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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2017年 09月 03日

憲法便り#2155:シリーズ『日本国憲法公布、その日、あなたの故郷では、No.45: 佐賀篇』

2017年9月3日(日)(憲法千話)

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憲法便り#2155:シリーズ『日本国憲法公布、その日、あなたの故郷では、No.45: 佐賀篇』

(まずは、再録です)

*いま、加筆作業を準備中です。12月23日には、増補・改訂版を一気に掲載します。

以下の記事は、大まかすぎるので、『心踊る平和憲法誕生の時代』、および同書の改題・補訂第二版『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』の第四部には含めませんでしたが、ここで、各都市の中で、該当する部分を紹介しておきます。
【西日本新聞】公布記念(十一月三日付三面より)
「花電車や仮装行列 絢爛 西日本に展く慶祝プロ」
「歓喜沸く新しき出発」 
「平和日本のかどで、民主憲法公布のきょう三日ー西日本各地はいま新しき”くにのあゆみ”に寄する慶祝と歓喜にはち切れそうだ。この日各県各地とも奉祝式典のあとをうけ、それぞれ秘策の慶祝プロにうつり、忍従と屈辱の歴史をかなぐりすてる。
花電車や花トラックが飛び出し、仮装行列が歓喜の街々(まちまち)をねり歩き、きょう西日本の秋空はうちあげられる慶祝の花火にこだまし続けて、久方振りにみる灯の波、旗の波の復活だ。いま各地から洩れきこえる興奮の慶祝プロを綴っておくる。
(以下、[福岡] [佐賀] [大分] [熊本] [長崎] [鹿児島]と各県の行事予定が簡単に紹介されていますが、ここでは、「佐賀」の部分を掲載します。)
【佐賀県】
「この佳き日に自治功労者百三十名を表彰するほか各地とも運動会、秋祭りを織込んで多彩な行事をおくる。また県ではまる一ヶ月米なし生活を送った消費者層にこの喜びをわかつため、県下の生産農家に新米の早期供出を懇請、二日中に一日一人二合宛の慶祝新米配給を開始する。」


以下は、岩田行雄編著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』第四部より

【佐賀新聞】公布記念(十一月四日付二面より)
「街も村も慶祝と歓喜に溢る」新憲法公布のきのう三日、日本民主化に画期的な巨歩を踏み出すこの佳き日を讃頌す。慶祝記念行事は県下一圓を歓喜の色に塗りつぶして絢爛、華麗の絵巻を繰り展げた。佐賀駅前、県庁前に建てられたみどりの大奉祝アーチは、菊花とともにその喜びを表徴するかのようにクッキリと秋空に映え、全県津々浦々に至るまでそれぞれ趣巧を凝らし式典に、スポーツに、講演会に九十万県民はあげて明るい希望と歓喜に湧いた。
[佳日に晴れの表彰 地方自治功労者その他]地方自治功労者永年勤続勤労者、県政功労者表彰式は三日午前九時から県議事堂で行われたが、永年に亘り県政に関する報道に貢献した本社記者金子政吉氏、西日本新聞大石今朝六氏も県政功労者として表彰を受けた。受賞者は次の通り(氏名は省略)〔地方自治功労者〕佐賀郡十二名、神埼郡四名、三養基郡七名、小城郡十三名、東松浦郡十六名、西松浦郡十三名、杵島郡十一名、藤津郡十一名、佐賀市二名、唐津市二名 〔永年勤続者〕三十名 〔県政功労者〕七名 〔勤労献功彰伝達〕一名。

