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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2015年 05月 31日

憲法便り#1019:第七章 「国権の発動」か「主権の発動」か (秘密会による修正案討議②

2015年5月31日(日)(憲法千話)

憲法便り#1019:第七章 (秘密会による修正案討議②)

前回まで
憲法便り#1019:第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による修正案討議)

第七章 憲法改正案委員小委員会での論議 (秘密会による、修正案討議)(p.106-107)
岩田注・この議事録は、50年間公開されなかった。私たちは幸いにして、現在、議事録を目にしているが、安倍政権が施行した秘密保護法は、最長60年とし、また、保存を義務化してはいない。したがって、このような検証も不可能となる。2015年5月31日)

憲法改正案第二章第九条の修正に関する論議は、第三囘、第四囘、第五回、第七回小委員会において集中的に行われた。

【第三回小委員会】七月二十七日(土曜日)
午前十時三十九分開議、午後四時十七分散会
出席委員一四名(全員)、政府委員一名


「国権の発動」か「主権の発動」か

芦田委員長 それでは、第二章に入ります。これも社会党の修正案から……

鈴木委員 これは私が出そうと思って居る内に、自由党から出されてしまったのですが、「国権の発動たる戦争」、こう直すように―これは法律的に「主権の発動たる戦争」というのは変なのです。

芦田委員長 どうも私共もこれを法律的に説明出来ませぬが、佐藤君、あなたの方が説明は正確だろうと思うのですが……

佐藤達夫政府委員 委員長以上のご説明は出来ませぬ。

芦田委員長 あなたの意見を一つ―国権とやる方が宜しいか、国の主権とやる方が宜しいか、鈴木君からのお話しも委員会に出て居る筈ですが……

鈴木委員 戦争に訴える権力の問題です……

佐藤政府委員 私の方の少くとも今日までの考えでは、国権として戴いた方が宜しくはないか、その意味で国の主権という言葉を使って居ります。

鈴木委員 国権という方が簡略で宜しい。

佐藤政府委員 前文の後ろの方に「自国の主権」ということがありまして、それとの関係を実は密かに心配して居りますので、これは皆様のお教えを仰ぎたいと思います。

鈴木委員 前文の方はあれで宜しいが、大綱で独立性という言葉を意味して居るのですから、それこそ主権ということばを使うとすれば使える。こっちの方は戦争ですから、国権の発動です。何も一つの言葉を使っていけないということはないでしょう。統治権という言葉を使うか使わぬかということは、別の問題になります。それから社会党は、この総則の方へ持って来るならば、いま一条平和愛好国であるというようなことを出したいと思った。日本国は平和を愛好し、国際信義を重んずる―これは法律に直すにはかなり難しい技術を要しますが、これは道義的の規定になりますから、ほかにも道義的の規定は沢山ありますけれども、その趣旨は前文に出ておりますから、無理にそういう一条を設け、或いはこの前に出すことはないと思います。強いて固執は致しませぬが、皆さんのご意見を伺います。ただ戦争をしない、軍備をみな棄てるということは、ちょっと泣き言のような消極的な印象を与えるから、先ず平和を愛好するのだということを宣言しておいて、その次にこの条文を入れようじゃないか、そういうことを申し出た趣旨なのであります。

【憲法便り#1020: 「戦争の放棄」か、「戦争の否認」か、へと続く。

by kenpou-dayori | 2015-05-31 11:20 | 自著連載


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