憲法便り#2273:岩田行雄編著『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』より、「第五部 新憲法祝賀広告・・・大企業からキャバレーまで、そして露天商の組合も!」の「北陸・東海地方」を転載しました!
第五部では、新憲法の公布と施行に際して、全国各紙に掲載された祝賀広告を取り上げる。
総件数は、一万二千件を超える。平和憲法への国民の意思表示である。これも地方紙を丹念に調べることによって初めて明らかにすることが出来る歴史的事実である。
東京で発行されている新聞は大企業中心の広告だが、地方紙では自治体首長、地方議員、団体、地元企業、商店、旅館、個人、さらには露天商組合等が広告主となった。警察署長、消防署長、税務署長、地方裁判所長、地方検察庁検事正の名前もあり、驚くほどの広がりがある。
祝賀広告の祝辞は、「祝 新憲法公布(施行)」など簡単なものから、左記のように期待と決意を表したものまで様々であり、これらの祝辞と共に企業、団体、個人、商品名等が示された。
十一月三日『北国毎日新聞』「主権在民を明文化 祝民主憲法の公布 戦争放棄を世界に宣言」
十一月三日『伊勢新聞』「平和新日本民主化の 奉祝 新憲法公布式典 意義ある十一月三日」
十一月四日『富山新聞』「再建日本の大憲章なる 日本憲法公布 永久平和国家建設」(昭和電工株式会社富山工場、保土谷化学工業株式会社富山工場の二社による祝賀広告)
十一月四日『福井新聞』二面:「新生日本の根幹 歴史的新憲法公布」
同 三面「新憲法公布 建てん平和日本 築かん民主日本」、同 四面「主権在民 戦争放棄 人権尊重の新日本憲法」
そして、極め付けは、鹿児島県と鹿児島市が共同で出した次の祝辞である。
十一月三日『南日本新聞』「歓呼の嵐に迎えられてけふ新憲法公布さる 世紀の黎明! 」
憲法公布の祝辞は記されていないが、公布直前に掲載された顕著な広告例もある。
下野新聞十一月一日一面:封建主義・専制主義 軍国主義・ファシズム 民主主義を妨害するあらゆる勢力を撲滅 自由を強化して 平和な新日本建設
この表題の下に、鹿沼町、菊澤村、北押原村、西方村、粟野町、南押原村の六農業会、粟野町、西方村、南押原村の三役場、および十市企業名を掲載している。
なお、同じ表題の広告は、十月四日、十月五日、十月十六日、十月十七日、十月十九日、十月二五日の一面にもあり、十月の掲載者だけでも百二十団体・企業に上る。
(この全面に『下野新聞』のコピーが入る)
以下に、各紙に掲載された祝賀広告を紹介するが、出来るだけ多くの企業名、団体名を伝えるため重複は避け、代表者などの人名、及び掲載日の日付は省略した。一覧表に示した広告件数は企業、団体の外、自治体首長、議員、弁護士等を一件として数えた。人数は、祝賀広告に記されている全ての人名を数えたものである。以下に示す企業、団体名等は、憲法公布に際しての祝賀広告を最優先し、話題性のあるものを多少付け加えた。これは、「憲法普及会」の活動が始まる以前に行われた自発的な意思表示を評価してのことである。
なお、憲法施行に際しての広告は、/の後に示した。
祝賀広告の中には、予め組版をして準備されていたものがあるので、セットとして表示した。
出版Aセット 法文社、民主出版社、時事通信社、穂高書房、文化建設社、コバルト社、日本社、鎌倉文庫、小学館、毎日新聞社、文壽堂、国民工業学院、日本映画出版、革新社、旺文社、開發社、国際文化学院、革新社ローマ字新聞係、教育研究社、共立社、井上国民英語学校
出版Bセット 社会科学良書刊行会、平凡社、国民工業学院、コズモ出版社、国民中學会、彰國社、新星社、内田老鶴圃、受験研究会、創元社、慶文堂、晴南社、日米会話講座刊行所、大東出版社、八勝義塾、ゲーム社、福村書店、日本通信教育会、万里閣、筑波書林、城西学院?