[県庁]
「躍り出た仮装行列 記念祝典や庁員運動会」菊花香るこの日の喜びを胸にふるわせながら、まず午前八時から庁員全部の記念祝典が議事堂で行われたのを皮切りに、九時半から同じく議事堂で県政功労者、自治功労者、永年勤続者百三十余名の表彰式を挙行、武下知事代理の挨拶、中尾本社会長の祝辞等行われ、午前十時半閉式、一方庁員運動会は早くも午前八時から秋陽をグランドいっぱいに浴びた成美高女で開催され、日頃の繁忙な事務を頭から忘れ去って男女職員総出場、百足競争、スプーンレース、抽籤競争等……なかでも呼び物は各課秘策の仮装行列に珍装、珍芸で多数の見物人を爆笑の渦に巻き込んだ。なお、この日を祝って心づくしの白米二合と祝賀酒が配給され、県下は挙げて祝賀一色に塗りつぶされた。
[佐賀市]
「茶樹を植えて 記念式典や講演会」菊かおる佳き日を迎えて、佐賀市の県庁、市役所、警察署、学校はじめ各官公署はそれぞれ午前九時から記念式典を挙行したが、市主催の記念式典は三日午前九時から公会堂で市職員、市会議員、町内会長、警防団長、学校長など市政関係者をはじめ、一般市民多数参列して詔書奉読、万歳三唱したのち、引続き佐高教官糸川勇次郎氏の記念講演会を聞いた。市当局ではこの佳き日を永久に記念するために、玄関前に金木犀、庁舎西に茶樹の植樹を行ったほか、この日本社主催市内青年団体育祭(循誘)、全九州高校陸上競技(九時から、佐高)、県庁職員運動会(成美)など各種スポーツが花と咲いた。
[復興体育祭]
「熱と意気の敢闘譜 賑わった復興体育祭」本社並びに佐賀市連合青年団共催の復興体育祭は、秋晴れの天気に恵まれ、三日午前八時から佐賀市循誘国民学校グランドに市内男女一万余の団員が参集して華々しく開幕。佳き日を寿ぐ若人たちは青空のもと清澄な秋の大気を胸一杯に吸ってそれぞれの力の限りを尽して、熱と意気の敢闘譜を繰りひろげた。(開会式と競技成績は略)
[藤津郡]
鹿島町では午前十一時から役場で記念式を挙行、続いて記念植樹を行った。各家庭でも記念に柿、蜜柑、茶などを植えた。また、鹿島中学では創立五十周年を兼ね記念体育会を午前八時半から行った。記念講演は四日午前十時から行う。
[小城町]
町役場では午前九時から全吏員参集して記念式を挙行、城島主事の解説等あり、その後桜岡国民学校で町民体育大会を開き、町内各種会社、団体継走リレー、青年団の仮装行列など多彩なプログラムで賑わった。一方、青年学校では佐賀師範首藤教官を迎えて新憲法講演会、そのほか小城町役場では記念事業として天山山麓に本年度四町歩、来年度二十町歩の植林を行う。農家では今日あたり稲刈りの最盛期であるため、特別行事はなかったが、午前九時を期して田園から祝福して、供米完遂の力強い表現が見られた。
[東松浦]
「山笠も繰出す」
▲東松浦郡有浦村では三日午後二時から同役場階上会議室で記念式を行い、引続き村民一同の祝賀会を催した。
▲呼子町では午前十時から同町国民学校で記念式典を挙行、つづいて正午から各町内区に飾られた山笠を繰り出し、全町を挙げてこの佳き日を奉祝併せて、豊作豊漁を祝福した。
▲相知町は町民記念祝典を午前九時から町内公会堂に挙行、一般農家は供米の完遂こそ何よりの祝だと、刈り取りに励みながら、同時刻を期して心からなる祝をした。
▲長(?)島岩屋炭鉱は、三日の新憲法公布記念日は第三十四回創立記念日にあたるので、当日午前九時から山神社の秋祭に引続き、岩屋国民学校で記念祝典勤続者表彰式を行い、午後は鉱内対抗相撲大会などの記念行事を催した。
[唐津]
「体育絵巻繰り展ぐ」唐津市はこの佳き日を記念するため、奉祝絵巻を繰り展げた。
▲松浦体育協会では、陸の祭典として本社唐津支社後援のもとに、第一回陸上競技選手権大会を唐津青年学校で午前九時から体育絵巻を展開したが、出場選手は初中学校、一般など約二百名で盛会を極めた。
▲一方市役所では、午前八時半から唐津国民学校郊外運動場に市吏員参集し式典を挙げ、引続き十時から吏員の体育大会を開いた。なお、初中等学校は明治節祭と新憲法発布を兼ねて、午前八時から各校一斉に全生徒に対し憲法発布についての講演を行い、終って松浦体協主催の第一回陸上競技選手権大会にのぞんだ。
▲さらに唐津文化□は、午後一時から武徳殿で青年男女の弁論大会を開き、このほか官公署、会社、一般市民は民主日本再建の首途を祝って、明朗な喜色を市内一圓に漂わせた。
[西松浦]
「体育大会や演芸会で賑わう」△西松浦地方事務所では、午前十時から官民多数参列の下に記念式を挙行するとともに、伊万里第一国民学校で午前十時から佐賀師範中野効四郎氏を招き講演会を開いた。
▲伊万里中学では、午前八時から記念体育大会を開き、陸上競技のほか、伊万里川でボートレースを催し、伊万里高女でも運動会を開いた。
▲また、民間では小岩炭鉱、同出(?)炭鉱、国見炭鉱等で復興祭をかねて、演芸大会を催すなど、各方面でそれぞれ民主日本の新しい首途を祝福する行事を行った。
[杵島]
▲武雄町の憲法発布祝賀式典は自治功労者の表彰式を兼ね、三日午前九時半から武雄国民学校講堂で挙行、式後佐高和仁教官から憲法問題について講演があった。なお、自治功労者として表彰者されたのは二十二名(氏名は省略)。
▲北方町西杵炭鉱では、復興祭を兼ね、三日午前九時から祝賀行事を挙行、午前九時から運動場で相撲、午後一時から仮設会館で演芸を催したほか、武雄まで往復の駅伝競走、鉱員倶楽部における書、画、生花の展覧会などがあった。また武雄中学校でも、午前九時から体育大会を挙行した。
[神埼]
「学校で講演会」
▲神崎町では、午前十時から国民学校講堂で式典を挙行ののち、県教学課納富視学官の“新憲法について”の講演会を開いた。
▲神埼農学校では午前九時から挙式、田淵校長の話についで、青木教官の新憲法についての講演があった。なお、校庭に記念植樹を行った。
▲神埼高女では、午前九時挙式、森川校長の話があって吉村教官の憲法と時代精神と題する講演があり、生徒の演説に移り、乙女の意気と喜びを発表した。
▲神埼郡下の各国民学校では午前九時からそれぞれ挙式、学校長やその他の先生の話があり、記念植樹を行った。」

