2015年5月7日(木)(憲法千話)
憲法便り#948:『日本国憲法公布、その日、あなたの故郷ではNo.48: 大分篇』
以下の記事は、大まかすぎるので、『心踊る平和憲法誕生の時代』、および同書の改題・補訂第二版『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』の第四部には含めませんでしたが、ここで、各都市の中で、該当する部分を紹介しておきます。
【西日本新聞】公布記念(十一月三日付三面より)
「花電車や仮装行列 絢爛 西日本に展く慶祝プロ」
「歓喜沸く新しき出発」
「平和日本のかどで、民主憲法公布のきょう三日ー西日本各地はいま新しき”くにのあゆみ”に寄する慶祝と歓喜にはち切れそうだ。この日各県各地とも奉祝式典のあとをうけ、それぞれ秘策の慶祝プロにうつり、忍従と屈辱の歴史をかなぐりすてる。
花電車や花トラックが飛び出し、仮装行列が歓喜の街々(まちまち)をねり歩き、きょう西日本の秋空はうちあげられる慶祝の花火にこだまし続けて、久方振りにみる灯の波、旗の波の復活だ。いま各地から洩れきこえる興奮の慶祝プロを綴っておくる。
(以下、[福岡] [佐賀] [大分] [熊本] [長崎] [鹿児島]と各県の行事予定が簡単に紹介されていますが、ここでは、「大分」の部分を掲載します。)
【大分県】
「各官公署毎に記念植樹が行われ、県警察部では四日から一週間”民主警察強調週間”を実施、
晴れの門出をつかんでこれが徹底と実行をねらう。」
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以下は、
岩田行雄編著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』第四部より
【大分合同新聞】公布記念(十一月四日付二面より)
「菊薫る日新憲法誕生 歓喜二豊の天地に満つ」主権在国民、戦争の放棄、基本的人権の享有、勤労大衆の生活保障を闡明した待望の日本新憲法は、菊花薫る明治節、三日をもって公布された。
百二十万県民の祝福が豊穣の黄金色に輝く一豊の天地をこめた、戦火の洗礼に打ちのめされた敗戦後の混迷から、黎明の日本を迎えた県民の感激はあまりにも大きく深い。
この日、前日来のどんよりした暗雲は刻々晴れ渡り、翻る国旗の下、新憲法によって更生する祖国の姿を朗に象徴した。
先ず県及び市町村では、それぞれ記念式を挙げて官、公吏としての新憲法に対する祝意と決意を披歴し、また国民学校では明治節遥拝式に引続いて記念式を行い、ボクたち、わたしたちの憲法に双手を挙げて祝福し、小さな魂は「平和愛好」にしっかり結びつかれた。
また、生活を保障された勤労大衆は歓呼に溢れ、各地の工場、鉱山などの従業員組合は、運動会、音楽会、演芸会などに慶祝気分を横溢させ、一般家庭では特配の酒、煙草に祝い合うなど、歴史的なこの日を意義深く過し、新憲法に対する国民としての義務を果たすことを固く誓った。
[大分市]
「県市の輝く記念式」大分市では、午前十時県庁主催の記念式が荷揚町国民学校で行われ、知事代理持永内政部長の訓示があった。また大分師範学校では、午後一時半から同校講堂で同校の音楽発表会を催し、男女学生、付属国民学校の音楽発表の慶祝気分をそえ、また豊州女学校では運動会を催し、方形行進、レッドウイングなどに賑わい、各工場でも多彩な祝福行事が展開された。好晴に恵まれて野に山に颯爽たるハイキングの姿も頼もしかった。
[別府市]
▲三日の別府市は、午前九時市公会堂で記念祝賀会が挙げられ、一般市民約千名が集まり、市から駕海助役以下男女全吏員出席、助役、岡市会議長、山越連合町内会長らの祝辞あって、万歳を三唱閉式した。引続いて市連合青年団主催の演芸大会を催し、各学校区青年団から男女三十名出場、スター、ダンスホールバンドの特別出演で歌に踊りに軽音楽に、盛り沢山なプログラム二十八組を上演した。
▲また別府市婦人会では午前十時半市会議事堂で会員三百名が集って同様祝賀会を挙げた。
▲その他市町内会の運動会が各所で行われ、夜は立花ダンスホールで祝賀仮装舞踏会の催しがあり、最終日の競馬はいよいよ景気をあおり、いたるところ祝賀気分に終日賑わった。道行く人々は婦人会が売り出した菊花の記念マークを胸に飾り、満面に民主日本の新発足を寿ぐ喜びが溢れていた。
▲別府市朝見町内会の祝賀運動会は、町内会家族総親和のもとに朝見神社運動場で午前十時から華々しく開催された。一同神前に新建日本の前途を寿ぎ、町内会長はじめ隣組長、婦人会、青年会、少年団の各代表が民主的に一席弁じたのち、少女組の「平和の使者」を皮切りに、新日本建設、天皇と国民、武装解除、男女平等、衆議院、参議院など新憲法の香り豊かな競技が十数番、興味深く繰りひろげられた。最後に総踊りの賑やかなところを見せて閉会、出場の少年少女全部に賞品を贈るなど、幼い者を中心の極めて穏やかな集いであった。
[中津市]
