【高知新聞】公布記念(十一月四日付四面より)「民主日本の歩み 歓呼に沸る巷の表情」新憲法公布の日、三日は秋色酣(たけなわ)なる県下各地で記念式が挙行され、講演会、運動会をはじめ、演芸会、バザーなど多彩な記念行事が盛大に繰りひろげられた。三味線、太鼓で市中を練り歩く山車や仮装行列などは、戦争中見ることが出来なかっただけに、復興する平和の街に絢爛たる異彩を放ち、夥しい観衆を集めた。以下は県下各方面で行われた記念行事。
[県庁]県庁では午前九時から西村新知事以下全庁員参列のうえ、明治節奉祝式並びに新憲法公布記念式を挙行し、西村知事の奉祝の辞があって、同九時二十分閉式。
[高知]「刑務所で演芸大会」高知刑務所で恩赦令の恩典に浴したのは、同所収容中の既決囚七百四十名のうち約六割の四百八十余名。同所では、午前十時恩赦の詔書奉読に引続き、受刑者中の素人演芸会を開催した。出演希望者は五十余名に上り、一人五分以内の制限付きで出演した。
[中村町]戸毎に日の丸を掲げ、午前九時から同町国民学校校庭で町民運動会を開催、また中村中学講堂で記念大講演会を、午後四時頃からは青年団の奉仕による山車が繰り出し、歓声と囃子の音は秋空に轟き非常な賑わいで、夜間は仮装行列、芸能大会、提燈行列と盛り沢山な行事が深更まで続き、全町が祝賀の喜びに浸った。
[宿毛]宿毛町では、午前九時宿毛国民学校で町民記念式を挙行、同十時から国民学校児童、十一時から宿毛公園で町民大運動会が行われ、夜間は天満座で芸能会、また中村高女宿毛分校では慶祝バザーを開くなど、昼夜にわたってこの日の喜びを讃えた。
[須崎町]須崎小学校校庭で記念須崎町民運動会を開催、応援団がのりこみ非常に盛況で、夜間は講演会があり、また町青年団や学童よりなる芸能大会が繰りひろげられ、町をあげて賑わった。
[美良布村]男女青年団の体育大会を挙行した。
[槇山村]村民大会を開催、公布精神の徹底に意義ある一日をすごした。
[西豊栄村]仮装行列で村民をわかせる一方、村民体育大会には青年団対抗リレーあり、祝賀式、記念講演会をひらいた。
[夜須町]各町内会の常会を開いて、新憲法精神普及の真意を期し、講演を行った。
[安芸町]全戸国旗を掲げて慶祝の真意を示し、午後一時からマラソン競争、仮装行列をはじめ、山車と伊尾木、川北方面からの仮装隊も加わってにぎにぎしく町内を練り歩き、意義ある記念日を祝い、夜は六時から第一国民学校で記念講演会が行われた。
[学園の多彩な行事]市内各学校では記念式を挙行、憲法解説などののちそれぞれの意義ある行事を行った。城東中学、海南中学では運動会を開き、土佐中学で展覧会、校内野球大会、工業は職員生徒対抗野球戦を行ったが、高知高女では万余点出品のバザーと妙技に父兄を感嘆させた演劇など、南海高女では分校も参加して運動会とバザーがあり、中村高女は生徒の第二回意見発表会に引続き座談会及び対話劇を上演した。土佐高女では自由研究表彰式を挙行したほか、第四国民学校の音楽会などが行われた。
[高知新聞社主催行事]「改正憲法公布記念マラソン競争」〔日時〕十一月十日午前十一時(雨天でも決行)
〔コース〕高知市(正庁前―電車通りに沿い知寄町を経て葛島)―大津―後免―赤岡(警察署から二百米二二東)往復二十六マイル四分の一(オリンピック正式距離)
〔資格〕一般、学生、青年男子、年齢不問(
ただしオリンピック規定により、脚力及び体力をもって職業とせる者は除く、例えば職業力士、車夫など)〔申込締切〕十一月七日。
昭和21年11月4日付『高知新聞』四面上
(画像の典拠は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料:請求記号YB-38)
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下記の囲碁大会について、見落としており、拙著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』に含めていなかったので、ここで、加筆致します。【公布記念 県下囲碁大会】本社主催県下囲碁大会は三日午前九時から市大川筋囲碁研究所で開かれたが、県下の碁士多数が集まり、刈谷数雄四段が審判長となり、烏鷺を戦わし盛会を極めた。(写真はその現場)
昭和21年11月4日付『高知新聞』四面下
(画像の典拠は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料:請求記号YB-38)
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【施行記念】(五月十日付二面より)昭和二十二年五月十一日、高知市で新憲法施行記念行事として、
「辻 久子 ヴァイオリン独奏」が開催された。伴奏は東照子。
主催 高知音楽連盟第一回講演会
日時 五月十一日午後七時
場所 リベラル劇場 会員入場無料 臨時会員券三十円
曲目は、バッハ作曲シャコンヌ(無伴奏)、ビュータン(ヴュータン)バイオリン作曲協奏曲第四番、サラサーテ小品曲集、パガニーニ作曲カプリス第二十四番」
*次回は、福岡篇。
※平和憲法を守る闘いに寄与するため、2014年5月に下記の新著を緊急出版しました。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)
闘いは、まだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。
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