2020年 11月 19日
2020年11月19日(木)(憲法千話) 憲法便り#3851:年賀状に先駆けてご挨拶。 明日、年賀状が出来上がることになっていますが、その原稿に使った写真を掲載します。 新型コロナウイルスの感染者が急増し、第三波到来、それも強力な感染力をもったウイルスが確認されたとの情報もあります。 東京では、18日493人、19日534人と、ついに、二日続けて、実質的に500人を超えました。 したがって、いつ、どこで、感染するか判らない、危険な段階に入りました。 中高年、高齢者の感染が急増していて、マスクとうがいだけでは防ぎきれないと指摘する専門家もいます。 年賀状を作ったのはいいが、出すまで生きていられるのか、そんな不安がよぎります。 年賀状に添えた言葉は、「若き日の情熱を持って生きる!」 1998年4月1日にフィレンツェで撮ってもらった写真です。 実は、この写真は、以前から「遺影」に使うことに決めているもの。 わたしは、1997年12月末に、定年まで5年8カ月を残して退職した。 55歳だった。 翌年3月末、機会を得て、イタリアワイン研究のため、シエナに行くことにした。 ところが、当時、ヨーロッパでは、「ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争」と呼ばれた戦争が続いていた。イタリアからは、NATO軍として爆撃機が飛び、帰還する際に、使わなかった爆弾をアドリア海のイタリア沿岸や、北イタリアのガルダ湖に投下し、人的被害がでたことも報じられるほどであった。この紛争の影響で、ミラノには大幅に遅れて、午後8時に到着した。そのため、ミラノからフィレンツェまでの最終列車は出たあとで、代替バスでフィレンツェに向かうことになった。 わたしは12時前に、バスの運転手に、「到着が遅くなることをホテルに電話したいので、次のドライブインで停車してほしい」と申し入れた。運転手は了解してくれ、ちょうど12時頃にホテルに電話をすることが出来た。 そして、ホテルに電話をすると、「部屋は確保しておきます」との返事であった。 ところが、バスに戻ってから新たな問題が生じた。 ミラノから乗車したバスで、隣の席に座っていた若い女性が、友人の家に泊まる予定だったが、その友人と連絡が取れないとのこと。「仕方がないので、フィレンツェについてから探します」という。到着予定は午前2時だから、それはとても危険で、無茶な話だ。 ミラノから4時間、何を話していたのか記憶にないのだが、わたしは彼女の話しを聞いて、すぐに決断し、次のように伝えた。 「それは危険な話だし、見つかるかどうか判らない。確保されているわたしの部屋をあなたに譲り、わたしはホテルのロビーで寝るから、あなたさえ良ければ、一緒にいらっしゃい」。 彼女はとても喜んで同意した。 午前2時、フィレンツェ駅前に到着したが、広場は真っ暗。タクシーは1台もいない。バスの運転手は全員を降ろすと、さっさっと行ってしまった。いたし方なく、以前泊まったことあるホテルなので、記憶を辿って歩くことを考えていたが、幸運なことがあった。 イタリアの使用出来る携帯電話を持った男性がいて、「いま到着したバスの乗客が40人ほどいる」と、タクシー会社に電話をかけてくれたのだ。 ものの3分も経たないうちに、5,6台のタクシーが来たので助かった。彼女とタクシ―に乗り込み、ホテル名を告げると、すぐ近くだった。 ホテルに着いてフロントで事情を話すと、先ほど電話に出た男性が、彼女の部屋も確保してくれた。一件落着! 風呂に入り、寝たのは午前3時半。 午前6時半、食堂に行くと、彼女も来ていた。 食事がすんで、中庭で食後のコーヒーを楽しんでいた時、彼女が撮ってくれたのがこの写真。 研究会の仲間のお父さんの形見のジャケットを着ている。これは、日本に2着分しか生地が入らなかったという、高級仕立てのものと聞いた。したがって、このイタリア産の生地は、高級ジャケットになって、故郷に里帰りをしたことになる。 1997年12月末に退職し、年金その他の手続きを終え、フィレンツェに到着するまでに出会ったいろいろなことを乗り越えてきた安堵感が、この写真には表れている。 写真は、食後に彼女が撮ってくれたものである。 ところで、食事中の会話で、彼女の父親が、かなり高位の自衛隊幹部であることを知った。思いがけないことであった。 食事のあと、わたしはシエナ行きのバスが出ている発着場を確認しに出かけた。ホテルからそれほどの距離ではないのだが、大きな建物の中庭にあった。外から見ただけでは、バスの発着場があるようには見えなかった。 念のために窓口で発車時刻を聞くと、「今日からサマータイムだから、1時間早まると言われた」。 サマータイムが4月1日からなので、この写真は4月1日に撮ってもらったことになる。 ホテルに戻ってから、目的地が同じなので、彼女さえ良ければ、シエナまで一緒に行くことを提案した。 彼女はわたしの話しに驚いて、一緒に行くことに同意した。 