2015年10月13日(火)(憲法世話)
憲法便り1442:自公が行った9月17日の参院特別委議事録の追記と「付帯決議」は歴史の捏造だ!
自公両党は、9・17の強行採決を行い、さらに、聴取不能な部分に追記を行い、「付帯決議」なるものものまで、議事録に追記した。
これは、議事録の捏造であり、歴史の捏造である。
その捏造がいかなるものであるかを、参議院のホームページから、そのまま引き写し、紹介しておこう。
【強行採決に至る直前の議事録】
○理事(佐藤正久君) 山本委員に申し上げます。
理事会協議で、討論は常識の範囲となっております。かなり時間が経過しておりますので、討論を取りまとめをよろしくお願いします。
○山本太郎君 済みません、まだまだ言いたいことがたくさんあったんです。まとめた方がいいっていうことですね。(発言する者あり)ありがとうございます、本当に。そうですね、自分の中でスケジュールがあったので、なかなか急にまとめろと言われましても、もう少しお時間をいただけますかね、これ。(発言する者あり)分かりました。じゃ、終わりにした方がいいですよね、分かりました。
じゃ、最後に言わせてください。
私たちは、もちろん、今回のお話は鴻池委員長に対する動議、それに賛成をするという話で私は話を始めております。けれども、やはり、その内容の振り返りも含めた上でのお話ということが、いかに自由な発言を認めてくださっていた鴻池委員長が今このような不穏な動きをされたというのは、圧力掛かっているんじゃないかなって思うんですよ。汚い仕事をさせないでいただきたいんです。正々堂々と公平公正な委員長としての審議をされていた鴻池委員長に対して、私たちは、日本の安全保障に関する対案となる政策も主張していかなければならないと思います。当然です。
日本の領域に対する急迫不正の侵害に対しては、従来どおり、個別的自衛権、日米安保、もちろん安保の内容や地位協定の改定の必要はあると思いますが、それで対処できます、従来どおり。尖閣、小笠原、東シナ海の中国漁船等については、海上保安庁の能力を一段と高め、自衛隊はそれをサポートすべきだと。南シナ海に対しては、軍事力ではなく外交力で対処すべきだと。安倍政権が一番弱い部分ですよね。ASEAN諸国と連携し、APECの枠組みで海上輸送路の安全を確保すべきだと。中国に国際法に違反するような行為があったとするならば、中国、中国という名前がよく政府から出てくるのであえて中国と言いますが、APECやG7などとも協力して経済制裁をすることが一番の道じゃないかと。
もう武力で緊張状態をつくる時代じゃないんですよ。それをやって傷つくのは、この国に生きる人々、そしてその相手国の人々。中国を見れば分かるじゃないですか。アジアの輸出どれぐらいですか、五六%、輸入は五一%。経済連携によって一歩踏み外すことを止めることはできますよね。外交力です。(発言する者あり)はい、分かりました。
それでは、そろそろまとめに入りたいと思います。
このような私の自由な発言に対しましても、鴻池委員長は私にたくさんのチャンスをくださった方。でもやはり、まだ会期が残っているにもかかわらず、この法案を途中で切り上げて、そして数の力で押し切ろうという姿は、たとえ鴻池委員長であっても、私はこの動議に賛成する以外にない、断腸の思いで私の不信任動議に対する賛成討論を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○理事(佐藤正久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員長鴻池祥肇君不信任の動議に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕
○理事(佐藤正久君) 起立少数と認めます。よって、本動議は賛成少数により否決されました。
鴻池委員長の復席を願います。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
○委員長(鴻池祥肇君) ……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
〔委員長退席〕
午後四時三十六分
────・────
【自民・公明両党が勝手に追記した部分】
本日の本委員会における委員長(鴻池祥肇君
)復席の後の議事経過は、次のとおりである。
速記を開始し、
○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保
に資するための自衛隊法等の一部を改正す
る法律案(閣法第七二号)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実
施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活
動等に関する法律案(閣法第七三号)
○武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊
法等の一部を改正する法律案(参第一六号
)
○在外邦人の警護等を実施するための自衛隊
法の一部を改正する法律案(参第一七号)
○合衆国軍隊に対する物品又は役務の提供の
拡充等のための自衛隊法の一部を改正する
法律案(参第一八号)
○国外犯の処罰規定を整備するための自衛隊
法の一部を改正する法律案(参第一九号)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実
施する人道復興支援活動等に関する法律案
(参第二〇号)
○国際連合平和維持活動等に対する協力に関
する法律の一部を改正する法律案(参第二
三号)
○周辺事態に際して我が国の平和及び安全を
確保するための措置に関する法律及び周辺
事態に際して実施する船舶検査活動に関す
る法律の一部を改正する法律案(参第二四
号)
右九案を議題とし、
○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保
に資するための自衛隊法等の一部を改正す
る法律案(閣法第七二号)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実
施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活
動等に関する法律案(閣法第七三号)
右両案の質疑を終局した後、いずれも可
決すべきものと決定した。
なお、両案について附帯決議を行った。
─────・─────
【付帯決議】なるもの!
