(まずは、再録です)
*いま、加筆作業を準備中です。12月23日には、増補・改訂版を一気に掲載します。
以下の記事は、大まかすぎるので、『心踊る平和憲法誕生の時代』、および同書の改題・補訂第二版『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』の第四部には含めませんでしたが、ここで、各都市の中で、該当する部分を紹介しておきます。【西日本新聞】公布記念(十一月三日付三面より)「花電車や仮装行列 絢爛 西日本に展く慶祝プロ」「歓喜沸く新しき出発」 「平和日本のかどで、民主憲法公布のきょう三日ー西日本各地はいま新しき”くにのあゆみ”に寄する慶祝と歓喜にはち切れそうだ。この日各県各地とも奉祝式典のあとをうけ、それぞれ秘策の慶祝プロにうつり、忍従と屈辱の歴史をかなぐりすてる。
花電車や花トラックが飛び出し、仮装行列が歓喜の街々(まちまち)をねり歩き、きょう西日本の秋空はうちあげられる慶祝の花火にこだまし続けて、久方振りにみる灯の波、旗の波の復活だ。いま各地から洩れきこえる興奮の慶祝プロを綴っておくる。
(以下、[福岡] [佐賀] [大分] [熊本] [長崎] [鹿児島]と各県の行事予定が簡単に紹介されていますが、ここでは、「鹿児島」の部分を掲載します。)
【鹿児島県】鹿児島市長前、高見馬場、西駅前に大アーチと装飾塔が立ち、花電車二台が動きだす。
また、早朝から祝賀煙火(はなび)をうちあげ、市内各神社からお神輿(みこし)を繰り出し、官庁、会社、工場組合などから仮装行列数十組がどっと街頭へねり出し、祝賀絵巻を展(ひろ)げる。
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以下は、
岩田行雄編著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』第四部より
【南日本新聞】公布記念(十一月四日付二面より)「新憲法に湧きたつ佳節」新憲法公布の三日、鹿児島、宮崎両県下でも再建日本の門出を慶祝するいろいろの記念行事で賑わった。この日、風はあったが、前日の曇り模様を吹ッ飛ばして快晴、混迷の淵から立ち上がり、祖国の前途に輝かしい希望をみいだしたひとびとの面もはればれしく、両県下各官公署、学校、団体方面では午前九時を期して祝賀式典を挙行したのち、それぞれの記念行事にうつり、この日を厳粛なうちに南日本を慶祝一色の□□に塗りつぶした。
「南日本にえがく慶祝一色の朗景 各地歓びの行事に賑わう」[鹿児島市]この日、鹿児島市では本社と鹿児島市共催の祝賀行事で十八万市民を熱狂歓喜させた。まづ午前六時から本社屋上で“打上げ花火”を炸裂させて祝賀気分をあおり、同十一時から市庁前広場で祝賀式典が行われた。
勝目市長の開会挨拶についで、重成知事(代理中尾内務部長)、若松市連合青年団長、執印女連本部長らが祝辞を述べ、寺師本社取締役の閉会挨拶、岩元商議所設立準備委員長の発声で万歳を三唱して閉会。
引きつづき特設舞台で公開の芸能プログラムが繰りひろげられ、門鉄西工機部の『スクラム楽団』が調子を出したころ、東方電車道路から威勢のよい歌声をどよめかせながら、本社先導の仮装行列がやって来た。
一団は、鹿児島貨物自動車、名山掘自由市場、鹿児島青果、新上橋自由市場その他で、参加人員は約五百。色とりどりの仮装や山車、花車、“ワッショイワッショイ……”はずむ歌と踊りで、たちまちのうちに群衆の視聴を集め、特設舞台の人気をかッさらった形となり、おりからひッきりなしに紺碧の秋空に轟きわたる打上げ花火にまじって、アドバルーンがこれも本社屋上から舞いあがり、附近は黒山の人垣がつくられ、交通整理の警察官がサイドカーで混雑防止にあたっていた。なお、街頭演芸は、市庁のほか、照国神社、松原神社、文化劇場の四か所でも公開されて、これまた人気をよんだ。(写真は市庁庭の賑わいと、本社屋上からあげられたお祝いのアドバルーン)
昭和21年11月4日付『南日本新聞』二面
(画像の典拠は、国立国会図書館所蔵マイクロ資料:請求記号YBー152)
[鹿屋市]鹿屋市では、新憲法公布記念祝賀式を三日午前九時から挙行。田平助役が開式の挨拶を述べ、君が代合唱、永田市長の挨拶あって閉式。つづいて祝宴と祝賀運動会をひらき、民主日本の発足を祝福した。
[伊集院]伊集院地方では地方事務所をはじめ中学校、青年学校、国民学校、その他諸官公署ともに今日のよろこびを永久に記念する心からの式典を挙げ、終って運動会その他いろいろの催しがあった。
[伊佐郡]伊佐郡六ヶ町村では三日、記念式を挙行し、祝賀運動会などを催した。大口町でも青年学校で青年団主催の奉祝運動会が町民総出で行われた。また、大口中学、大口高女、伊佐農林、地方事務所などでも記念式を行ったが、□生工業大口製作所では四日、大口校で祝賀運動会を催す。