スーツケースをガラガラと音をたてながら行くことも出来るが、時間にゆとりを持つために、わたしはタクシーを呼んだ。発着場に着くと、彼女は驚いて言った。「これでは、わたしひとりだったら、来ることが出来なかったと思います」。 バスは時刻通り発車し、シエナまで2時間のバスの旅を楽しんだ。 車窓には、トスカーナ地方特有のゆるやかな景色が広がっていた。 彼女がシエナに行く目的は、わたしが初めて名前を聞く日本人向けの料理学校での長期研修であった。 シエナで、彼女は無事仲間と合流することが出来、料理学校のバスに乗り込んだ。 その後、シエナのスフォルツァ(城塞跡)内にあるレストランに、仲間七、八人と食事に来ていたのを見かけたことがあるが、それ以来、会うことはなかった。 日本に帰ってから、彼女から、イタリアで食料品を扱う店を始めたという知らせのハガキをもらったことがあった。 わたしは、お祝いと、激励のメッセージを書いてシエナに送ったが、それ以降の音信はない。 ここまで、「彼女」という表現をとった。わたしは、年賀状のやりとりや、研究会などで日常的にお付き合いがある場合を除いて、女性の連絡先などは、一切、住所録に残していないので、記憶にも残らない。 したがって、思い出そうとしても、思い出せない。 これ以降については当時のイタリア、そしてヨーロッパの情勢についての話、そして、イタリアワインについての調査結果となる。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 憲法便り#3092:連続ショートエッセイ・岩田行雄のバス物語第6回(シエナ編:その1);ジェイアールバス関東労働組合(JTSUーB)結成を祝って! ウィキペディアを参考に、コソボ紛争について 概要をまとめました。コソボ戦争・紛争そのものについては、 ウィキペディアの参照をお薦めします。 コソボ紛争の表現 英語:Kosovo conflict アルバニア語:Lufta e Kosovës、 セルビア語:Рат на Косову и Метохији 「紛争」の期間 1998年3月5日~1999年6月11日 参戦した国と軍 NATO(北大西洋条約機構) アルバニア コソボ共和国軍 セルビア・モンテネグロ ユーゴスラビア連邦共和国 コソボ紛争の表現は、 英語:Kosovo conflict アルバニア語:Lufta e Kosovës、 セルビア語:Рат на Косову и Метохији 「紛争」が続いた期間は、 1998年3月5日~1999年6月11日 フィレンツェ編で述べた朝食のあと、朝の散歩がてら バスの発着所の位置と、時刻表を確認することにした。 朝食のとき、女性が、今日は、シエナで長期滞在型の料理学校に向かうのだと、 イタリアに来た目的を話してくれた。 バスの発着所は、夜中に着いた駅前のバス停とは違い、 大きな建物の中庭にあった。 これでは、A子さんは辿りつくのが大変だ。 それに、イタリアでは、サマータイムが始まっていて、 前日までの出発時刻よりも、1時間早まっていた。 窓口で、外国人観光客が乗り遅れて、困っているのを目の当たりにした。 ホテルに戻ってから、目的地が同じなので、 A子さんに、彼女さえ良ければ、 シエナまで一緒に行くことを提案した。 彼女は私の話に驚いて、一緒に行くことに同意した。 手ぶらならば歩いて行ける距離だが、 大きなスーツケースを持っていては時間がかかる。 私は、時間にゆとりをもって、タクシーを呼んだ。 発着所に着くと、彼女は言った。 「これでは、わたしひとりだったら、 来ることが出来なかったと思います」 シエナまでは、車窓から見える トスカーナのおだやかな景色を楽しんだ。 シエナでは、彼女の友人が待っていた。 その後、市内のレストランの屋外の席で 彼女が6、7人の友人たちと食事をしている ところに出会ったことが、1度だけあった。 そして、日本に帰ってから、彼女からイタリアで、 食料品を扱う店を始めたという知らせのハガキを もらったことがあった。 私は、お祝いと、激励のメッセージを書いて シエナに送ったが、それ以降の音信はない。 シエナのバス停では、当地で料理学校を経営していた N氏が待っていて、私が宿泊する場所に案内してくれた。 それは、シエナの中心部から離れた場所だったが、 すぐに市内の中心部、旧市街の史跡地区にある建物に移してくれた。 この建物の中の一部を所有している人が、私に一室を貸してくれているので、 他に宿泊者はいなかった。 4月3日、共同スペースでテレビをつけると、ローマ法王のミサが 1時間にわたって放映された。 そのミサは、コソボ「紛争」について45分間割き、 休戦の実現を呼びかけるものであった。 私は、近くの教会のミサに行ったが、 それは、観光気分の「よそ者」を寄せつけない 荘厳な雰囲気であった。 私は、帰りがけに、新聞のスタンドで、 ヨーロッパの主要な新聞を買い込んだ。 金額は5000円ほどになった。 以下に紹介するのは、その時に購入した 各紙の写真の部分である。 