2020年12月31日(木)(憲法千話)
憲法便り#3994:今市(いまいち)事件は終っていない!
東京合同法律事務所ニュース2021年1月1日号第4面を引用しました。
横山雅弁護士がご担当の事件です。
シンポジウム「今市事件は終っていない」が開催されました!
東京合同法律事務所ニュース2021年1月1日号第4面を引用しました。
横山雅弁護士がご担当の事件です。
今市事件は、2005年12月1日に栃木県今市市(現在は日光市の一部)で発生した女児誘拐殺人事件です。事件発生から八年が経過した2014年1月29日、勝又拓哉さんが別件の商標法違反で逮捕されたところから事件は一気に動き出しました。商標法違反での起訴後拘留下で人格攻撃を含む激しくかつ執拗な取り調べを捜査機関から受けた勝又さんは、自身が犯人であることを示す客観的な証拠がなかったにもかかわらず、犯行を認める自白をしてしまい、2014年6月24日、女児に対する殺人罪で起訴されました。後半前整理手続の中で勝又さんは否認に転じましたが、2016年4月8日、一審宇都宮地裁の裁判員裁判で無期懲役の有罪判決を受けました。その後、勝又さんはすぐに控訴し、東京高裁に移審することになりました。このような状況で、当事務所から私と泉澤弁護士が弁護団に加わることとなりました。
控訴審では、法医学等に基づき、勝又さんの自白が客観的な事実と異なり信用性が認められないことを徹底的に主張・立証することに努めました。しかし、2018年8月3日、東京高裁は勝又さんの自白のうち犯行状況等の具体的な部分は信用できないとしながら、抽象的に犯人だと認めた部分は信用できるという不可解な理由であらためて勝又さんに無期懲役の有罪判決を下しました。最高裁に即日上告し、控訴審判決の不当性を徹底的に主張しましたが、本年(2020年)3月4日、最高裁は上告を棄却する決定を下し、直ぐになされた異議申し立ても同月16日に棄却し、勝又さんの有罪判決は確定しました。
現在、勝又拓哉さんは千葉刑務所に服役中ですが、自身のえん罪を訴え続けています。そのような中で、勝又さんの支援者と元弁護団を中心にあらためて今市事件の判決の不当性を訴えるシンポジウム「今市事件は終っていない」が本年10月24日に開催されました。シンポジウムの内容はユーチューブでも公開されており、当事務所のホームページから閲覧することができますので是非とも御覧下さい。
勝又さんに対する有罪判決は既に確定しており、勝又さんの雪冤は再審のみによって可能となります。今市事件の今後の動きに是非とも注目いただき、あらためて御支援をお願いいたします
弁護士 横山 雅士