〔編集中記⑩〕講演などで訪れた地名を見ると、懐かしく思う。だが、ここではカサブランカについて述べたい。私は小学二年の頃から小遣いを貯めては、一人で洋画を見に行くほど映画が好きだった。『カサブランカ』を見てからは、いつかこの町に行ってみたいと思うようになっていた。その夢は、一九七八年の夏に実現した。当時はまだ健在だったイタリア共産党が主催する「海のウニタ祭」に家族三人で参加したのである。フィレンツェで妻・登美子の二十余年来のペンフレンドであるフランチェスカ一家との初対面を果し、ソ連船籍のタラス・シェフチェンコ号でジェノヴァを出港し、アルジェ、ジブラルタル海峡、タンジールを経て憧れのカサブランカに到着。早速下船してタクシーで町中を走りまわったが、見覚えのある景色がない。それもその筈で、この映画は第二次世界大戦中にアメリカで作られ作品だったのだ。
また『カサブランカ』を見た。ドイツ軍から逃れてアメリカ大陸に渡ろうとする人たちが多数いたが、中継点リスボンには簡単には入れない。そのため仏領カサブランカに辿り着き、運よく金でリスボンへの出国ビザが入手出来るのを待った。レジスタンス活動も行われている。日本が急速に右傾化している今、この映画を見ていると、ラブ・ストーリーというよりは、私自身がレジスタンスの活動家の一員のような錯覚をおぼえる。
だが、一九四七年五月に憲法施行記念観賞会でこの映画を見た徳島の人たちは、解放感を味わっていたことと思う。全編に流れる「時の過ぎゆくまま」は好きな曲だが、私が最も気に入っているのは、主人公リックが永遠の恋人イルザに向かって言う次のせりふである。
「君の瞳に乾杯!」
▲「日本国憲法公布、その日、あなたの故郷では」シリーズの道府県めぐりは、これで一応の完結です。
ただし、適宜、補訂記事を追加する予定です。。
▲▲
沖縄については、No.51の枠をとり、これまでの内容とは、まったく違った記事を考えています。
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以下は、【再録】の記事です。2013年5月29日
憲法便り#24 憲法公布記念シリーズ(第13回)「当時の鹿児島県では」
「歓呼の嵐に迎えられて けふ新憲法公布さる」「世紀の黎明!」今日は、『南日本新聞』昭和21年11月3日付および4日付の紙面から、四点を紹介します。
ひとつ目は、11月3日付一面の下半分に掲載された、祝賀広告の素晴らしい文章です。
鹿児島県と鹿児島市が共同で出したものです。文章は、右から左へ書かれています。
まずは、見出し。
「
世紀の黎明!」「
歓呼の嵐に迎えられて けふ新憲法公布さる」
次に、下記の四行の文章です。
*新日本建設の国民的念願による日本国憲法は茲(ここ)に公布された‼
*われわれは平和と文化を熱望する自覚と責任を深めなければならない
*新生日本の暁鐘は高らかに耳朶(じだ)に響く!
*いざわれら この新憲法の基盤の上に新日本を正しく強く築かん!
ふたつ目は、11月3日付二面の下半分に掲載された「祝
恒久平和の新憲法公布」の祝賀広告。
高山町、東串良町、鹿屋市、鹿児島市にある企業・団体、そして個人では衆議院議員、弁護士、鹿屋市長が名を連ねています。
二階堂進衆議院議員の名前もあります。
三つ目は、11月4日付二面の上半分。
「新憲法に湧きたつ佳節」「南日本にえがく慶祝一色の朗景 各地 歓びの行事に賑わう」の見出し。
そして、鹿児島市、鹿屋市、宮崎市、都城市、延岡市の様子が報じられている。
写真には、「市庁庭の賑わいと、南日本新聞社本社屋上からあげられたお祝いのアドバルーン」と説明されています。
アドバルーンの下には、「祝 新憲法公布」の文字があります。
四つ目は、11月4日付二面の下半分。
「祝 新憲法公布
復興は貯蓄から!」
これは、鹿児島の銀行7行が共同で出した祝賀広告です。
その斜め下に、
黒沢明監督作品『わが青春に悔なし』の広告が掲載されています。
上に、黒沢明監督作品『わが青春に悔なし』の広告以上は、【再録】の記事です。********************************************
※平和憲法を守る闘いに寄与するため、2014年5月に下記の新著を緊急出版しました。
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』
―押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論―(これは『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版です)
闘いは、まだこれからも続きます。「押し付け憲法」論、自主憲法制定論に対する闘いに、是非とも本書を活用していただきたい。
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