2021年6月17日(木)(憲法千話)
憲法便り#5155:視覚障害者がワクチン接種で予約困難な状況!点字・音声案内が自治体間で差がある!障害に応じた配慮が必要!
2021年6月17日(木)付『しんぶん赤旗』日刊紙第14面を引用。
《前説》
新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、点字のない接種券や案内が届くなど、視角障害者が予約を取るのに苦労している。厚生労働省は視覚障害者向けの案内に点字表記の検討などを求める事務連絡を出しているが、自治体により対応の差が生れている。
(新井水和記者)
東京都江戸川区に住む内藤勉さん(69歳)に接種券が届いたのは、約1カ月前。点字はありませんでした。
「選挙の時は点字のある案内が届きますが、それ以外の行政からの手紙には普段からほとんど点字がありません。バスで30分かけて役所へ行き、職員に手続きを手伝ってもらいます」と話します。
《誰でも簡単に》(中見出し)
来月に接種を受ける予定です。「予約の手続きもそうですが、どこの会場に行くかも問題です」といい、職場など、誰でも接種が簡単に出来るようにしてほしいと語ります。
5月末に接種券が届いた金子五郎さん(74歳)=横浜市―。妻の綾子さん(73歳)が案内に気付き手にしたところ、封筒の表のみ点字があり、中には点字のない紙が数枚入っていました。
五郎さんは、10年ほど前に難病で目が見えなくなりました。点字を読むことは難しいため、本は録音図書で、日々の新聞や手紙は綾子さんが読み上げています。
「接種券が届く1カ月前にワクチンに関する説明の音声が届きました。スケジュールなどは分かりましたが、具体的なことは分かりませんでした」と五郎さんは言います。
綾子さんは「わたしがいたから良かったけど、1人で暮らす人はどうするのだろうかと心配です」。診療所や集団接種の予約電話はつながりにくく、綾子さんは時間と労力を費やしました。
《2週間たって》(中見出し)
その後、2週間ほど経ってから、予約のやり方などを説明する音声の案内が届きました。五郎さんは「すでに予約が取れた後でした。利用する人もいるでしょうが、遅すぎだと思います」。
本来自治体は、障害者差別解消法に基づき障害者に対し、それぞれの障害特性に応じた配慮を提供しなければなりません。
全日本視覚障害者協議会の山城完治代表は理事は、視覚障害者への情報提供について「自治体の力が大きく影響し、力のない自治体だとそのしわ寄せが、より立場の弱い人にいきます」と指摘。「障害は一人一人違い、それぞれに合ったサポートが重要です」と語ります。音声や点字、電話などで、視覚障害者が分かるように配慮した上で、予約表の記入や会場までの案内などの支援が必要だと訴えています。