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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2016年 04月 05日

憲法便り#1662:【連載:外務省と第九条シリーズ】国連への加盟申請書

2016年4月5日(火)(憲法千話)

憲法便り#1662:【連載:外務省と第九条シリーズ】国連への加盟申請書

2008年に刊行した拙著『検証・憲法第九条の誕生』(第五版)に収録した、国際連合への加盟申請書を掲載します。

(国立国会図書館憲政資料室所蔵外交記録
「第八回公開」マイクロフィルムより)

「国際連合への加盟申請書」(英文は省略)
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、日本国が国際連合憲章第四條(注1)に従って国際連合への加盟を申請する旨申し述べる光栄を有します。
千九百五十一年九月八日にサンフランシスコで署名された日本国との平和條約は、千九百五十二年四月二十八日から効力を生じ、日本国は、独立国として、国際の友好関係に復帰しました。
この條約の前文(注2)において、とりわけ、「日本国としては国際連合への加盟を申請し且つあらゆる場合に国際連合憲章の原則を遵守する意思を宣言する」こと及び「連合国は、日本の意思を歓迎する」ことが述べられています。
日本国民は、国際連合の事業に参加し且つ憲章の目的及び原則をみずからの行動の指針とすることを熱望しています。日本国民の間には、諸国間における平和及び協力を助長しようとする国際連合の目的に対し、挙国的な共感がみなぎっています。よって日本国政府は、国際連合への加盟を熱意をもって申請するものであり、また、国際連合の加盟国としての義務を、その有するすべての手段をもって、履行することを約束するものであります。
このような事情の下に、本大臣は、閣下に対し、日本国のこの申請に対し、国際連合の権限を有する機関による妥当な審議が行われるため必要な措置が執られるよう要請する光栄を有します。
日本国政府が国際連合憲章に掲げられた義務を受諾する旨の公式宣言をここに同封いたします。
以上を申し進めるに際しまして、本大臣は、ここに閣下に向って敬意を表します。
昭和二十七年六月十六日 東京において
日本国外務大臣 岡崎勝男
国際連合事務総長 トリグヴェ・リー閣下

宣 言
日本国政府から正当な権限を与えられて、外務大臣岡崎勝男は、日本国が、国際連合憲章に掲げられた義務をここに受諾し、且つ、日本国が国際連合の加盟国となる日から、その有するすべての手段をもって、この義務を遵奉することを約束するものであることを声明する。
昭和二十七年六月十六日 東京において
日本国外務大臣 岡崎勝男
(英文)
Declaration
Tokyo, June 16, 1952
I. Katsuo Okazaki, Minister for Foreign Affairs, having been duly authorized by the Japanese Government, state that the Government of Japan hereby accepts the obligations contained in the Charter of the United Nations, and undertakes to honour them, by all means at its disposal, from the day when Japan becomes a Member of the United Nations.
(Signed) Katsuo Okazaki
Minister for Foreign Affairs of Japan

(注1)国際連合憲章第四条
一、 国際連合における加盟国の地位は、この憲章に掲げる義務を受諾し、且つ、この機構によってこの義務を履行する能力及び意思があると認められる他のすべての平和愛好国に解放されている。
二、前記の国が国際連合加盟国となることの承認は、安全保障委員会の勧告に基いて、総会の決定によって行われる。
(注2)日本国との平和条約(前文)
連合国及び日本国は、両者の関係が、今後、共通の福祉を増進し且つ国際の平和及び安全を維持するために主権を有する対等のものとして友好的な連携の下に協力する国家の間の関係でなければならないことを決意し、よって、両者の間の戦争状態の存在の結果として今なお未決である問題を解決する平和条約を締結をすることを希望するので、
日本国としては、国際連合への加盟を申請し且つあらゆる場合に国際連合憲章の原則を遵守し、世界人権宣言の目的を実現するために努力し、国際連合憲章第五十五条(注3)及び第五十六条(注4)に定められ且つ既に降伏後の日本国の法制によって作られはじめた安定及び福祉の条件を日本国内に創造するために努力し、並びに公私の貿易及び通商において国際的に承認された公正な慣行に従う意思を宣言するので、
連合国は、前項に掲げた日本国の意思を歓迎するので、
よって、連合国及び日本国は、この平和条約を締結することを決定し、これに応じて下名の全権委員を任命した。これらの全権委員は、その全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次の規定を協定した。
(注3)国際連合憲章第五十五条
人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の平和的且つ友好的関係に必要な安定および福祉の条件を創造するために、国際連合は、次のことを促進しなければならない。
a 一層高い生活水準、完全雇用並びに経済的及び社会的の進歩及び発展の条件
b 経済的、社会的及び保健的国際問題と関係国際問題の解決並びに文化的及び教育的国際協力
c 人種、性、言語又は宗教による差別のないすべての者のための人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守
(注4)国際連合憲章第五十六条
すべての加盟国は、第五十五条に掲げる目的を達成するために、この機構と協力して、共同及び個別の行動をとることを誓約する。

by kenpou-dayori | 2016-04-05 18:23 | 外務省と第九条


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