2020年12月16日(水)(憲法千話)
憲法便り#3903:官邸が番組に、“以前の打ち合わせと違う”と、また圧力!
2020年12月16日(水)付『しんぶん赤旗』日刊紙第4面を引用しました。
【記事】
「NHKを政府の広報宣伝機関と思っているのか―。菅義偉首相が生出演したNHKの番組内容について、官邸側が「以前の打ち合わせと違う」「ガバナンス(統治)が利いていない」などと、圧力を加えていたことが、権力とメディアをめぐる問題として改めて浮上しています。
官邸側が問題としているのは、菅首相が臨時国会で所信表明演説をおこなった10月26日夜の「NHKニュースウオッチ9」。
首相が所信表明演説で一言もふれなかった日本学術会議の会員候補6人の任命拒否について、有馬嘉男キャスターが「わかりやすい言葉で説明される必要があるとおもうのだが」「説明がほしいという国民の声があると思うのだが」と迫りました。ところが、首相は「説明できることと4できないことがある」と気色ばみました。
問題は、この後。『週刊現代』(11月14・21日号)によると、翌日、NHK報道局に一本の電話がかかってきたといいます。
「総理、怒っていますよ」「あんなに突っ込むなんて、事前の打ち合わせと違う。どうかと思います」
電話の主は、総務省出身の山田真貴子内閣広報官で、“お叱り”を受けたのは、官邸との「窓口役」と言われる原聖樹政治部長だったといいます。
この一件は、11月17日の参院総務委員会で、山形放送のアナウンサー出身でもある芳賀達也議員(無所属)がとりあげ、「放送局に対して、番組の事前であれ事後であれ、取材を受ける政府、政治家が圧力をかけることは放送法3条の趣旨に合致しないのではないか」と追及しました。
「朝日」12日付は、坂井学官房副長官(衆院神奈川5区)が、5日夜の会食の場で、同番組をめぐり、「所信表明の話を聞きたいといって呼びながら、所信表明にない学術会議について話を聞くなんて。全くガバナンスが利いていない」と言及したと報じています。
菅首相には、官房長官だった2014年、NHK「クローズアップ現代」に出演、集団的自衛権行使容認の閣議決定をめぐって、厳しい質問をした国谷裕子キャスターに激怒、後のキャスター降板につながったという“前歴”があります。
新型コロナウイルスの感染拡大のなか、記者会見を開かず、国会も閉じて、国民の疑問や不安に説明を尽すことをせず、自分が触れてほしくない質問に圧力をかける菅官邸の姿勢は重大です。(藤沢忠明)