2020年6月8日(月)(憲法千話)
憲法便り#3371:日本国憲法公布時の写真付き「社説」集成『神戸新聞編』!
地方紙の中でも、英語の弁論大会など、独特で、もっとも文化の香りが高い『神戸新聞』に注目しました!
11月3日第1面上
↓「社説」『正倉院解放と文化会館』
↓「新生日本の道開く 体得せよ新憲法の精神」
岸田知事 告諭発表(下の囲みの部分)
←鈴木安蔵による
『新憲法の解説と批判』第4回(第3章)
「封建的遺習の解放へ 極端な国家主義許さぬ」
11月3日第1面下
←兵庫県・神戸市主催
「新憲法展覧会 第一回扇弘會華道典」
11月4日―9日
神戸三越2階会場
11月3日第2面上
↓「新日本の歴史的黎明」
「酒樽で豪勢な祝杯 ”旧憲法の思い出”港都の歩み」
↑ニセMPユガム遂に捕る
(岩田注:現代のニセ警官の詐欺事件を彷彿とさせる)
11月3日第2面下 ↓県下大学高専英語弁論大会
主催アメリカ友の会、神戸新聞後援
←映画、実演、音楽祭を中心とした一般広告
11月4日第1面上
11月4日第1面下
↓「新憲法公布にあたりて」齋藤国務相談話
『尊し 無血革命の実現 政治の責任は国民の手に』
←右端に次の言葉:大阪よろ神戸へ沿線は荒涼たる焦土の連続である 憶へばうたた感あり 復興と建設は吾等の責務である。平和と文化の再建へ!そして生産の沿線建設へ!
建設会社8社の名前:藤田組、北村組、寺本組、中田組、畠山組、新田組、高木組、濱本組
↑マイクロフィルムの状態が悪いので読み取れない部分がある。
11月4日第2面上
↓鈴木安蔵による
↑新憲法公布本社記念事業
神戸新聞厚生事業団設立、神戸新聞平和賞設定、
公布当日出生児祝頌、記念大講演会
神戸青年弁論大会、青年団駅伝継走大会、
記念展覧会、記念音楽会
11月4日第2面下
←兵庫県の祝賀広告「慶祝 新憲法公布」(囲みの中に次の言葉)
「旧い殻を破って自由と平和の大道が燐としてここに開く
三百万県民協力一致新日本建設につとめよう 兵庫県」
←神戸裁判所所属司法書士会
11月4日第3面上
写真説明↓歓びの花嫁さん 菊花薫佳き日の港都
右端が花嫁さん、手前に親族の姿が映っている。
11月4日第3面下
←神戸市の祝賀広告「慶祝 新憲法公布」
←兼備堂の祝賀広告「慶祝 新憲法公布」
11月4日第4面上
立命館大学学長 末川博博士に聴く『憲法改正の次に来るもの』
①「はらの底から自覚 主権在民の精神を活かせ」(國体)
②「封建的な生活から所帯の共同生活」(家族制度)
③「夫の貞操に一矢 道楽親父に子供は任せられぬ」(結婚)
④「食う権利、働く権利 公共の福祉に適う私有財産(人権)
⑤「選挙した者に責任 悪いものやボスの当選」(地方選挙)
➅「民主教育の徹底 女性も公的生活へ」(国民教育)
11月4日第4面下
←祝憲法公布
株式会社藤製作所の祝賀広告 藤澤式(風呂釜の宣伝あり)
↑「一に憲法 二に復興」の文字、株式会社 台神洋行の祝賀広告
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資料1
《『神戸新聞』に見る公布記念祝賀行事(十一月四日付三面より)
「歓びの花嫁さん 菊花薫る佳き日の港都」一に憲法、二に復興、三に輝く新日本、待ちに待った新憲法は深みゆく秋日和の三日、明治節を卜(ぼく)して公布された世紀の朝ぼらけ、黎明日本の希望を込めたこの日港都では、あちこちに久しぶりの日の丸を掲揚してたえきれぬ歓びを秋風にたなびかせた。△県、市では午前十時からそれぞれ祝賀式典を挙行、新生の第一歩を踏み出した。△その他各官公署、町内会、学校、会社、工場、団体でも記念運動会、演芸会などそれぞれ趣向をこらしてこの日を祝った。△生田、長田、寒川などの神社で約十組の結婚式がとり行われ、人生の新生を謳った。△お宮参りの人々もドット繰り出すなど各所に微笑ましい風景が見出されたが、明治憲法発布当時の飲めや歌えやといった底抜けのお祭り騒ぎこそ見られなかったが、なにか堪えきれぬ頼もしい底力をうちに秘めて、意義深い一日を送った。
[新憲法展]四日から九日まで、三越百貨店で県、市共催、在神各新聞社後援の新憲法展覧会が開催される。新憲法の趣旨を百二十余点の絵画や漫画で展示するほか米、英、仏各国の人権宣言書や民権、憲政の史料展示、自由の女神、リンカーン、板垣退助、マッカーサーらの立像も出陳(ママ)されて会場を飾っている。
[神戸市のヨイコにお祝いの羊羹]神戸市では、三日を中心に七万の全市学童に憲法公布をお祝いする羊羹を特配した。
(三日付一面より)
△西井美術館主催・毎日新聞社神戸支局後援「憲法発布を寿ぐ関西名流華道展」〔日時〕十一月四日から七日まで〔会場〕生田神社前西井美術館