各紙ともかなりのページ数だったので、 写真の部分だけを破って、日本に持ち帰ったもの。 いつかこれを紹介する機会を得たいと考えていたので、 歴史的状況の「目撃者」の責務として、この作業にあたった。 イタリアは、NATO軍の一員として、コソボ「紛争」に、 積極的に参戦していた。 イタリアに、爆撃機が来たり、ミサイルが飛んでくることはなかったが、 テレビの討論番組では、2時間の特集を組み、意見を戦わせていた。 番組の司会者は、若い女性で、なかなかの「切れ者」であった。 日本では、コソボ「紛争」については、あまり報じられていなかったので、 ヨーロッパの各紙の報道を見て、コソボ戦争の本当の姿を知った。 ちなみに、この日、新聞スタンドで売られていた『朝日新聞』1面トップの記事は、 男女の平均年齢が、何歳になったというものであった。 新型コロナ・ウイルスの猛威がおさまったら、 新宿区立中央図書館で記事の内容を確認し、追記する予定である。 1999年4月3日(土)付《The Mirroror(ザ・ミラー)紙》を引用。 デイリー・ミラー(The Daily Mirror)はイギリスの主要な日刊タブロイド紙。1990年代には一時名称を「The Mirror」としていた catastropheカタストロフィー(崩壊) ひとつのパンを求める数多くの手! パンを持っているのは、子どもたちにパンを配布する係りの赤十字職員か? この一枚の写真が、コソボ紛争の悲惨さを象徴的に表している! 1999年4月3日(土)付《ザ・ガーディアン紙(欧州版)》1面を引用。 ガーディアンは、イギリスの大手一般新聞。旧題号は『マンチェスター・ガーディアン』 16面に 「アンネ・フランクの礼賛者」 1999年4月3日(土)付『テレグラフ紙(オランダ版)』1面を引用。 1999年4月3日(土)付イギリスの日刊紙『ザ・デイリー・テレグラフ』1面、2面及び3面を引用。 バルカン諸国の紛争 空腹、寒さそして疲れきった 彼ら。 狂気のサバイバル! 暴力: パンをめぐる争いで、 組み止められ、 叫び声をあげる女性。 パンを両手に抱え 笑顔を見せる少年 1999年4月3日(土)・4日(日)付『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』1面を引用。 インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ、旧名:インターナショナル・ヘラルド・トリビューンは、フランスのパリ郊外ラ・デファンスに本部を置く世界各地で販売されている英字新聞。 1999年4月4日付フランスの日刊紙『フィガロ』1面及び2面を引用。 1999年4月4日(日)付『ラ・レプッブリカ紙』1面を引用。 (イタリアの日刊紙) 1999年4月3日(土)付『フィナンシャル・タイムズ紙』 (イギリスの経済紙)1面を引用。 1999年4月3日(土)及び4月4日(日)付《Libération(解放)紙》1面を引用。 1999年4月4日(日)付『イル・テンポ紙』1面を引用。 『フランクフルター・ルントシャウ 紙』1999年復活祭号 55年次、ナンバー78/13の1面を引用。 1999年4月4日(日)付『コリエッレ・デラ・せーラ紙』1面を引用。 (イタリアの日刊紙) 1面下のイラスト ローマ法王とハトにも降り注ぐ爆弾 「休戦無し」↓ 私が訪れたシエナのドゥオーモ広場にある大聖堂の写真。 この広場にあった新聞スタンドで上記の新聞を購入した。 シエナ・グロセット文化財保護局局長ピエロ・トリッティ編著『シエナ コントラーダとパリオ』 (日本語改訂版)の27ページを引用。 ***************************************************** イタリアワインの楽しみ 憲法便り#3095:連続ショートエッセイ・岩田行雄のバス物語第6回(シエナ編:その2・ワイン研究の巻);ジェイアールバス関東労働組合(JTSUーB)結成を祝って! シエナ・グロセット文化財保護局局長ピエロ・トリッティ編著『シエナ コントラーダとパリオ』 (日本語改訂版)の89ページを引用。 ワイン研究の巻 シエナは、1994年以来、5年ぶりの訪問。 写真上は、メディチの要塞跡。この中にエノテーカがある。 写真下は、左が国立エノテーカの内部、右がリッツア公園。 「イタリアワインの楽しみ」は、 『アルク地球人ムック』の編集者の依頼により、若い女性を対象に書いたものです。 掲載されたのは、1999年11月4日発行の『イタリア語をモノにするためのカタログ』 シエナでの研究結果が、おおいに活かされています。 これを書いた後で訪れた成城学園駅近くのフランス料理のレストランの接客係の方や、 目白駅の近くにある田中屋の店員さんとの会話で、彼らがこの記事をよんでいたことを知りました。
by kenpou-dayori
| 2020-11-19 17:36
| ご挨拶
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