我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律
案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活
動等に関する法律案に対する附帯決議
平成二十七年九月十七日
参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
日本国憲法の下、我が国の戦後七十年の平和国家の歩みは不変であった。これを確固たるものとするた
め、二度と戦争の惨禍を繰り返さないという不戦の誓いを将来にわたって守り続けなければならない。
その上で、我が国は国連憲章その他の国際法規を遵守し、積極的な外交を通じて、平和を守るとともに、
国際社会の平和及び安全に我が国としても積極的な役割を果たしていく必要がある。
その際、防衛政策の基本方針を堅持し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならないことを改めて
確認する。さらに、両法律、すなわち平和安全法制の運用には国会が十全に関与し、国会による民主的統
制としての機能を果たす必要がある。
このような基本的な認識の下、政府は、両法律の施行に当たり、次の事項に万全を期すべきである。
一、存立危機事態の認定に係る新三要件の該当性を判断するに当たっては、第一要件にいう「我が国の存
立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」とは、「国
民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況」であること
に鑑み、攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、その規模、態様、推移などの要素を総合的に考慮して、
我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険など我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民がこう
むることとなる犠牲の深刻性、重大性などから判断することに十分留意しつつ、これを行うこと。
さらに存立危機事態の認定は、武力攻撃を受けた国の要請又は同意があることを前提とすること。ま
た、重要影響事態において他国を支援する場合には、当該他国の要請を前提とすること。
二、存立危機事態に該当するが、武力攻撃事態等に該当しない例外的な場合における防衛出動の国会承認
については、例外なく事前承認を求めること。
現在の安全保障環境を踏まえれば、存立危機事態に該当するような状況は、同時に武力攻撃事態等に
も該当することがほとんどで、存立危機事態と武力攻撃事態等が重ならない場合は、極めて例外である。
三、平和安全法制に基づく自衛隊の活動については、国会による民主的統制を確保するものとし、重要影
響事態においては国民の生死に関わる極めて限定的な場合を除いて国会の事前承認を求めること。
また、PKO派遣において、駆け付け警護を行った場合には、速やかに国会に報告すること。
四、平和安全法制に基づく自衛隊の活動について、国会がその承認をするに当たって国会がその期間を限
定した場合において、当該期間を超えて引き続き活動を行おうとするときは、改めて国会の承認を求め
ること。
また、政府が国会承認を求めるに当たっては、情報開示と丁寧な説明をすること。また、当該自衛隊
の活動の終了後において、法律に定められた国会報告を行うに際し、当該活動に対する国内外、現地の
評価も含めて、丁寧に説明すること。
また、当該自衛隊の活動について百八十日ごとに国会に報告を行うこと。
五、国会が自衛隊の活動の終了を決議したときには、法律に規定がある場合と同様、政府はこれを尊重し、
速やかにその終了措置をとること。
六、国際平和支援法及び重要影響事態法の「実施区域」については、現地の状況を適切に考慮し、自衛隊
が安全かつ円滑に活動できるよう、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生し
ないと見込まれる場所を指定すること。
七、「弾薬の提供」は、緊急の必要性が極めて高い状況下にのみ想定されるものであり、拳銃、小銃、機
関銃などの他国部隊の要員等の生命・身体を保護するために使用される弾薬の提供に限ること。
八、我が国が非核三原則を堅持し、NPT条約、生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約等を批准している
ことに鑑み、核兵器、生物兵器、化学兵器といった大量破壊兵器や、クラスター弾、劣化ウラン弾の輸
送は行わないこと。
九、なお、平和安全法制に基づく自衛隊の活動の継続中及び活動終了後において、常時監視及び事後検証
のため、適時適切に所管の委員会等で審査を行うこと。
さらに、平和安全法制に基づく自衛隊の活動に対する常時監視及び事後検証のための国会の組織の在
り方、重要影響事態及びPKO派遣の国会関与の強化については、両法成立後、各党間で検討を行い、
結論を得ること。
右決議する