*次回は、長崎篇。

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以下は、【再録】です。

2013年5月27日付
憲法便り#22 憲法公布記念シリーズ(第11回)「当時の佐賀県では」

今日は、『佐賀新聞』昭和21年11月3日から三つ、11月4日からひとつの紙面を紹介します。

『佐賀新聞』を調べる以前は、佐賀県との関連で思い出すのは、
早稲田大学創設者大隈重信さんの出身県、
唐津港、
伊万里焼、
吉野ヶ里遺跡、
熱気球大会、
と限られたものでした。

しかしながら、昭和21年11月3日の憲法公布記念日前後を調べているうちに、印象は一変しました。

公布当日、県内各地での記念行事は、とても活発でした。
憲法公布祝賀広告にも、各界からの平和日本再建、民主日本再建、復興への意欲が明確に打ち出されています。

それらを、以下の四つの紙面で紹介します。

ひとつ目は、昭和21年11月3日一面下の祝賀広告です。
「祝 新憲法発布 平和日本再建」の見出しの下に、各官署、学校等の名称が列記されています。

佐賀県庁、
佐賀市役所 職員一同、
佐賀地方裁判所長、
佐賀地方裁判所検事正、
佐賀高等学校長、
内務省佐賀国道改良事務所長・兼 鳥栖国道改良事務所長、
農林省 佐賀食糧事務所長、
佐賀警察署長、
佐賀郵便局長、
佐賀専売局長、
佐賀少年刑務所長、
佐賀県町村会長一同、
佐賀郡市中等学校 校長会、
佐賀市会議員一同。
個人名は省略しましたが、実にさまざまな人たちが意思表示をしています。

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ふたつ目は、昭和21年11月3日二面に掲載された、浦崎造船所単独での祝賀広告です。
「祝 憲法発布」「生産再開へ 一路驀進」という言葉の他に、船を建造中のイラストがあります。

「造船従業員 大募集」「採用人員 二〇〇名」とありますが、職種が興味深い。
木型工、鋳型工、熔解工、混砂工、旋盤工、
組立工、管工、製罐工、罫書工、撓鉄工、
電気瓦斯溶接工、組合工、取付工、船台木工、
鋲打工、鍛工、仕上工、銅工、塗装工、
船具工、木工、穿孔工。
船の建造が、多くの技術の共同作業であったことが判ります。

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三つ目は、昭和21年11月3日四面の、光り輝く国会議事堂と鳳凰のイラストを配した、「新憲法制定 民主日本再建」の祝賀広告です。
唐津市と東松浦郡の企業、および唐津市会議員30人の名前が連なっています。
それらの中に、時代を感じさせる「貝島炭礦株式会社 岩屋炭礦」の名前があります。
「唐津酒造界 東ノ木屋、古屋、酒井屋」とあるのも、日本酒ファンの私には気になるところです。

上の段には、「歌劇座、蓬莱座、大正座」が連名で出した「新憲法発布記念大興行」の広告。
祝賀広告とはなっていないが、その右隣に、「大日本相撲協会 東京大相撲 羽黒山、照国一行 百五十名一挙来演」とあり、さらに隣には、昭和館跡「平和劇場」の広告。この時代、各地の道路や橋、公園などにも「平和」という名称が付けられていました。

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四つ目は、昭和21年11月4日一面下の、佐賀県農業会による祝賀広告。
左に国会議事堂、右に鳩を配し、会長および4名の理事、常任監事、部長および室長11名の
名前が列記されています。

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(画像の典拠は、4点とも国立国会図書館所蔵マイクロ資料:請求記号YB-68)
佐賀県のみなさーん、私は、鳥取県と徳島県同様、佐賀県からもご注文をいただいたことがありません。よろしくお願いします。

明日は、長崎県です。

以上は、【再録】部分です。
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※平和憲法を守る闘いに寄与するため、2014年5月に下記の新著を緊急出版しました。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―

(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)
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闘いは、まだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。
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by kenpou-dayori | 2017-09-03 13:47 | 日本国憲法公布、その日、あなたの故郷では


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