2015年9月26日(土)(憲法千話)
憲法便り#1408:「玉音」に 無言の母の 仁王立ち(母の64回忌に捧げる一句)
昭和20年(1945年)8月15日正午に、日本の敗戦を告げる、「玉音」放送が流れた。
マスコミの報道では、一億臣民(しんみん)が慟哭(どうこく)したように扱われることが多い。
だが、それは違う。
私は、この時、3歳の誕生日を迎える直前のことで、その光景の記憶はないが、
4歳年上の姉の話によれば、母は、子供たちをラジオの前に並ばせた。
「玉音」放送が始まった時、母は、涙も流さず、怒ったようなこわい顔をして、立っていた。
私たち家族は、昭和20年3月の東京大空襲のあと、母方の親戚を頼って福島に疎開し、最初は小高、次に小名浜でお世話になっていた。
だが、小名浜で、米軍の爆撃にあい、親戚の母屋も、離れも、衣類も食料も、すべてを失った。
一斗缶(いっとかん)に入れてあった米は、真っ黒な炭になっていた。
それを見て、母は「あーあ、みんな炭になっちゃった」と言って、立ちつくしていたという。
私は、「玉音」を聞いた時の、母の「仁王立ち」は、為政者への怒りだったと思っている。
だから、安倍政権の戦争政策は、絶対に許せない。
私は、「9・19を忘れない」。