薬品・電気セット ライオン歯磨、三共、ポモナ化粧料本舗、友田薬品、マツダランプ、救心製薬所、ミノファーゲン本舗、ヒボン化粧料研究所、鳥居製薬、東輝電気工業、八洲化学、ウテナ薬品工業、三寶製薬、ワカ末本舗
生命保険・銀行・証券会社セット 野村生命、安田生命、日産生命、丸宏證券、野村證券、日本興業銀行、日本勧業銀行、板谷生命、新日本生命、明治生命
【朝日新聞】三菱銀行、住友銀行、日本貯蓄銀行、野村銀行、安田銀行、帝國生命、千代田生命、野村證券、山一證券、三井生命、安田生命、東横、松屋、松坂屋、三越、高島屋、伊勢丹、白木屋、東宝、松竹、大映、日活、東横映画、資生堂、三菱鉛筆、日産自動車販売、日立製作所、花王、平和染等七七件
【毎日新聞】有斐閣、法文社、文壽堂、岩波書店、東洋経済新報社、鱒書房、清水書房、毎日新聞社、共立出版、東西医学社、六興出版部、小学館、研究社、中央公論社、旺文社、実業之日本社、改造社、時事通信社、雄鶏社、学習堂(十一月四日のみ、計二〇件)
【讀賣新聞】薬品・電気セット(十四社)/生命保険・銀行・証券会社セット(十社)
【東京新聞】キャバレー美松/生命保険・銀行・証券会社セット(十社)、日本劇場、有楽座、帝国劇場、大映、渋谷中華料理組合員一同(計十六件)
【時事新報】東京都、第一製薬、日本曹達、玉置製薬、和光堂、太陽製薬、三共、山之内製薬、ウテナ薬品、萬有製薬、ソキン製薬、新橋・平和グリル/千代田生命、日産火災、明治生命、大正海上火災、富國生命、同和火災、安田生命、日本海上火災、大阪住友海上火災、帝國生命、新六商店、三井鉱山、久保田鉄工所、服部時計店(計二十六件)
〔北陸・東海地方〕
【北日本新聞】公布前日の十一月二日一面にも、企業九社社名の中央に、次の言葉を配した祝賀広告がある。
富山県知事、富山市長、富山県会議員(議長、副議長、議員二十五名)、田村組富山営業所、日本ファイバー紙器、富山県油脂販売、廣貫堂、旭合金鋳造工業所、三星自動車工業、櫻柳社、北陸軽金属工業、馬場汽船、砺波酒造組合、砺波種類販売組合、保土谷化学工業富山工場、興國人絹パルプ富山工場、富山化学工業、東亞製薬、つくし製薬、第一薬品、高岡金属工業組合、富山県農機具工業会、富山県鞄嚢統制組合等二八六件
【富山新聞】薬品・電気セット(十四社)、富山薬業協会、富山県家庭薬組合、伏木測候所長、高岡警察署長、伏木水上警察署長、高岡税務署職員一同、高岡経済相談所長、高岡郵便局・局長他局員一同、伏木郵便局長、県四特定郵便局長会、本川藤成、射水地方事務所・所長他所員一同、富山県聯合青年団長、高岡市長、高岡市会議員一同、出町税務署、福岡区域役場(一町、七村役場)、釣鐘・老子製作所、金次商店、大門町検番組合等六五二件
【北国毎日新聞】赤座繊維工業・赤座産業、多田製油所、北陸貨物自動車、北陸鍛工、矢地ミシン工業所、丸儀製陶所、新興物産、北陸車輛、横田商会、金澤砂糖、北都工機、福正宗・福光屋、金一自動車工場、竹内貫正商店、石川県農産物販売、刈谷自動車、正文堂書店、北都組、石川県芸妓茶屋同盟会、岩崎時計店、中古衣(新生社、中村質店、宮川衣服店、小林洋服店)、ふぐちり・よしの、おでん・長兵衛、出版Aセット(二十一社)等二五六件
【福井新聞】(株)大和、福井市長熊谷太三郎、福井県織物工業統制組合、大和紡績福井工場、福染興業、(株)福井県ガラ紡、(株)福井和紡織布、西野産業、丸一商事、(個)加藤尚、窪田病院、吉川機械製作所、飛島組、野島組、三田村組、米谷工業社、眞柄組、西本組、西工業、長組、福井トヨタ販売、福井県製函工業、福井貨物自動車、福井県乗合自動車、辻廣組、北陸鉄工所、淵上工業、福井木工、土牧商会等六十七件
【岐阜タイムス】岐阜県知事、県会議長、同副議長、同県議一同、自由党岐阜県支部五名、進歩党岐阜県支部四名、社会党岐阜県連委員長、岐阜市長代理助役、岐阜市会議長、同副議長、同議員一同、岐阜県農業会会長外十一名、岐阜裁判所長、岐阜税務署長、岐阜営林署長、小牧木材、名越工務所、岐阜県商工会議所会頭外四十三名、柳原工業、中部配電、松尾木材工業、十六銀行、栢屋篠田商店、岡本鋳造所、笠原工業、長良商会等二七〇件
【東海夕刊】/富士屋、第一交易、浅野鉄工所、第一実業、江口峯市商店、岐忠木材、マルカ電気製作所、大映、東宝、松竹、岐阜林材、萱場産業、森川産業、長縄製材所、丸美、万松館、長良川ホテル、引揚同胞授産所、山勝商工、熊田辰治郎商店等二十八件
【静岡新聞】日清紡績浜松工場、棒屋、野中無線電機製作所、遠州重工、遠州自動車運送、富士紡績鷲津工場、須山織機、山口製作所、東洋劇場 、野澤土木、石灰化学工業、興和鉄工所、東洋カタン工場、佐野鉄工所、蒲田工業、凸版印刷富士工場、榮すし、稲富久(中華)、大昭和製紙、富士貨物自動車、東京建材工業/静岡商工会議所、静岡相互物産、静岡県水産業会、静岡銀行、静岡県観光協会、静岡県農業会、静岡鉄道等九七件
【中部日本新聞】出版Aセット(二十一社) 大同製鋼、中揮聯産業、東海電気工事、特殊軽合金、愛知ダイカスト工業、名機製作所、協和工業、松本機材、日高機械製作所、壽屋、東海産業、鈴木商会、飯田藤七商店、東海精工所、イサジ商機営業所、足立物産、名古屋明和印刷、東海美術商事、野村商店/万勇商店、丸栄、松坂屋、豪華レヴュー・港座、ヤマダ屋、日本生命、高麗屋、アイセイ社(技術者募集)(計五十一件)