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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2021年 06月 22日

憲法便り#5180:【再録シリーズ】発掘 731部隊政府文書 「細菌の研究と生産」明示 敗戦時の構成や敗走路も:戦後75年 実像に迫る;滋賀医科大学名誉教授・西山勝夫さんに聞く!

2021年6月22日(火)(憲法千話)

憲法便り#5180:【再録シリーズ】発掘 731部隊政府文書 「細菌の研究と生産」明示 敗戦時の構成や敗走路も:戦後75年 実像に迫る;滋賀医科大学名誉教授・西山勝夫さんに聞く!


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【再 録】
2020年8月31日(月)(憲法千話)
憲法便り#2588:発掘 731部隊政府文書 「細菌の研究と生産」明示 敗戦時の構成や敗走路も:戦後75年 実像に迫る;滋賀医科大学名誉教授・西山勝夫さんに聞く!

2020年8月20日(木)付『しんぶん赤旗』日刊紙第3面を引用しました。

憲法便り#5180:【再録シリーズ】発掘 731部隊政府文書 「細菌の研究と生産」明示 敗戦時の構成や敗走路も:戦後75年 実像に迫る;滋賀医科大学名誉教授・西山勝夫さんに聞く!_c0295254_14334053.jpg















憲法便り#5180:【再録シリーズ】発掘 731部隊政府文書 「細菌の研究と生産」明示 敗戦時の構成や敗走路も:戦後75年 実像に迫る;滋賀医科大学名誉教授・西山勝夫さんに聞く!_c0295254_14340099.jpg































【見出し】
発掘 731部隊政府文書 「細菌の研究と生産」明示 敗戦時の構成や敗走路も:戦後75年 実像に迫る;滋賀医科大学名誉教授・西山勝夫さんに聞く
【記事】
 約70年の時をへて現れた赤茶けた手書きの数十枚の書類。細菌戦の「731部隊」の実像に迫る“ないはず”だった政府文書の発掘です。2月に国立公文書館が開示を決定し、西山勝夫・滋賀医科大学名誉教授、原文夫氏(元大阪府保険医協会)に納品した「関東軍防疫給水部//隊概況 昭和26、6、1」。細菌兵器の開発・生産を担った旧「満州」(中国東北部)の関東軍防疫給水部(通称731部隊)と、全5支部の部隊構成、敗走経路などを明らかにしたものです。西山氏に聞きました。 (山沢猛

答弁のうそあらかに(見出し)

 -新たに何が判明しましたか。

 1999年の国会で、731部隊の認識についての質疑で、政府は「細菌戦との関連を示すような資料は存在していない」と答弁。当時の野呂田防衛庁長官も「(生体実験など)当該部隊の具体的な活動状況については確認できる資料は存在していない」と答弁しました。

 しかし今度の開示で、「存在していない」はずの文書がでてきたわけで、政府答弁が、うそであったことが明らかになりました。

 この文書は厚生省(現厚労省)復員局留守業務部第3課が作成したものです。731部隊の戦争犯罪(別項A)にかかわる資料がまだ埋もれていることを今回の発掘は示唆するものです。

 部隊調査はGHQ下で(中見出し)

 -文書はハルピンにあった本部だけでなく、5支部(牡丹江、林口、孫呉、ハイラル=海拉爾、大連)の敗戦時の人員構成や敗走経路、本部・大連支部を除く捕虜やシベリア抑留の細部まで明らかにしていますね。

 敗戦時の行動をまとめた「行動経路概況図」(左地図)の「防給本部」の項では「編成 昭15(1940年)・7・10 部隊長 石井四郎中将」とあります。

 「本部は開戦(旧ソ連の「満州」侵攻)と共に北朝鮮方面に移動すべく…新京(現朝春)付近南下中終戦となり、そのまま南下して釜山より船にて20・8・26仙﨑(山口県北部、現長門市)、萩、米子に上陸復員を完了」となっています。

 こうした731部隊に対する調査は、米軍中心のGHQ(連合国軍総司令部)の指示・命令による可能性が大きいです。「留守名簿(別項B)関東軍防疫給水部」にはGHQのスタンプが押してあり、GHQが名簿を見ていたことがわかります。さらに戦後の留守業務は千葉県でGHQの下で行われていたということを、厚労省担当者から聞いていますので、今後調べる必要があります。

 政府資料は全て公表を(中見出し)

 ―文書の「概況」には、「細菌の研究と生産等を実施していた」(本部)、「終戦時まで主として細菌の研究および生産」(大連支部)をやっていたと、任務がはっきりと書かれています。

 感染症の予防、治療の研究が主目的ならば「細菌の研究と生産」という用語が先に出てくることがありません。

 「特殊重要任務に服した科学部隊である下士官以下」という表現が、部隊の「特異事項」にでてきますが、その説明は見当たりません。しかし、当時、医学の分野では「特殊任務」といえば、ヒトの生体実験を指していたといわれています。

 ―「部隊人員統計表」には、本部が敗戦時2149人、支部含め総計3262人という新証拠が示されています。

 このことから本部と大連支部の詳細な数字の隠蔽が疑われます。

 私たちが、医学・医療分野での戦争犯罪を二度と繰り返させないためにも、だれも否定できない歴史の事実にもとづいて過去をかえりみることが大切です。政府の戦争資料をすべて公開させることは不可欠の課題です。


「別項A 731部隊の戦争犯罪」

 現黒竜江省の省都・ハルピン市南郊の平房に、1939年ごろまでに完成した最近兵器開発の一大軍事基地。憲兵隊から供給された中国人などを「マルタ」と称して人体実験を行い、1945年までに少なくとも3000人が送りこまれ、生存者はいませんでした。

 中国では、証拠隠滅のために破壊された平房跡の発掘・保存・調査が進んでいます。

 また、実験材料にされた300人以上の名前が判明しています。被害者遺族が日本に謝罪と賠償を求めて提訴(1997年)。

 賠償は最高裁で棄却されましたが、戦争医学犯罪の認定は確定しています。

 ヒトを「サル」と偽って日本病理学会で発表された「流行性出血感染実験」、731部隊のデータを手に入れた米軍報告書に記された炭壊疽、ペスト、チフス、パラチフス、赤痢、コレラなど「細菌感染実験」、「凍傷実験」、「毒ガス兵器の野外人体実験」、「細菌兵器の実践仕様」などが明らかになっています。

 (新日本出版社『「軍学共同」と安倍政権』の西山論考などから)


「別項B 『留守名簿』とは」

 敗戦近く、陸軍省が、陸軍大臣指定地域の部隊ごとに所属する全軍人・軍属について兵種・本籍・留守担当者の住所などを整理、保管したもの。戦後は年金支給の根拠などに使われてきました。現在は厚労省社会・援護局の管轄になっています。



by kenpou-dayori | 2021-06-22 09:45 | 忘れてはならない事実の記録シリーズ


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