(三日付二面より)
「県下大学高専英語弁論大会」アメリカ友の会主催、神戸新聞社後援の新憲法公布記念兵庫県下全大学、高専学生英語弁論大会は、二日午後一時から神戸諏訪山国民学校で兵庫県軍政部教育課長代理バーンズ氏、原市外務課長らが出席して開催、熱演裡に午後三時半閉会した。成績は次の通り。〔第一位〕関学予科中井誠〔二等〕同大学部服部裕〔三等〕神戸女学院岡田麗子。
(四日付二面より)
[神戸新聞社が主催または後援した事業]神戸新聞社が企画した一連の記念事業の精神と概略は次の通り。
「待望久しかったわれらの新憲法は公布されました。これこそわが日本の国と民とを敗戦の惨苦から立ち上がらせ、ポツダム宣言の要請に応えて、真の文化的平和国家に新生さすべき一大宣言であります。この憲法はまさにわれらの生活に直結した法典であり今後国民自体の全き理解と実践とによって、理想国家の建設は約束せられるのであり、喜びにたえないところであります。わが社はここにその公布を祝し、県市民各位とその喜びをわかつべく、左の諸記念事業を開催し、または後援することになりました。切に御共鳴と御支援を願う次第であります。」
△「神戸新聞厚生事業団設立」
「民主主義憲法のもと、平和日本再建のために、これからの生活において、われわれが努めつくさねばならぬことはあまりにも多いのでありますが、敗戦日本の現世相においては、社会の教化、援護に関する事業こそ何より喫緊重要な問題であるに鑑み、憲法公布記念として、ここに「財団法人神戸新聞厚生事業団」を設立することになりました。本財団は新憲法と時を同じうして発足し、民主国日本の建設に微力を效したい所存であります。今後事業資金の募集その他運営万般に関して、県市民各位のご協力に俟つものが頗る多いと存じます。何卒絶大なるご支援を賜りたく切望致します。
△神戸新聞社『平和賞』制定(毎年五月三日に発表)
①社会功労賞(農山漁村篤業者、巷の義人、警察、消防官吏などより)
②文化賞(文化団体、文芸、美術、芸能家中より)
③体育賞(県下における運動競技新記録樹立者より)
△「公布当日出生児祝頌」〔資格〕十一月三日午前零時より二十四時までの間における兵庫県下の出生児で、両親、家庭または知人などより推薦申し込みのある方に限ります。
△主催 神戸市・神戸新聞社「記念大講演会」
〔日時〕十一月十五日午後一時より
〔会場〕市役所正庁
〔講師〕法学博士佐々木惣一氏
△神戸市・神戸新聞社主催「神戸市青年弁論大会」〔日時〕十一月十日午後一時より〔会場〕市役所正庁〔弁士〕市内七区より各三名づつの代表弁士を選出。
△兵庫県・兵庫県体育連盟主催 神戸新聞社後援「青年団駅伝継走大会」〔期日〕一九四七年一月中旬〔区間〕赤穂郡上郡町―神戸市間(二十二里半)
△兵庫県・神戸市主催/後援在神各新聞社・神戸新聞社「記念展覧会」〔期日〕十一月四日より十日まで〔会場〕神戸三越二階
△主催兵庫県/後援在神各新聞社・神戸新聞社「記念音楽会」〔期日〕十一月十八日=アマチュア・コンクール(県下アマチュア音楽団体競演)、十九日=歌劇(東京神宮寺歌劇団)宝塚歌劇団賛助出演〔会場〕宝塚大劇場
資料2
施行記念(五月三日号より)
兵庫県記念行事八つ(リズム体操祭、県民歌発表大会、茶華道大会、浪曲大会、青年相撲大会、青年野球大会、その他に青年行事と子供向け行事)
[神戸新聞社文化賞制定]五月三日神戸新聞社
〔編集中記⑦〕一九四六年十一月三日付で、兵庫県警察部警務課から『日本國憲法の解説』が刊行されている。同書はポツダム宣言全文、憲法改正に関する勅語、吉田首相の国会への提案理由説明、金森徳次郎による「憲法改正の特質、日本国憲法逐条解説、日本国憲法正文の構成で、逐条解説は条文ごとに「参考」として、議員名と共に質疑応答の要点が記されている。「はしがき」「あとがき」はなく、警察の職務との関係は一切記されていない、ごく普通の憲法解説書である。サイズは縦十八・八、横十二センチで、八十七頁。
インターネット検索で公的機関の所蔵が確認できたのは、京都大学図書館が同窓生から寄贈を受けた一冊だけ。友人の協力でコピーを入手したが、その後京都大学に行き、現物を確認している。個人で所蔵されている方があれば、ぜひ国立国会図書館に寄贈して頂きたく思っている。近く、神戸新聞社にその旨の投稿を予定している。
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祝賀広告
兵庫県、神戸市、西井美術館、藤田組、北村組、寺本組、中田組、畠山組、新田組、高木組、濱本組、兼備堂、神戸電話相談所、藤製作所、台神洋行/日本生命、ナニワ物産、シオノ製品、台神洋行・大神産業・台神建築(計二十五件)