者、皆ひとしく戦争の犠牲者である。戦争は決して儲かるものではないことを教えられ、そして戦争がいかに悲惨なものであるかを体験させられた我々日本人に、新憲法は戦争の永久放棄を規定している。平和国家の道行きを示し、文化日本の再建を道標し、人権尊重、自由、平等を認め、生存の意味を高く唱導する新憲法こそ国家のみならず、国民の新生をもたらした狂喜絶叫するに値する一大快事である。
俺達がもたらしたと議会人が自惚れることも、新憲法の精神は認めない。全国民により新しい国家をつくろうとする国民の意思によって齎された憲法だから、勿論、実践の責任も一人一人にあり、祝福する愉快さも一人一人にある。きょうこの盛典の一日は、祝典の意味ならどんな馬鹿騒ぎも官僚どもにたしなめられる気づかいもなく、新日本の門出にふさわしい慶祝行事が国民の歓喜を爆発させて、各地で盛大に展開されよう。民主日本夜明けの鐘は、けさ八千万国民の頭上に大音響をあげて打ち鳴らされた。世界に呼びかける平和日本の門出の鐘でもある。

[祝賀行事]
*四日の記事に紹介されていない熊本市内の行事のみ。
▲熊本地方専売局=午前九時から第一高女で職員、家族合同祝賀運動会を開く
▲大蔵省政務講習所熊本支所=午前十時から九州中学校庭で運動会開催
▲国立熊本病院=午前十時から同病院内で運動競技会、午後一時から職員、患者合同大演説会開催
▲熊本医大=午前九時から同校庭で運動会
▲済々□=午後八時半から同校庭で運動会
▲尚絅高女=午前九時から同校庭で運動会
▲記念講演会「新憲法と国民生活」九大教授菊池勇夫=八日午後二時(建極会)。

[憲法精神普及講演会]
憲法公布祝賀に引続き、県では新憲法の精神を広く全県民に普及徹底させるため、九大から河村、林田両教授を招き、次の日程で講演会を開く。
▲四日第二高女(熊本市、飽託郡)
▲五日玉名公会堂(荒尾市、玉名郡)
▲六日山鹿国民学校(鹿本郡)
▲七日隈府高女(菊池郡)
▲八日宮地国民学校(阿蘇郡)
▲九日御船国民学校(上益城郡)=以上河村教授
▲十一日松橋高女(宇土、下益城郡)
▲十二日八代高女(八代市、郡)
▲十三日佐敷国民学校(芦北郡)
▲十四日人吉東国民学校(人吉市、球磨郡)
▲十六日本渡北国民学校(天草郡)=以上林田教授(何れも午前九時から)

(四日付二面より)
「民主一色に県民の祭り」好天に恵まれた県下の新憲法公布記念の式典や意義あらしめようと企画された各種の催しは、その所を得て随所に盛大に行われたが、この盛んな行事に籠められた「民主」の色彩は、今後さらに輝きを増し、真の民主日本の建設へ―の印象を深く祝福する人々の心に植えつけたのであった。(写真上は県連合の新憲法公布記念式、下は盛況の野外音楽会=熊本市)

昭和21年11月4日付『熊本日日新聞』二面
憲法便り#947:『日本国憲法公布、その日、あなたの故郷ではNo.47: 熊本篇』_c0295254_15525852.jpg


(画像の典拠は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料:請求記号YBー59)