よろこびの三日、中津市は秋晴れの好天気に恵まれ、明治節、日曜とかさなったため、近隣の町村から映画と劇場に押し寄せる人の波でごったがえした。市内の慶祝行事は庁舎での記念祝賀式のほか、扇城高女における中津体連主催の排球・籠球大会が遠来の日出、四日市高女を交えて熱戦を展開したのをはじめ、午後一時から公園地能楽堂で文連主催の演能会が開かれ、舞囃子(加茂、屋島、羽衣)、連鼓、鞍馬天狗、能頼政、仕舞十七番、舞囃子紅葉狩、柳川などが豊かな菊の香りをこめて久しぶりに演じられ、工場街も鐘紡が運動会を催せば、富士紡が同好会大会と演芸大会を開いて終日賑わい抜く、憲法公布を寿ぐ中津市民の歓喜が秋空一杯に繰りひろげられた。
[東国東地方事務所]
日本憲法公布の日を迎え、東国東地方事務所は、午前九時祝賀記念式を挙げ、森所長から新憲法の精神に則る吏道刷新の訓示があった。郡内各学校では、十時からそれぞれ記念式を行い、校長の訓示が行われた。一般農家は、目下刈り取りの最盛期で仕事は休まなかったが、新憲法の民主精神をシッカリ心に抱いて、増産に熱汗を流した。また各町村や諸団体では記念造林などの事業を行っている。
[鶴崎町]鶴崎町内の各中等学校と国民学校では、三日午前九時から新憲法公布の記念式を挙げ、校長の訓話があって閉式。鶴崎中学校は引続き校庭で体育会を催したが、各校とも四日から九日まで農繁休暇をする。
[高田村]
大分郡高田村では、新憲法公布の三日午前六時各戸から一名が参加して村国民学校に集まって記念式を挙げ、新憲法の朗読に次いで、学校長、駐在巡査、村会議員代表の祝辞があり、万歳を奉唱して散会した。」
次回は、宮崎篇。
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以下は、【再録】の記事です。
2013年5月30日付
憲法便り#25 憲法公布記念シリーズ(第14回)「当時の大分県では」
「神話と伝説よ 左様なら」
今日は、『大分合同新聞』昭和21年11月3日付から四つの紙面を紹介します。
ひとつ目は、11月3日付二面の下半分に掲載されたふたつの祝賀広告。
「
民主日本の暁鐘 祝 新憲法公布」
この広告を出したのは、馬車、牛車、荷車の大量製作をしている大分市内の大分車輛工業株式会社。
「
平和国家建設 祝 新憲法公布」
これは、同じく大分市内にある大分鉄工株式会社による広告。
民主日本と平和国家建設が謳われています。
ふたつ目は、11月3日付三面の上半分に掲載された「新憲法 けふ華々しく公布」の記事。
「
神話と伝説よ 左様なら」「晴がまし
主権在民 よろこび胸に、けふの言葉」と題して、県民13人の顔写真入りで、談話を報じています。13人のうち、9人は女性です。これは、全国的にみても、当時としては珍しい紙面構成です。その女性たちの談話の見出しとお名前を紹介しましょう。この紙面は下半分まで続いており、皆さん、とても意欲的です。
「私ども婦人の夜明け」大分市婦人会長 山上アヤ子さん
「再建に微力を捧げる」大分市船頭町内第三班 井村ヨネさん
「希望に生き抜こう」第一高女教諭 藤沼恵さん
「権利の裏に義務あり」明星美容専門女塾長 貝沼梅子さん
「男性依存にお別れ」大分管理部 原口幸子さん
「多年の努力の成果」大分師範女子部本科二年 吉富シズ子さん
「忠実な実行者たろう」第一高女五年 吉原澄江さん
「はかり知れぬ慶びあり」豊州高女四年 安部八重子さん
「仲よく手をつないで」大分市春日町校六年 玉繁満池子さん
三つ目は、11月3日付三面の下半分。
「祝 民主日本の新憲法公布」と題した祝賀広告。
国立大分病院、国立別府病院、国立亀川病院と、三つの国立病院が揃っての意思表示です。
四つ目は、11月3日付四面下半分の祝賀広告です。
「祝 民主日本の新憲法公布」と題した、24の企業・団体・個人の祝賀広告がありますが、
これに目を奪われて見逃してはいけない祝賀広告が、最下段の右隅にあります。
「新憲法公布記念
祝賀 仮装大舞踏会」
「余興沢山あり、オールダンサー仮装でお相手!」
「お客様の仮装歓迎!」
これは、別府・北浜の「立花ダンスホール」が、11月3日夜に開催したもの。
庶民は、したたかです。
(画像の典拠は、4点とも、国立国会図書館所蔵マイクロ資料:請求記号YB-1796)
大分県には、湯布院や国東半島など訪ねてみたいところがありますが、まだその機会をもっていません。
大分県平和委員会の方からは何回もご注文をいただいたことはありますが、その他には、なかなか接点ができませんでした。
ところが、つい先日、いつもお世話になっている郵便局の局員の方のひとりが、大分県のご出身であることがわかりました。
このおかげで、大分県が、ぐっと身近かになったような気がしています。
以上は、【再録】の記事です。
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※平和憲法を守る闘いに寄与するため、昨年5月に下記の新著を緊急出版しました。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―
(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)
闘いは、まだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。
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