[県]
「向上への契機」新日本晴れの門出を祝福する県連合の新憲法公布記念式典は、三日午後二時から第二高女講堂で挙行、ピーターセン熊本軍政官の祝辞、松枝県会議長の憲法前文朗読についで櫻井知事は、めでたい憲法公布を契機として、県民各位は一層平和日本国民としての資質向上に努められたい旨の式辞を述べ、引続き福(?)田市長、松枝県会議長、佐藤市会議長、山口裁判所長、松井検事正などのそれぞれ式辞があり、貴衆両院議員代表林田代議士、脇村町村長会長、伊豆熊本日日新聞社長らがそれぞれ祝辞を述べ、続いてつぎのような決議を行い、天皇陛下の万歳を三唱、午後四時散会。(決議文省略)
[熊本市]
「明るい朝の表情 あふる新憲法景気」きのう三日の熊本の表情は、新しい歴史の夜明けを寿ぐ、市民の明るい顔が街一杯に溢れた。この佳き日を祝う本社の記念行事の数々は、水前寺競技場の「市民総合運動会」でまづその幕を切って落としたが爽やかな秋晴れの一日を老いも若きも楽しく祝った。また、午後四時からは新市街記念碑前に数千の観衆を集めたフレッシュマンバンドが「祝賀青空演奏会」を開き、一方「総合美術展」も数千の美術ファンを迎えて開幕以来の記録を作った。
また新市街から上通りにかけてのアベニューは、喜びに胸をふくらませた市民の軽やかな足どりで夜更けまで賑わった。なお、新しき国生みの喜び票壽を捉える「撮影競技会」もこの日一日県下各所に鋭いカメラの眼を向けて傑作を追った。
[天草郡]
新憲法公布のよろこびに湧く天草郡本渡町では、郡教育会、同体育会並びに本社共同主催の体育祭は、三日午前十時から天中グランドで挙行。選手の入場式あり、木原大会委員長、名誉会長小山地方事務所長の祝辞、会長伊豆本社長(代理)の挨拶に次いで審判長の競技上の注意あって、百メートル予選を皮切りに競技開始。郡内各町村の選手達は、郷土の興望に応えんと熱戦を展開。また、趣向を凝らした応援団は、鉦や太鼓の伴奏にそれぞれ力いっぱいの応援戦を行って大会気分をそそり、同郡初の盛大な催しだけに早朝から押しかけた数千の人の波がグランドを埋め尽くし、苓州一円は体育絵巻一色に塗りつぶされたかの観を呈した。
[八代市]
躍進日本の発足を裏づける新憲法公布記念日に贈る本社並びに八代市体育会主催の「八代市体育大会」
は秋晴れの三日、八代全市を運動一色に塗りつぶし盛大に挙行。憲法公布祝賀並びに教化市指定記念式は、午前十時から代陽校講堂で開催。町内会五カ年勤続者、篤行者、納税成績優良者、方面委員、供出成績優良者を表彰、坂田市長の憲法解説等あって十一時半終了。
一方、体育大会は陸上(八中)、学童相撲(代陽校)、弓道(武徳館)の三会場で、青少年の溌剌たる体育絵巻を展開。就中(なかんずく)、弓道では昨年度県女子中等学校弓道大会優勝者竹田和子(八代高女卒)の紅一点が古豪に混じって堂々の戦を演じたのは、本大会の白眉であった。なお、本社賞は各競技団体優勝者に贈呈されたが、第二日目の四日は排球(八中)、籠球(同)、野球(代陽校)でそれぞれ開催される。
[荒尾市]
荒尾市、同体育会、並びに本社共同主催の新憲法公布を祝う体育大会は、三日午後一時から同市第一国民学校グランドにて盛大に挙行された。誂え向きの体育日和に数千の観衆場内を埋むる裡に、定刻会長中嶋市長の挨拶、吉田荒尾署長の祝辞、北野大会委員長の競技上の注意あり直ちに競技に移り、国民学校女子六十米の予選を皮切りに二十数種に亘り展開。就中、青年団、学校職員、官署、職種別団体の紳士駅伝競走は有明、八幡、府本、平井部落間約六キロを一時間足らずで走破し、第二会場四ッ山炭坑グランドでは野球が開催され、参加チームは四ッ山、万田、の炭坑が何れもABの二組、管財局の五チームが接戦を演じて観衆の喝采を浴びた。
[人吉市]
人吉市及び本社共催の体育祭は、憲法公布の佳日を迎え三日午前十時より城内グランドで華々しく開催。山本市長の挨拶あって直ちに体育会のプログラムをあけたが、市民の平和を象徴するいろいろのプラカードは秋陽を浴びて城内を美しく染め、祝日を楽しむ数万の群衆を前に、国民学校児童の音楽遊戯、町内会の年齢別リレー、女子青年の美しい平和音頭或いは鯛釣り競争、各種対抗リレー等、大人も子供もおばあさんも、娘さんも今日許りは嬉しそうに踊り、走り、本社寄贈の優勝旗並びに盛り沢山の賞品をめぐって、熱戦を展開し、午後六時終了した。
[阿蘇郡]
阿蘇郡内における三日の新憲法公布記念祭典は阿蘇神社、内牧菅原神社の記念大祭をはじめ全郡民を挙げて各町村毎に記念祝賀行事を展開した。
▲宮地町では町民大会を開き、引続き宮地体育協会主催の町民大運動会を開催。
▲内牧町では、同役場主催で内牧体育大会を国民校で開き、老若男女挙げて参加し大盛況。
▲なお、本社内牧通信部では、新憲法全文及び解釈を印刷して、一般町民に配布する。」

*次回は、大分篇。


※平和憲法を守る闘いに寄与するため、昨年5月に下記の新著を緊急出版しました。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―

(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)
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闘いは、まだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。
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by kenpou-dayori | 2015-05-07 15:56 | 続3・憲法千話・公布記念行事


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